も、もう7月?

200万ヒット用に書いたはいいけれど、間延びした感じもあったり、動きがなくていまいちおもしろくできなくて、お蔵入りしていたものを感想をいただけたし、この機にここにこっそりとUPしてみます。

 あの時、ミサトはやはり言葉を喋ったのだろう。

 それから、少しずつ話し始めるようになった。

 そんなある日、唐突に一つ質問をぶつけてきた。

「シンジ君。で、良い?」

 ちょっと唐突すぎて少し面食らってしまったが、呼び方のことを言っているのだと分かった。

 今まで当然と言えば当然だが、ミサトに名前を呼ばれたことはなかったのだから、初めて名前を呼ばれることになるわけである……シンジ君という呼び方は自然だし、どこにも問題はない。

「良いよ、」

 そう答えて、ふと、シンジもミサトの名前を一度も呼んだことがないことに気付いた。

(そう言えば、なんて呼ぶべきなんだろう)

 ミサトに対しては基本的に「ミサトさん」だったが、目の前のミサトに対して「ミサトさん」はどうかなぁと、ミサトと呼び捨てにするあたりが妥当そうな気がするが、ミサトと言う名前を呼び捨てにするというのは……ちょっと抵抗がある。

 ミサトがどうしたの?って顔を浮かべてくる。

「ああ、えっとね……僕の方はなんて呼ぼうかなぁって思って」

 なるほどって感じの表情を浮かべて「ミサト」が良いかなぁって返してきた。

 抵抗が無くなったわけではないが、本人の希望もあることだし、名前を呼ぶときは「ミサト」と呼ぶことにした。

 暫くの間ミサトが言葉と心を向けてくるのはシンジだけだったのだが、年が明けて暫くするころにはユイも加わってきた。

 シンジの方は……時々色々と思うことはあるが、ユイともそれなりに上手くやっている。

 作っていた花壇の草花の方は随分成長してきている。

 その内いろんな種類の花が咲き乱れるようになるだろう。

 今日も、朝食を食堂でミサトと一緒に取り、新聞を貰って部屋に戻ってきた。

 ミサトの方は早速ユイに貸して貰った小説の続きを熱心に読んでいる。その本についてはシンジは知らない、ミサトが直接ユイから借りたのである。シンジ以外の者にも心を開いていくというのは、嬉しくもあるが同時に、少し淋しくもあった。今までミサトの心はシンジ一人に向いていたのがそうでなくなるのだから……

 軽く息をついて自分のベッドに座り、貰ってきた新聞を広げる。

 バレンタイン条約……それが真っ先に飛び込んできた。

 2001年2月14日に結ばれた臨時停戦条約……バレンタインデーにちなんでその名前が付けられた。国連のあり方、存在意義、力、旧世紀のそれらを全く変えてしまうようになった条約。

 又一つ大きな歴史上の出来事が起こった。

(バレンタイン条約か……)

「……どうかしたの?」

 ミサトが小説を読むのを止めて問いかけてきた。

「あ、ああ、これ、」

 ミサトに新聞を見せる。

 新聞の記事はこれで世界の混乱は収束に向かうのではないかと言った内容だが、これからは、各地の紛争に国連軍が参戦することになるのである。その中には勿論陸海空の三自衛隊も含まれる。世界全体はその通りかも知れないが、日本と日本人にとってはどうなのだろうか……

「……?」

 説明してと言う仕草をしてくる……ミサトには余りよく分からなかったのかも知れない。

 シンジの方はここに来てからずっと新聞を読んで情勢の流れを把握しているし、既に社会の歴史の授業で大きな出来事は習ったし、テレビ・雑誌……いろんな所から情報が入ってきた。だから、シンジがミサトに説明してあげることにした。

 しかし、もう言葉を取り戻したミサト……今はまだまだだが、いずれ他の者達とも色々と会話するようになっていくかも知れない。そうなったときに何か、シンジの秘密を嗅ぎ付けられるようなことがあってはならない。

 だから、シンジの秘密を隠すために、この説明でも嘘や違うと分かり切っていることを話していくしかない。その事がどこか辛く感じられた。

 説明を終え、納得したミサトがありがとうと短くお礼を述べたが喜ぶことはできなかった。

 その夜、ベッドに入ってからその事を改めて考えていた。

(隠し事か……)

