文明の章

第八話

◆3人だけの修学旅行、九州と北海道で

5月2日(月曜日)、朝食を取り、ホテルを出て、新大阪ターミナルステーションに向かった。
「ん?そう言えば・・・アスカのあの荷物は?」
アスカが名古屋が買った膨大な量の荷物を持っていない事に気付いたシンジは尋ねて見た。
「はぁ〜?今ごろ何言ってんのよ、宅急便でとっくの前に送ったわよ」
「そうなの・・」
相変わらず、大量に買い込んでいるアスカだが・・・アスカの部屋はそんなに広いわけではない、あの膨大な量の引越し荷物も含めて、一体どうしているのであろうか?
葛城家の不思議の一つである。
まあ、聞かない方が良いだろうと判断して、シンジは黙る事にした。


新大阪ターミナルステーション、新幹線ターミナル、
朝から大勢の乗降客で賑わっている。
『31番ホームに第2東海道新幹線登りのぞみN75号入ります。』
『42番ホームから南勢新幹線下りおおぞらO662号発車します。』
『3番ホームに山陽新幹線下りのぞみN336号入ります。』
目の前のホームに新幹線が入って来た。
「26号車ね。」
3人は列車に乗り込み、自分達の席を探し出して座った。
「福岡まで2時間弱、又トランプでもする?」
アスカはポケットからトランプを取り出して二人に尋ねた。
「いいよ」
「・・別に構わない。」
・・・・
・・・・
「2、2枚、これで決まりね!」
アスカは残り1枚になった。
「ゴメン、ジョーカー2枚」
「・・・・」
アスカの残りのカード《ハートの3》
(どうしろと)
アスカの顔には盛大な縦線が入っていた。
・・・・・
・・・・・
「次行くわよ、次」
・・・・・
その後、暫くの間トランプで戯れた。


福岡駅、新幹線ターミナル、
福岡駅には、山陽新幹線、長崎新幹線(福岡、久留米、佐賀、新佐世保、長崎)、九州新幹線(福岡、久留米、熊本、鹿児島)が乗り入れている。来年から山陰新幹線も乗り入れを開始し、A.S.22年には環九州新幹線も完成するらしい。
3人はターミナルを出て西鉄のホームに向かい、そこで大宰府線に乗って、大宰府駅に向かった。


大宰府駅で下車し、参道を歩く、
参道は大勢の人が行き来している。
やはりなのか、今までの観光地とは違い学生らしき者が多い。
「やっぱり、学業祈願なのかな?」
「でしょうね」


その後大宰府天満宮で御参りを済ませた3人はちょっと参道の店で休んでいた。
「御利益有るかなぁ〜」
「有るわけ無いじゃん。」
即効でキッパリとアスカは否定した。
「・・そんなこというなよ・・」
「お待たせしました〜」
店員が注文した梅ヶ枝餅をを運んできた。


市内のレストランで昼食を済ませた後、3人は新博多ポートランドにやって来た。
埋立地に作られ、3月に開園したばかりの新しいレジャーランドである。
「花火が上がるまで遊ぶわよ。」
「はい、はい、」
先行するアスカに二人は付いて奥へと入って行った。
・・・・・
・・・・・
今、列に並んでいる。
ゾンビハンティングとか言うアトラクションらしい。
カートに乗り、ホログラフのゾンビやそう言った物を銃で撃つと言うものである。
「さてさて・・20分待ちか、まあ仕方ないか、」
ゴールデンウィークの休日・祝日の合間と言う事で、人手は少ない方なのであろう。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
漸くアトラクションの中に入って、カートに乗り込んだ。
「3人プレイよ、」
カートが走り出す。
「行くわよ」
『レベル1スタート』
蝙蝠のホログラフが次々に現われた。
「うおおおりゃぁぁぁああああ!!!」
アスカは絶叫しながら乱射している。
命中率は結構良い様だ。
軽く表情を引き攣らせながらシンジも何発か撃った。
レイも的確に蝙蝠を打ち落としていく。
こっちは、最初は少し外していたが、実弾とのずれを修正したのか、途中から命中率は100%にかなり近くなった。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
『レベル1クリアー、ポイント、プレーヤー1、18100、プレイヤー2、7300、プレイヤー3、17600。』
「ふん、どう?」
アスカは、腰に手を当てて、軽く胸を張って得意そうにしている。
「はは、凄いよ」
「・・・」
「次行くわよ」
『レベル2』
更に蝙蝠の数が増えた。
・・・・
・・・・
・・・・
次々にステージをクリアし、そしてラスボスもあっさりと倒してしまった。
「凄いですね・・・ランクインです。ランクインです、ここに名前をどうぞ。」
「くそっ」

