リリン

◆第2話

6月20日(土曜日)、第3新東京市立第壱中学校、2−A、
シンジは起動試験にネルフのチルドレンを誘う為にそのリーダー格であるアスカに声を掛けた。
「ねぇ、今日、初号機の起動実験なんだけど、見学に来ない?」
「あんた、私達を誘ってるの?」
「うん」
アスカは、他のメンバーを見た。
トウジは関心なし、ケンスケはかなり見学したそうである。マナとヒカリは戸惑っている。
「折角だし、来て下さいよ」
レイラが言った。
「ま、今日は訓練もないことだし、じっくり見せてもらいましょうか」
「じゃあ、はい」
シンジは4人にIDカードを配った。
「これ、リリン本部に入るときに必要だから、」
「す、すまんな・・・」
「ありがとう」
「ありがと」


そして、リリン本部に到着した。
アスカがIDカードを取り出してゲートを通ろうとしたとき、アスカのIDカードが他の4人と色が違うことにマナが気付いた。
「あれ?アスカのIDカード白色だね」
「ん?」
アスカのIDカードは白色で、4人のIDカードは赤だった。
「ホントね、」
アスカはカードを通してみた。
ゲートが開いた。
「ま、良いか」
アスカはゲートの中に入った。
4人もそれに続いた。


起動実験室、司令室、
飛龍ジュンコの前に、レイラを含めたシンジとレイを除く子供達が整列した。
「説明するわね、初号機は、複座により、起動実験を行うわ」
「複座?」
「そう、2人のパイロットが同時にエントリーして、シンクロ率の相乗効果と分担作業により複雑な戦術を可能にするのが目的なの、で、今回は、シンジ君が主操縦者、レイが副操縦者としてエントリーしてもらうの、因みにレイを選んだ理由は、シンジ君にパーソナルパターンが酷似していたからよ、零号機と綾波レイを移譲してもらったのはそう言うわけ、それに、零号機ならば、ネルフ側の戦力低下もなく、修理費用はこちらもち、どっちにとっても良いことばかりだからね」
「そんなに同時シンクロに価値があるの?」
アスカは興味心から尋ねた。
「そうね、単純な足し算ならば、シンジ君のシンクロ率を80とした場合」
「ちょっと待ってよ!アタシでさえ70台なのよ!」
「そうね、でも、初号機は、碇ユイ博士が、碇シンジ君の為に作った専用機なのよ、80くらい出てもらわないと困るわ」
「碇ユイ博士・・・」
アスカが呟いた。
(司令の元奥さんで、あいつのママ、そして、エヴァの生みの親であり、歴史上最大の大科学者)
「そこで、レイのシンクロ率が起動指数ぎりぎりであっても、10、足せば90は越える、上手く行けば、100を大きく越えるわ」
「そして、これが2人のパーソナルパターン」
画面上に赤と青の波形が書かれた。そして、完全に重なり合った。
「2人のパーソナルパターンの一致率は、99.89%、ここまで近ければ、異物と判断することは絶対にないし、少なくとも上がることだけは確かね」
「な、何でそんなに似てるのよ」
「偶然の一致でしょうね、後のメンバーでは、一番近かったのが、レイラさんの38.6%後は、マナさんの26.88%、これでは、異物と判断されてもおかしくなかったからパスさせてもらったわ。でもね、一つ気になったんだけど」
「何?」
「アスカさんとシンジ君との一致率が0.11%だったのよ」
「何よそれ・・・」
「で、レイとの一致率が0%、よく分からないけど、凄い偶然もあるのねって驚いていたの」
「何の役にも立たないじゃないの」
「ま、面白いことに興味を持つのは科学者としては必要な事よ、まあ、貴女がネルフにいるから実験できないのが残念だけど」
「リツコみたいな事言わないで・・・」
まさかそのリツコの母親だとは知らないアスカは肩を落とした。
「あの・・・博士、そろそろ始めたいんですが」
「ああ、そうだったわね、搭乗を準備して、」
そして、2人は乗り込んだ。


エントリープラグの中、
シンジの左横の副座席にレイが座っている。
「綾波、僕を信じて、」
レイは頷いた。
『では、起動実験を始めます。』
そして、次々に行程が問題なく進んでいった。
そして、絶対境界線を突破し、初号機が起動した。
「じゃあ、シンクロするよ」
シンジが目を閉じ集中を始めた。
レイは操縦桿に乗せているシンジの左手に右手を乗せた。
レイも目を閉じて集中を始めた。
シンクロ率を表すメーターが凄まじい勢いで上がっていく。


司令室、
「シンクロ率96%、100%、106%、111%、120%、123%」
「凄いわね」
アスカ達子供達もただ呆然と見ている。
「ハーモニクスも完璧です」
「165%、171%、173%、188%、191%、193%、194%、195%・・・196%・・・197%」
「200くらいで止まりそうね」
「シンクロ率、199.78%で安定、誤差ありません」
レイの様子が何かおかしい。
「レイさんの様子が変です!!」
職員の一人が叫んだ。