 シンジの秘密はぜったに周りに知られてはならない。もし知られてしまったとしたら、誰になるかは分からないが、誰かに徹底的に利用されてしまうだろう。力を持っている物にとってはシンジの知っている歴史は余りにも美味しい情報である。もし、それが奴のような人間になったとしたら……まるっきり逆効果ではないか、

 だから、ミサトにも教えられない。

 これからもミサトに隠し、嘘を付き続けていかなければならない。

(嘘をつくのって辛いんだなぁ)

 理由はおいておいても、本当のことが話せないというのは辛い……別に、これがどこの誰とも知らない人間ならともかく、もうずっと一緒にいるミサト相手なのだから、

「……そう言えば、」

 ミサトとは一緒に家族として暮らしていた。

 あの時ミサトは大事なことを余り語ってくれなかった。そのために、困ってしまったこともある。

 修学旅行の様に半分言い忘れていたんじゃないかと言ったような事じゃなく、使徒とか、エヴァとか、ネルフとか、そう言ったことについては、イザって時か最後まで殆ど語ってくれなかった。

 どういう理由からだったのかは知る事はできないが、それにはちゃんとした理由があったのかも知れない。

 それはシンジにとってショックな事だったが……あの時ミサトはどう思っていたのだろうか?

 ひょっとしたら、今のシンジと同じように本当のことを話せないことを辛いと感じていたのだろうか?……そうであって欲しいと思う。

(話せるときが来たら話さないとな)

 そのまま黙っていたり、いざというときになって漸く話すなんて事をミサトにはしたくない。シンジがそんなだったのだから、

 早くその日が来て欲しい……そんなことを考えながら眠りにつくことにした。

 研究所の通路を一人で歩いている時に、ユイと出くわした。

「こんにちは」

「こんにちは」

 ユイのお腹はもう結構大きくなってきている。日に日に大きくなっていくその中に自分がいると思うと、やはり複雑と言うよりは、良くわからない気持ちになってしまう……こんな経験をするのは自分ぐらいの者だろう。

「どうかしたの?」

「何でもありませんよ」

「そう?なら良いけれど、」

 一緒に並んで歩るきながら話を交わす。

「昨日ね。あの人がこの子の名前を決めてくれたの」

「そうなんですか」

「ええ、でも、ちょっとと言う気もしたんだけれどね。男の子だったらシンジ、女の子だったらレイって名前にするって言うのよ」

 くすくすと笑いながら子供の名前を言う。

「……シンジ、ですか?」

「ええ、偶然ね」

「それで、そうするんですか?」

「あの人も随分考えてくれたみたいだし、そうするつもりよ」

「この子が生まれたら一緒に遊んでくれると嬉しいわ」

 金輪際ごめん被る。何が哀しくて自分と遊ばねばならないのだろうか……しかし、そう返すわけにもいかずに素直に返そうとしたが、ふとユイは何かに気付いたような様子になったので、その事を聞くことにした。

「えっと、この子が一緒に遊べるようになる時には二人はもっと大きくなっているなって」

「シンジ君はミサトちゃんと同じくらいの年だから、3年か4年もすれば、大学に進んでも良い年頃よね。その時には復興もそれなりに進んできているだろうしって思って」

 大学、その前に高校、最もこんな状況では本当に通えるかどうかなど分からない。このまま、研究所から出られないような生活ならそんなことは確実に無理だが、ミサトやリツコ、加持達は第2東大の時の友人だったはず。高校はどうかは知らないが、大学には行けると言うことか、

(第2東大か……)

 復興もまだまだ途上だったし、2015年ほど大学進学者が多いわけではなかっただろうが、その分、限られた大学、それも頂点の一つの大学ともなれば、みんな必死……競争は相当なものになるだろう。

