文明の章

第拾六話

降り続く雨

 6月26日(日曜日)早朝、
 耕一と蘭子が会長室の窓から強く降り続いている雨を眺めていた。
 強い雨のせいで遠くの方の町並みが見えない。
「……良く降りますね」
「ああ、それにしてももう1週間か……そろそろ大きな災害が起きそうだな」
「ええ、連日記録的と言う言葉がニュースで踊っていますからね」
 ドアがノックされた。
「榊原か?」
「はい、」
 榊原が会長室に入ってきた。
「どうした?」
「政府が対策本部を立ち上げます」
「そうか、では、我々も動くことにするか、準備をしてくれ」
「「はい」」


 昼下がり、アスカがリビングに寝っ転がり、煎餅をかじりながらテレビを見ていた。
 この大雨に関する特別番組をしている。
『近畿地方に猛烈に強い雨を齎しているこの雨雲は、今日夜には関東地方に達すると予想されています』
「アスカ〜」
 ソファーに座って見ていたシンジが声をかけてきた。
「な〜に?」
「喉、乾かない?」
「ん〜そうね、ジュース持って来て」
「うん」
 シンジが立ち上がろうとしたが、すっとレイが先に立ちあがってリビングを出て行った。
『これからですが、南から更に湿った風が吹き込み、いっそう雨脚が強まるものと思われます』
『非常に危険な状況で、気象庁は各方面から警戒を呼びかけています』
 暫くしてレイがオレンジジュースが入ったコップを三つもって戻ってきた。
「はい、」
 先ずシンジに渡す。
「ありがと」
 次にアスカ、
「ん、」
 で、最後に残った一つを手にソファーに腰掛けた。
 最初は多くの問題があったが、やっとそれらにも慣れ、日常の一部と成りつつある。また、シンジとレイも、どう
いう事をするとアスカのイライラを募らせるのかと言うことも分かってきたため、そのような行動を避け足りしてい
る。その結果、アスカのイライラも随分収まってきた様である。
『各地の川で増水、氾濫などが予想されます。災害に気を付けて下さい』
「……そろそろ、勉強するかな?」
「そうね、じゃ、やりましょうか」
『既に以下の地域に避難勧告がは』
 テレビの電源を切り、勉強を始める事にした。
 今日も、アスカとレイの二人がシンジに勉強を教えていく……もう随分学校に行っていないけれど、着実にシンジ
の学力は伸びていっているだろう。


 ネルフ本部発令所では、ミサトが「帰りそびれたか」とぼやいていた。
 碇、冬月、ユイの三人が留守にしている今、最高指揮権者であるミサトが帰るというわけにはいかない。
「……いつまで降るのこの雨?」
「夜には峠は越えると思いますが」
「まあ、あの子達は、大丈夫だろうけれどねぇ……」
 会話を交わしていると、突然警報が鳴り響いた。
「「何事!?」」
 オペレーター達が一斉に異常が出ている個所を探し始める。
「ジオフロントです!」
 ジオフロントの映像が主モニターに映し出された。
 地上とジオフロントを繋ぐ地下鉄のトンネルから大量の水がジオフロント内に噴出している。
「何よ、これ」
「地下鉄駅が水没した様ですね」
「連絡トンネル閉鎖」
「はい」
 日向はパネルを操作した。
 暫く時間が経ったが、何も変化がない。
「あれ?」
「どうしたの?」
「閉鎖できません!」
「何ですって!?」
 青葉が掛かって来た通信回線を取った。
「はい!?」
 こんな時にと声が苛立ってしまったが、相手は東京からで、青葉は汗を流すことになってしまった。
 ちなみにその通信は、ジオフロントに浸水するかも知れないから〜的な内容だったが少し遅かった。
「このままでは、その内ネルフ本部に浸水の恐れが……」
「ユイ博士達は?」
「未だ、戻って来ていません」
「と、言うか、そもそも戻れるの?」
「……どうでしょうか、」
 他のトンネルは順調に次々に閉鎖されていっている。