1位 綾波レイ       2430000
2位 惣流アスカラングレー 1992000
3位 山田健二        802500
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

結局、修正を加える事で命中率が上がったレイはアスカを抜いていた。
その為、アスカはやはり不満そうであった。


そして、次はお化け屋敷に入る事になり、アスカ、シンジ、レイの順番で一人ずつ入った。
アスカは暗い道を歩いている。
「ん〜、暗いわね・・・」
突然ゾンビが現れた。
「きゃあああああああああああ!!!!!!!」
突然の事で驚いたアスカの鉄拳がゾンビの頭に直撃し首がもげた。
それによって、ゾンビの人形は首なしのゾンビに変わった。
ある意味余計に怖くなったような・・・
・・・・
・・・・
その頃、シンジはアスカの悲鳴で立ちすくんでしまっていた。
「い・・・今の・・・アスカの・・・・あのアスカが・・・悲鳴・・・・」
ぶつぶつと呟き先に進もうとしない。
あのアスカが、と言う事がより一層凄まじい物を想像させてしまい恐怖を掻き立てられ、足が竦んでしまう。
「・・シンジ君、」
そうこうしてる内にいつの間にかレイに追い付いていた。
「あ・・・あのさ・・・一緒に行ってくれないかな?」
女の子に縋るなんて・・・僕って・・・とか思いつつも、怖いよりはマシ、
「・・構わないわ、」
シンジはレイの右手を握った。
(あ・・・シンジ君・・・)
暫く二人は手を繋いで歩いていると何かがシンジの足に当たった。
「ん?」
シンジはその何か・・・それはアスカがもいだゾンビの首であった。
「うわあああ!!!!!」
そして、目の前には首無しゾンビが、
「ぎゃあああああああ!!!!!!!」
シンジはレイに抱き付いてガタガタと震えている。
「・・・何が怖いの?」
レイは全く怖くないらしい。
「だ、だ、あっ、ご、ごめん!」
シンジはレイから飛び離れた。
「・・良い・・」
ほんのり頬を赤く染めてレイはシンジの手を掴み少し引き寄せた。
「・・行きましょう。」
「あ・・・うん・・・」
その後、色々とより怖い物を見ることになった。
シンジの悲鳴が何度も響く、その一方でレイは・・・・その度に顔を赤く染めていた。


さっさとお化け屋敷を出たアスカは出口で二人が出て来るのを待っていた。
「む〜〜〜、遅いわね」
・・・・・
・・・・・
・・・・・
シンジはレイに支えられながらお化け屋敷を出てきた。
「・・・・・もう、入らない、もう行かない。行っちゃ駄目だ、入っちゃ駄目だ・・・」
シンジはぶつぶつ呟いている。
「レイ・・・どうしたのこれ・・・」
アスカはシンジの状態を見てレイに尋ねた。
「・・怖かったみたい、」
「ん〜、だらしないわねぇ〜・・・まあ、アタシも吃驚したけど、すっきりしたからいいや」
アスカは伸びをした。
「すっきり?」
お化け屋敷とは似つかわしくない言葉にレイは首を傾げた。
「・・駄目だ、入っちゃ駄目だ・・・」
・・・・・・・
・・・・・・・
その後、ベンチで休んでいたが、シンジが回復したのは結局約1時間後であった。
そして、今度はシンジの発案で無難と思われるコーヒーカップにしたのだが・・・
「回すわよ〜!」
アスカは思いっきり中央のハンドルを回した。
「うわああ〜〜〜!!!」
物凄い回転で、平衡感覚が出鱈目になる。
周りのカップに乗っている人達は、異様な速度で回転するカップと、叫び声を上げるシンジに注目を注いだ。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
シンジとレイはふらつきながらコーヒーカップを降りた。
「・・・あう・・・」
「・・問題・・・あるわ・・・」
「なっさけ無いわねぇ」
2人の情けなさに少し呆れ気味のアスカだが、周囲の人達はシンジとレイに同情の視線を注いでいる。
あれは無茶だ、
・・・・・
・・・・・
20分後、更に無難なところで、ゴーカート・・・しかし、やはり・・・・
シンジの乗るゴーカートは後ろから強い衝撃を受けた。
「シンジ遅いわよ!」
アスカが後ろから車体をぶつけているのだ。
「わああ〜〜!!」
シンジはアクセルを全開にしてアスカから逃げた。
しかし、ぴったりと後ろについてくる。
「くふふふ」
「な、何でだよ〜!!」
(レ、レイは?)
レイの姿を探すと、かなり先の方を走っている。
「あ、あのさ、アスカ、レイはずっと先にいるけど良いの?」
「え?」
アスカもレイの姿を探し、そして、見つけた。
「この惣流アスカラングレー様を出し抜こうた〜良い根性じゃないのよ!!」
アスカは猛スピードであっさりとシンジを追い抜かした。
(ごめん、レイ・・)
シンジは謝らずにはいられなかった。
・・・・
・・・・
結局のところ、アスカはレイに追い付けず、被害を受ける事は無かった。
「きいい〜〜!!」
悔しがるアスカ・・・
「まあまあ」
そして、なだめるシンジ、
「・・・」
やはり、我関せずなレイ、
その後も、その3人は色々なアトラクションを回った。
全体的にこの旅行自体にも言える事だが、特にこの遊園地ではアスカが子供っぽい行動を取っている。
今まで、こう言うところに来た事が無く、その為に童心に返ると言ったらおかしいが、そう言ったようなものなのであろうか?
只、程度の差はあれ皆楽しんでいると言う事は事実の様である。