 そんな中で、しかも今よりももっとミサトの状況は悪かったはずなのに、良くミサトは通ったものである。

「どうしたの?お勉強嫌い?」

「そ、そんなわけじゃないですよ」

 嫌いではないが……比較対象が対象である分どうしても退いてしまう。

 そう言えば……ユイももう一つの頂点の京大だし、エヴァを作った科学者。碇は知らないが、ネルフの総司令まで上り詰めたのだから、相当頭は切れるはず。

 確か、レイもテストの成績はかなり良かった気がするし、難しそうな本を結構読んでいた。アスカは13歳で大学を出ているし………

(ひょっとして、僕だけ)

 アスカの「アンタバカァ!?」と言う声が頭の中で反響する。そうして、どよ〜〜〜んと気分が沈み込んでしまった。

 その後、なんだかんだと言うことで、勉強用にと言うことで中学生相当の勉強用具を一式用意して貰った。

 勿論セカンドインパクト前の代物だが、ぱらぱらっと捲ってみると社会以外はシンジが勉強してきたことと似たような内容を扱っているのは多かった。

 社会は、今が一番大きく動いているときであって、殆ど使い物にならないが、受験という意味で考えればそれはみんな同条件であるはずである。不満はあるが、仕方ない。

 シンジがベッドの上にゴロンと寝転がると、ミサトが近付いてきて問題集の一つを手に取った。

「……勉強好き?」

 ミサトはちょっと微妙で曖昧な表情を浮かべた。好きなのも嫌いなのもあるって事なのか、それとも他の答えなのかはちょっと分からなかったけれど、

 ミサトはパラパラと手に取った問題集を捲って中を見ている。それは、三年生用の数学の問題集でシンジには難しい。

「分かるの?」

「……少しなら」

 ミサトは中2の夏までしか授業を受けていなかった筈なのに……自分で勉強していたのだろうか?

「じゃあさ、こっち教えてくれないかな?」

 2年生の問題集をミサトに見せる。それに対してミサトはコクリと頷いてくれた。

 こうして、ミサトに勉強を教えて貰うと言うことが始まった。

 いつもシンジに色々と教えて貰っていた分、逆にシンジに何か教えると言うことができたのが嬉しかったのだろうか?その日はミサトは随分御機嫌のようだった。

 5月に入ったころ遂にユイが産休を取ることになった。

「そろそろ、この子のためにもね」等と言っていた。ここで、ユイが何の研究をしているのかは知らないが、多分人類のための研究をしているのだろう。

 全体のために尽くしすぎて自分自身が不幸になってはいけないが、自分のことを優先しすぎて、全体の未来を暗くしてしまっては元も子もない。

 普通の人間でも仕事と家庭というので悩む人は多いが、ユイの場合は背負っている物事が随分大きい。その辺りは両方を天秤にかけて選び取っていったのだろう。

 その結果、自分の体と胎内のシンジのために今のタイミングで産休を取ることにしたと言うことだろう。

 それからもう一つ、子供が生まれた後はユイは別の研究所に移るらしい。

 碇と同じ研究所に移るらしい。その場所については人工進化研究所というどこかで耳にしたような気がする単語を聞いたが、新聞などではまるで報じられていない…一般には知らされていない研究所なのだろう。

 ユイとのことは色々な想いがあるが、これから生まれてくるシンジとは顔をあわせなくて済みそうでその話を聞いたときには、その事で心底ほっと胸を撫で下ろした。

 ユイがいなくなったことで、ミサトが心を開いている者がこの研究所ではシンジ一人になってしまった。

 それは、余り良いことではないのだが、ミサトは自分にだけしか心を開かないというのはどこかちょっと嬉しくもあった。

(なんだかなぁ)

 それは、ミサトのことを独り占めしたいと言うことなのだろうか?

 ……ミサトに目を向けるとユイがプレゼントとして大量に残していってしてくれた本を早速読んでいる。

 シンジの視線に気付いたのか、ふと読むのを止めて、シンジにどうかしたの?と言った表情を向けてくる。

「何でもないよ」

[日常] 本当に早いねぇ……

2005年もあっという間に半分終わってしまいました。

後半もあっという間なのでしょう。

さて日記を新装したのにはちょっとしたSSやシチュを掲載したときに読みやすく、という目的もあったわけですがいかがでしょう?

YUKIが早速ひとつ掲載したようで。

SSは無理ですがシチュぐらい私も書けたらいいなぁなんて思ったり思わなかったり。