 その三人は、新幹線静岡駅で足止めを食らっていた。
 窓の外はやはり凄い大雨である。
「……良く降るな」
「ああ」
「何事も無ければ良いがな」
「ああ」
『只今、大雨の為運転を見合わせております。御乗車の御客様には御迷惑をお掛け致します』
 ユイがトイレから戻ってきた。
「しばらくは戻れそうにないですね。どうします?」
「問題ない、急ぐ理由はないからな」
「そうだと良いんですが、」
 と返したとき、三人の携帯が一斉に鳴った。
 マナー的にはデッキに出て取るべきだが、その場ですぐに取った。
 内容は、ジオフロントへの浸水の報告で、それを聞いた三人の表情が先ほどまでとは一変する。
「……どうする?」
「この雨では戻るのは難しそうですね」
「浸水が起こっているとなると、第3新東京市にたどり着いたとしても本部に入れるかどうか怪しいな」
「射出口でも使えば問題ないだろうが……いずれにせよ時間がかかることは間違いない」
 と言うことで、ミサトに全権を預けることに決定した。


 未だゲートを閉じる事が出来ずに、水の流入は続いていた。
「機械で塞げないなら、人の手で塞ぐしかないわ。職員に行かせて」
「「はい」」
 10分後、ジオフロント上部に機材を持ったネルフ職員たちが集結した。
「御願いね」
『任せてください』
 そして百名を遙に超えるネルフ職員たちが隔壁を人力で閉める作業を行い始めた。
「隔壁閉鎖率11%」
「行けそう?」
「……水圧が上昇しています。なんとも言えませんね」
「閉鎖が止まりました」
「水圧依然上昇中、」
「隔壁開かれていきます。閉鎖率9%」
「未だ水圧が上昇しています」
「駄目か……」
 排水ポンプを動作させてジオフロントの水を排出しているが、とても追いつかない。もしこのまま続けば、ネルフ
本部が崩壊するのは時間の問題である。
「あの、エヴァを使っては?」
「しかし、シンジ君もアスカもレイもいないぞ、」
 マヤの提案に日向が反論する。
 今からシンジ達を呼んでも、随分時間がかかってしまう。
「……一人だけいるわね」
「……成る程。この際それしかないわね……でも」
 複雑な表情を浮かべる。
『ネルフ本部第1層に浸水発生』
「本部内各隔壁閉鎖開始」
「どの位持ちそう?」
「このペースなら5時間ほどかと……けれど、他の場所からもジオフロントへの浸水があった場合は……」
 そうは言ってもその5時間とは中枢に至るまでの話。被害は現在進行形で拡大していくのだ。
「……リツコ、」
「分かったわ。マヤ、」
「はい。技術部の皆、弐号機の発進準備をして」
 マヤが通信で関連するところに伝え、二人は発令所を出ていった。


『エヴァ弐号機のパーソナルパターン書き換え終了しました』
 カヲルがプラグスーツを着込んでケージに入ってきた。
『まさかこんな事で乗ることになるとはね』
「時間が惜しいわ。すぐに搭乗して」
 カヲルは『やれやれ、』と溜息をつきながらだが、指示に従い弐号機に乗り込んだ。
「各拘束具除去」
「LCL排水完了、」
 弐号機が射出口へと移動していく。
「準備は良い?」
『別にいつでもかまわないよ』
「そう。一番ましな射出口は?」
 ジオフロントは水浸しである。ジオフロントに使える射出口を開ければどうしても射出口の中に水が入って来てし
まう。
「どれもさして変わりません。高速で上げずに隔壁を一つ一つ閉じていくしかないかと」
「仕方ないわね……弐号機発進」
 普段のように高速ではなく、ゆっくりとリフトを上げていき、弐号機の位置にあわせて隔壁を閉じたり開いたりし
ていく。