夕食は遊園地の中央付近にあるタワーの展望レストランで取る事に成った。
「ま、一杯だけなら良いでしょ」
グラスワインが運ばれてきた。
「じゃ、かんぱ〜い」
「乾杯」
「・・乾杯、」
そして、みんな口を付けた。
「ん、結構美味しい」
「・・美味しい・・」
「じゃ、食べましょうか」
そして、様々な照明に映し出される遊園地の数々のアトラクションを眺めながら軽い談笑を交えての食事を取った。


その後、3人は行列に並んで観覧車に乗った。
現在日本最大の観覧車である。
時間を見て花火が上がる頃に上に行くようにあわせてきた。
・・・・・
・・・・・
かなり上の方まで上がって来ているので福岡やその周辺の街の夜景が美しく見える。
「何か今回の旅行、景色ばっかり見てない?」
「・・そう・・言えば・・そうね・・・・」
何だかレイが非常に眠そうである。
「皆違った趣があって良いんじゃない?」
「・・そうだね、」
暫くするとレイは眠りに落ちて行った。
(これはチャンスね)
「ねぇ、シンジ、こっちおいなさいよ、レイ寝ちゃったみたいだし、」
「あ・・・うん・・そうだね・・・・」
どこか、シンジはこちらに来辛そうである。
小首を傾げて少し考える。
そして、位置関係に原因がある事に気付いた。
アスカはシンジの前に座っている。アスカの横に来ると、アスカの右側、即ちアスカがシンジの左側にいる事に成ってしまうのだ。
軽く溜息をつく。
(・・・シンジの左は、レイの指定席か・・・)
アスカは席を右に移動し、先ほどまで座っていた所を軽く掌で叩く、
「ささっ」
「あ、うん、」
シンジはレイを横にして、アスカの左隣に移動した。
「あれ、福岡駅ね」
アスカは福岡駅を指差した。
「ほんとだ小さく見えるなぁ」
光の帯が高速で移動している。恐らくは新幹線か何かなのだろう。
「あれは、博多空港だね」
海上に浮かぶ人工島に誘導灯と思われる光が並んでいる。
そして、飛行機と思われる光がそこへと降りて行く、
博多港に停泊している船らしき光も見える。
その後暫く、遠くの建物や道路、鉄道などについて話をしていたが、突然照明が落ちた。
「え?停電?」
「花火が上がるのよ」
空に非常に大きな花火が花開いた。
「うわ」
それを合図にしてか種々の花火が次々に打ち上がる。
アスカの姿が、花火の灯によって照らし出されている。
「・・綺麗ね・・」
「あ・・・うん・・・」
少しアスカの姿に見惚れていたシンジは、生返事を返した。
「ねぇ、シンジ・・・アタシとこの花火、どっちが綺麗?」
「え?」
「・・・ねぇ、」
「・・あ・・・うん・・・・アスカの方が・・・綺麗だと・・・思う・・」
シンジは赤くなりながら答えた。
「ありがと」
アスカは、シンジに肩を預けてきた。
「・・・」
シンジは更に真っ赤になる。
暫くそのまま二人で花火を見ていた。
下に降りてきて、そろそろ、と言う事に成ったので、シンジはレイの体を揺り動かした。
「・・う・・・うん・・・」
「レイ、そろそろ、降りるよ」
その後ポートランドを出て、近くのホテルで1夜を過ごした。


