鋼鉄の処女

第4章 カヲル君と演奏会

 *「変だぞ?キャンセルしたんじゃなかったのか?」  ※「後で調べておきます。」
【第三新東京駅】  「この町に、若き才能の集う音楽堂が所在する。」  「コンサートホールの舞台に立つなんて、胸がドキドキする。」 【国立音楽劇場】  「こんな大きなコンサートホールで演奏するの?」  「参加者は32名、僕達は8番目だ。」 【国立音楽劇場・控え室】  「初めて着るんだけれど、何だか結婚式みたいだ……。」  「似合っている、君はとても可憐だよ。」
 *「男に可憐と言ってもなあ…。」  ※「言われた方もなんだかなぁ…。」
 遠くから観客の拍手が聞こえる。  「膝が震える……汗が滲む……手が滑ったらごめんね。」  「シンジ君に限って、それは無い。」  「そんな……。」  「君はかなりの弾き手らしい。」  「家で気まぐれに弾く程度なのに……そんな話、誰から聞いたの?」  「君の事は何でもわかるよ。」 【箱根・小涌谷・渓谷】  「この寂しさはなんだろう。」  「孤独という感覚は、大人になる成長過程で、誰もが体験する。」  「大人になりたくないって言ったら?」  「‘喜び’を知れば背伸びさえする。」  「よろこび、か……。」  「彼女とは、また学校で会える。」  「わかるよ……でも。」  「僕の気持ちを考えた事、あるかい?」
 *「♪悪魔のブルースを唄う、俺の気持ちがわかるかい?」
 「カヲル君の気持ち?」  「傷つきやすい天使なんだ。」  「そうか。」  シンジは想像した。翼を広げたカヲルに抱き上げられる自分を。  「カヲル君の痛みを考えた事は無かった。」  「君の事が好きなんだ。」  “カヲル君に抱かれたら……僕は優しくなれるかもしれない……。”
 ※「如何にも腐女子の喜びそうな絵ですな。」