 ジオフロントの様子を映し出しているメインモニターに弐号機の姿が現れた。
 同時に射出口の中に大量の水がなだれ込む……
「浸水は?」
「大丈夫です。隔壁の強度が勝りました」
 ほっと胸をなで下ろす。もし、ここで、隔壁が耐えられなかったら、自殺行為以外の何物でもない。
「いい、ATフィールドで水をせき止めてから、トンネルを破壊して水の流入を止めて」
『分かったよ』
 ATフィールドを展開し、水の流れを遮断する。その上でトンネルの上の壁を思い切り殴りつけ、トンネルを破壊
して瓦礫で埋まらせた。
 ATフィールドの展開を止めると、瓦礫の隙間から水が噴き出す……けれど、先ほどまでに比べればその量は遙か
に少ない。
『これで良いかい?』
「御苦労様。後はこちらでやるわ」
 すぐに安全なところで待機していた職員が作業に取りかかった。
「葛城三佐、東京帝国グループの静岡支社から通信が入りました」
「静岡支社?」
「司令達です。モニターに回します」
 モニターに碇達三人が映った。
「司令、」
『回線を貸して貰った。現状を報告してくれるか?』
「青葉君、司令に送って」
「はい」
 ………
 ………
『指揮は引き続き任せる。被害を最小限に抑えろ』
「はい」
「第441シェルターに浸水が発生しました!」
「何ですって!」
 幸いそのシェルターにいた人は少なく手早く逃げることができ、負傷者などはいなかったが、避難命令に従ったり
、自主的に避難した人などが、地下のシェルターにいる。
「拙いわね。地下シェルターは基本的に使わせないで、高いところにあるシェルターか建物に移動させて」
「了解」
 幸い、使徒が現れているわけではないから避難出来る先は非常に多い。


 下での出来事は、今のところシンジ達には伝えられていない。
 知らせたところで、何か良い方向に動くわけではないからであるが、そのおかげで三人はのんびりとしていられる
。
 今はシンジが夕食を作り、レイが手伝っている。
 そしてアスカはリビングで寝転がりながらテレビを見て、夕食ができるのを待っている。
「玉葱切ってくれる」
 レイは軽く頷いて手早く玉葱を切り始めた。
 ……
 ……
 リビングのテーブルの上に三人分の夕食が並ぶ、
 テレビはどの一部のチャンネルを除いてこの大雨についての報道ばかりである。
『現在、水位は更に上昇を続けており、』
 各地で発生している災害に関する情報が次々に出てくる。
 その中には、第3新東京市に関するものもあり、広い範囲が床上浸水、地下鉄などにも浸水し、交通網が寸断され
ていると言うことが出てくる。
 シンジは窓の外に目を向けた……強い雨は未だ降り続いている、それどころかいっそう強くなっている気までする
。
「流石のミサトも帰ってこれないわねぇ」
「……ネルフ本部は大丈夫かしら?」
「大丈夫でしょ。人類の英知を集結した場所なんだから」
「何か心配だなぁ……」
 テレビにまるで町が大河に飲み込まれてしまっているかのような映像が流れる。いまいち日本の映像とは思えない
。
「とは言ってもアタシ達にできる事って何にもないわねぇ」
 エヴァで大雨をどうにかするなんて事はできないし、そもそも、この状態ではネルフ本部に行くこと自体が困難を
極めそうだ。
「大きな被害が出ないように祈るしかないわね」
「うん……」


 碇達は用意して貰った食事を食べながらお茶を飲んでくつろいでいた。
「この茶はうまいな」
「流石静岡……と言ったところでしょうか?」
「ああ、」
「一つ貰って帰るかな」
「そうですね」
 そんな話をしていると、ドアがノックされグループの社員が入ってきた。
「何か起きましたか?」
「排水ラインの見通しが立ちました」
「そうか、」
「もっとも、この雨が降り続いている限り、気休めでしかないかも知れませんが」
「かまわん。協力感謝する」
「いえ、」
 職員は一礼して部屋を出て行った。
「……ある意味当たり前と言えば当たり前だが、本部は水攻めにはあまり強くないな」
「ああ、だが、水攻めをするくらいなら正攻法の方が楽だ」
「その通りだ。しかし、何らかの対策は取っておいた方が良いかもしれんな」
「うむ、そうだな」