5月3日(火曜日(憲法記念日))、朝、3人は、ホテルを出て、タクシーで福岡空港に向かった。
そして、飛行機で、一気に新千歳へと飛んだ。


シンジは、窓の下を見下ろした。
陸地が小さく見える。
そして、見える地形から随分速い速度で移動していると言う事が分かる。
「やっぱり、飛行機は速いなぁ」
「当然でしょうが、遅かったら飛ばないわよ」
「まあ、それはそうなんだけど」
その後、到着するまで居眠りをして時間を潰す事にした。


新千歳空港国内線到着ロビー、
現在大規模な改装改築工事中でちと狭く、混雑している。
そして、空港の外に出た。
肌に当る風が涼しく心地良い。
「ん〜、流石に北海道は涼しいわね、」
「そうだね」
「・・ええ、」
3人は高速連絡バスで札幌へ向かった。


札幌駅裏バスターミナル、
到着するなりアスカはグルメ雑誌を取り出して、印を付けた店を地図で確認した。
「さてと、思いっきり食べるわよ」
2人は苦笑した。
「うん、分かったわ、行くわよ」
アスカは二人を引き連れて、駅から近いラーメン屋に徒歩で向かった。
5分ほど歩きラーメン屋に入って席につくと、店員が注文を取りに来た。
「キャビアラーメン」
「えっと、みそバターラーメンを」
「・・・野菜ラーメン。」
「はい、少々お待ち下さい、」
・・・・
・・・・
・・・・
「はい、どうぞ」
3人は運ばれてきたラーメンを食べ始めた。
非常に美味しい。
「美味しいや」
「なかなかね」
レイも頷いた。


その後も色々と食べ歩いている。
今は歩行者天国を歩いている。
「えっと、この先の、角を右に曲がって・・」
アスカが雑誌の地図を確認している。
反対側から栗毛の少女が二人の友人と共に歩いていた。
「でさ〜、金剛がさ〜」
「そうよねぇ、あのハゲ」
「いやいや、只のハゲじゃなくてバーコー・・・」
栗毛の少女は、言葉の途中で固まった。
「ミナ〜、どうかしたの?」
「・・あ、うん・・」
ミナと呼ばれた少女の視線の先にはシンジ、レイ、アスカの3人がいて、こちらに向かって歩いてきている。
「・・・あっ、」
このままだと拙い、そう感じて、ミナは、慌てて近くの店に飛び込んだ。
「あっ、ちょっと!」
「待ちなさいよ!」
二人の友人はミナを追って入ってくる。
ミナの視線はじっと3人に向けられている。
「・・シンジ・・」
3人は何やら楽しそうに話をしながら前を通り過ぎていく、
全くミナには気付いていないようで、ほっと息をつく。
そして、思い出したかのように友人を見ると、にたにたと笑みを浮かべていた。
「ミナァ〜」
「う・・・」
「さっきの彼とどう言う関係?」
「前いたところの彼氏?」
「「ねぇねぇ、さっさと白状しなさいよ」」
声をそろえてぐいぃ〜っと顔を近づけて来る。結構恐い。
「ちょうど喫茶店だしぃ〜」
「ご、ごめん!」
ミナは友人に一言謝り、逃げた。
「くそ〜ミナのやつぅ〜」
「・・御客さん達はどうされます?」
「・・・むぅ・・・」
「まあ、今から帰っても暇だし、なんか食べてくか」
「そね」


シンジ、レイ、アスカの3人は、未だ歩行者天国を次の店を目指して歩いている。
「・・・・?」
レイは何か妙な視線を感じてきょろきょろと辺りを見まわした。
「どうかしたの?」
「・・・なにか・・・気のせいかしら?」
軽く首を傾げる。
・・・・
・・・・
・・・・
電柱の影に身を潜めていたミナは汗をかいていた。
(レ、レイさん、す、鋭過ぎ・・)
3人が再び歩き始めたのを確認して、先ほどよりも間隔を取って尾行を再開する。