 リツコとマヤは、現時点でできる事を殆どしてしまったため、現状をモニターに表示させつつ、本来の今の仕事で
あるシンジとレイの再サルベージ計画のプログラムを練っていた。
「やっぱり難しいですね」
「仕方ないわ、今回は不確定なものが多すぎるから……少し休憩しましょうか」
「はい、コーヒー入れますね」
 暫くしてコーヒーが入った。
「はい、先輩」
「ありがとう……あら、浸水が広がっているわね」
「え?」
 モニターに表示されていた浸水区画が大きくなっている。
「大丈夫なんでしょうか?」
「小さなものだけなら大丈夫よ。けれど、これが水じゃなくて毒ガスとかだったら危険だったかも知れないわね」
「そうですね」
 もし、これがBC兵器だったら、今頃とんでもないことになっていただろう。
「水が退いたらそれからまた大変そうね」
「でも、切迫してないだけまだ良いです」
「そうね、」


 バスルームで、アスカがシンジの頭を洗っていた。
 あれから毎日このような感じで、やはり目隠しも標準装備である。
「痒いとこ無い?」
「ん?特に無いよ」
「そ、………?」
 そんな感じだったのだが、突然照明が点滅した。
「あれ?」
「どかしたの?」
 そして、消えて真っ暗になった。
「……停電みたい」
「え?」
「取り敢えず出るわよ」
 アスカは手探りで湯船に溜まっている湯を洗面器ですくってシンジにかけてシャンプーの泡を洗い流した。
 バスルームから出ると、懐中電灯の明かりが目に入ってきた。
「大丈夫?」
「ええ、シンジに服着せるから手伝って」
 こんな時でも、シンジは目隠しをされたままだった。
 服を着終わってから目隠しを取って貰えてやっと本当に停電しているというのが分かった。
「ホントに真っ暗だ」
「シンジ〜、このアタシの言う事が信じられなかったって事かしら?それは?」
「そ、そんなことないよ」
「まあいいわ、でも流石にこれは動かないわねぇ」
 充電式ではないから停電している今、ドライヤーは動かない。
「とりあえず拭いておきましょ」
 髪を拭いてからバスルームを出てリビングに移動する。
 部屋の電化製品はみんな停まっていて暗い。
 アスカは窓の外に目を向けた。
 見える範囲の全てが停電しており、豪雨で視界が極端に悪い事もあわせて本当に闇で、向かいのマンションの姿も
見えない。
「暗いわね」
「……どうしようもないね」
「する事って、もう、寝るしかないよね」
「……少し早いけれど、確かにそれしかないわね」
 リビングに布団を敷いて、川の字に成って眠る事にした。
 懐中電灯を消すと、部屋は完全に闇に包まれ、雨の音が響くだけになった。
「おやすみ」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
 そんな中であるが、三人一緒にいられる事が安心に繋がっているのか、暫くして三人とも眠りに落ちていった。


 発令所で、ミサトは顔をしかめていた。
 送電施設が浸水しそうになったので機能を停止したのだが、ミサトが思った以上に影響が大きかった。ミサトのマ
ンションがあるブロックでも大規模な停電が発生している。
 幸い、停電だけでそれ以上のことは発生していないが、三人に付いている保安部のメンバーとも連絡が取れなくな
ってしまった。親衛隊も付いているし大丈夫だとは思うが……
「これから予想される被害は他にどんなものがあるかしら?」
「どうでしょうか……こんな事態はまるで想定していませんでしたからね」
「……そう、」
「新しい気象予測来ました」
「どう?」
 サブモニターに今後の降雨量の予測が表示される。この予測が当たっていれば、今がまさにピークのようである。
「このまま無事に峠を越えてほしいものだわ」
 と言った矢先、新たなブロックに浸水が確認された。
「第4層に浸水発生!」
「該当区画より待避、すぐに隔壁を閉じなさい」
「了解」
「……拙いですね。ダクトが閉鎖出来ません。故障です」
(ちっ)
「ダクトを埋めちゃいなさい」
 工作部隊を動員してダクトにベークライトを流し込んで埋め、区画を隔離した。
「閉鎖完了しました」
(峠を越えたとしても、降水量が排水量を下回らない限り、被害が完全に停まることは無い、か……)


 冬月は指令センターのモニターに映っている情報をじっと見ていた。
 また手元の端末にネルフ本部から送られてきている情報が表示されている。
(何とかなりそうだな)
 上層や工事が杜撰な区画は酷いことになるかも知れないが、ネルフ本部の中枢にダメージを受けることはなさそう
である。
「……御苦労なことだな」
「何がだ?」
「いや、我々が心配するのは結局の所一握りのものだけだ。それに対して彼らは、色々なところに気を配らなければ
いけない」
 指令センターにいる者達は、各方面の機関と連絡を取り合ったり、指揮下にいるものへ指示を飛ばしたり、かなり
忙しそうである。
「それもそうだな」


 シンジは、窓から射し込んで来る光で目を覚ました。
「ん……朝か、」
 上半身をおこし思い切り伸びをする。室内を見回すと、外から差し込んでくる光で闇が打ち払われているが、まだ
電気は戻ってきていないようである。
 側に目を移すと、両隣の布団にそれぞれレイとアスカが寝ている。
「どうなってるんだろ」
 布団から抜け出し窓の方に行く、まだ雨は降っているが、昨日に比べれば随分弱い。普通の雨になっている。
 下の方に目を移すと……完全に水が覆っていて、まるで船の上にいるようである。
 暫くの間外を眺めていたが、突然照明が点灯し電気機器が一斉に動き始めた。
「復旧したんだ」
 早速キッチンに行き、朝食を作る支度を始めた。
 冷蔵庫は、戦闘などによって停電する事に備えて48時間はバッテリ―で動作するようになっているので大丈夫で
ある。
 やがて、良い匂いが漂い始めて来る頃アスカが起きて来た。
「ん〜復旧したの?」
「そうみたいだね」
 アスカはテレビをつけた。
『でに雨は峠を越しましたが、未だに雨は降り続いています。引き続き災害が発生する可能性がありますので警戒は
緩めないでください』
 戦自が災害出動し、各地で救助活動を繰り広げている映像が映し出されている。
「戦自の皆さんも御苦労様ねぇ」
「ホントだね」


「排水量が上回りました」
 漸く流入量を排水量が上回り、ジオフロントの水位が下がり始めた。
 発令所から安堵の息が次々に漏れる。
「これで何とかなったわね」
「けれど上層の浸水は酷いですね……完全排水はいつになるやら」
「大事な施設はやられていないわ。不幸中の幸いね」
「ええ、」
「司令達に報告して」
「了解」 


 そして、昼過ぎに碇達が本部に戻り、早速リツコとミサトが今回の早期報告書を持ってきた。
「留守中御苦労だった」
「ありがとうございます」
「これが、早期報告書です。まだ水が退いていませんし、詳細な結果が分かるまでにはまだ随分かかってしまうと思
われますが」
「それはかまわん。だが、今回のことでいくつか問題が明らかになった。優先順位は置いておいても対策は考えてお
くべきだ」
「はい、調査が完了しましたら、対策を検討します」
「うむ、よろしく頼む」
「ところで、リツコちゃん、再サルベージの方はどうかしら?」
「少々今回のことに手を取られてしまいますが、順調と言えば順調です」
「難しいだろうけれどお願いね」
「はい」