今、3人の目の前には大きな蟹があった。
レイはどうも駄目なようで、蟹は食べずに、別の海草などを中心にした単品料理を頼んで食べている。
「・・・」
アスカは凄まじい勢いで蟹を食い漁る。
「うん、美味い美味い、」
レイのアスカに向けられている視線はその食べっぷりには呆れているようである。
「ほんと、これ美味しいや、」
シンジも美味しいのでついついどんどん食べてしまっている。
・・・・
・・・・
その頃、ミナは財布の中身を見ながら哀しげな顔をしながら蟹を食べていた。
(うう〜、シンジ〜、ここ高過ぎるよ〜・・・でも、美味しい、)


その後も3人は次々に店を梯子して・・・最終的にはシンジとアスカが食べ過ぎでへばっていた。
今は公園のベンチで休んでいる。
「・・食べ過ぎ、」
「うっさいわねぇ〜そんなこと、うぷっ」
アスカは慌てて口を手で押さえた。
「うぎゅ〜」
シンジも動けない、
レイは先ほど買ってきたバター飴を口にいれた。
甘味が口の中に広がる。
(・・美味しい・・)
一方、ミナは近くの木陰に腰を下ろし涙を流しながら、焼きとうもろこしを食べていた。
「うう・・・美味しい・・・でも、・・・」
財布の中には紙幣は勿論、小銭も缶ジュースが買えるかどうか程度の額しか残っていなかった。
「・・うう・・・」
シンジと会うわけには行かない、しかし、やっぱり・・・とついて来てしまったのが運の尽きか、
会えもしないのに、只財布が軽くなっていく。
自制心が無いだけとも言うが、
「「ミナ!」」
何時の間にか友人二人に挟まれていた。
「あ・・」
「「さあ、白状してもらうわよ!」」
両脇をがっちりと掴まれ、ミナは連行されて行った。
・・・・
・・・・
「なんか・・・騒がしいわね・・」
アスカは、ミナが連れて行かれる方向を振り向くが木が邪魔で見えない。
「・・何かあったのかな?」
「うぷ」
立ちあがろうとして、慌てて口を押さえた。
「・・・だめ、シンジ見てきて、」
「・・・僕も駄目、」
「・・・・」
だったら、あんなに食べなければ・・・そんな視線に思える。
「レイ、そんな目で見ないでよ〜」
良く分かっていないが、取り敢えず視線を逸らせる事にし、直ぐに静かになったので、そのまま捨て置く事にした。
小1時間ほどしてから、レイはタクシーを呼んで、二人を乗せて、今日泊まる札幌第7ホテルに向かった。


札幌第7ホテルの部屋に入るなり直ぐにアスカとシンジはベッドに倒れ込むように横たわった。
「・・・だめ・・」
「・・・僕も・・・」
レイは軽く溜息をついた。
「・・おやすみ、」
「「・・おやすみ・・」」
レイはソファーで少し横に成る事にした。


夜になってきて、レイは少し何か食べたく成ってきた。
二人に視線をやるが、もう動きたくない様だ。
「・・なにか、食べてくるから、」
「・・いってらっさ〜い・・・アタシは良いから、」
そりゃアレだけ食べれば、もう十分過ぎるだろう。
シンジの方は寝ている様である。


レイはレストランにはいった。
席につきメニューを見て、紅茶と夕張メロンを頼んだ。
直ぐにカットメロンが運ばれてくる。
赤い果肉のメロン。
良い香りがする。
フォークでカットされた果肉をさして口に入れる。
「・・美味しい、」
札幌の夜景を見ながら、ゆっくりとメロンを味わう。
「・・・でも、シンジ君やアスカと一緒に食べる方が良い・・」
一人で食べると、どうも、その味は半減してしまう。それでも十分に美味しいが、やはり、この味をシンジやアスカなどと共に味わいたい。

あとがき
3人の旅行も後半に入り、話的には後1話と成りました。
後半、札幌で出てきたミナと言う少女、正体は分かるとは思いますが・・・彼女に関しては、アンケートに協力してくださった方に送る外伝の方で詳しく出てきます。

次回予告
首都を訪れた一行は、買い物を済ませたあと、耕一との約束で、インペリアルホテルで開かれたパーティーに代理で出席する。
その夜、嘗て第2新東京市に住んでいた時の事をシンジは回想する。
翌日東京でレイラと出会い、レイラに案内されて東京観光を楽しむ。
そして旅は終わりを告げ3人は日常に戻る。
次回 第九話 3人だけの修学旅行、東京で