????、
真っ暗である。
(どこ?)
「暗いから注意して」
(赤木博士の声?)
ライトが点きの目の前に初号機の頭部が現われた。
「ロボット!」
(碇君の声?)
「探しても載ってないわ。」
リツコは1歩前に出た。
「人の作り出した究極の兵器汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン。そして、これはその初号機。開発は超極秘裏に行われた。」
「これも、父の仕事ですか」
『そうだ』
(碇司令)
初号機の向こうに見える部屋のガラス越しに碇ゲンドウの姿が見えた。
『久しぶりだな』
「父さん・・・」
『出撃』
「出撃!?でも零号機は未だ、まさか初号機を?でもレイは未だ動かせないし、パイロットがいないわ」
(パイロットなら、アスカも鈴原君もいるわ)
ミサトが反論している。
「さっき届いたわ。」
「マジなの。」
ミサトの表情が変わり、リツコは軽く頷いた。
「でも、あのレイでさえ、エヴァぁとシンクロするには7ヶ月も掛かったのよ。今、今日来たこの子にはとても無理よ!」
「な・・・」
「今は、エヴァと少しでもシンクロ可能と思われる者を乗せるしかないのよ。座っていれば良いわ。それ以上は望みません。」
(これは何?)
「無理だよ!こんな見たことも聞いた事も無い物にいきなり乗れだなんて。」
『説明を受けろ、お前が適任だ』
「乗りなさい。」
ミサトはきつい口調で言った。
「父さん・・・父さんは、僕がいらなかったんじゃないの!」
『必要だから呼んだまでだ。』
「そんなのって無いよ、折角来たのに・・・」
『乗るなら早くしろ、でなければ、帰れ!』
碇の声が大きな部屋いっぱいに響いた。
(夢にしてはおかしい)
ミサトが顔を寄せた。
「何の為にここまで来たの?」
「初号機のパーソナルをレイに書き換えて!」
リツコは、もう諦めたらしい。
『冬月、レイを起こしてくれ』
『かまわん、死んでいるわけではない。』
暫くして、二人の医師が大急ぎでベッドを運んで来た。ベッドには包帯とスーツを身につけた髪の青い少女が寝ていた。明らかに重傷である。しかしそれ以前にどう見てもレイである。
(あれは私?私なの?)
「えっ」
「うっ」
レイは痛みを堪えながら上半身を起こした。
その時、辺りが揺れた。
『奴め、ここに気付いたか。』
(奴?)
激しい衝撃と共に天井部の鉄骨が落下してきた。
ベッドが倒れレイは滑り落ち床に叩きつけられた。
「ぐうっ」
レイがうめき声を上げた。
思わず手を頭の上に翳した時、初号機の手が動き降りかかる鉄骨を弾いた。
整備士達が驚きの声を漏らしている。
「動いた!」
(動いた)
リツコも驚いている。
「行ける。」
ミサトはシンジが初号機を動かせる事を確信したようだ。
レイの元に駆け寄り抱き起こした。
「あうっ、ぐっ」
レイは苦痛を訴えている。
掌にレイの血が付いていた。
「乗ります。」
「さ、こっちに来て。」
碇の口元に笑みが浮かんでいた。
(これは・・・碇君の記憶?でもこんな事はあり得ないはず、いったい何故?これは何?)


レイの部屋の呼び鈴を押したが壊れている様で音が鳴らなかった。
(私の部屋・・・)
「ごめん下さい・・あの・・碇だけど・・」
シンジはドアを開けて中に入った。
「綾波?」
「いないの?」
眼鏡が気になり台の元に行きその眼鏡を取った。
(眼鏡?何?これは)
眼鏡は少しいがみレンズにもひびが入っていた。
眼鏡をかけてみた。
後ろで何か物音がしたので振り返ると、部屋の入り口にバスタオルを1枚羽織っただけの風呂上りのレイがいた。
「あ、ああの」
レイのはつかつかと歩み寄って来た。
レイが自分の顔に手を伸ばしてきたので、避け様と背中を反らせたら体勢が崩れたので更に修正しようとして前に倒れてしまったようだ。
直目の前にレイの顔があった。
「どいてくれる?」
右手はレイの胸を掴んでいた。
「ほあああああ!!」
驚いて飛び退いた。
レイは起き上がって取り返した眼鏡を台の上に置いて服を着始めた。
(あの眼鏡は何?私の知らない物、でも、私にとって大切な物のよう)
「何?」
「あ、あの、僕は、た、ただ、あ、あの更新、カードをリ、ツコさんに、届けてくれって、言われて、だからその、あの、僕は?」
戸惑いながら言ったがレイは既に服を着て外に出て行っていた。
慌ててレイを追い駆けた。


ジオフロント降下エスカレーター
「今日・・・零号機の再起動実験だよね?」
「・・・」
「綾波は怖くは無いの?」
「何が?」
「何がって・・・その・・・エヴァに乗る事が・・・」
「貴方は怖いの?」
暫く間を置いた。
「そりゃ怖いよ・・・」
「お父さんの事が信じられないの?」
「信じられるわけ無いよ!あんな父親なんか・・・」
レイは振り向いた。
レイの目は怒りのようなものを帯びたている。
次の瞬間、レイの平手打ちが炸裂していた。
その後レイはすたすたとエスカレーターを下りて行った。
(碇君、貴方はいったい何を知っているの?)


仮設ケージのようである。
普段なら都市の明かりが明る過ぎて1等星と月しか見えない夜空に5等星までの星が輝いて見える。
「僕達死ぬかもしれないね・・・」
「どうしてそんな事を言うの?」
・・・
「綾波はなぜ・・これに乗るの?」
「・・・絆・・だから。」
(そう、私がエヴァに乗るのは絆のため)
「父さんとの?」
「いえ・・私と繋がる皆との・・」
「そう・・・」
「碇君はなぜエヴァに乗るの?」
「・・・・・・・・・・」
「そう、自分でも分からないのね・・・」
暫く沈黙が流れた。
・・・
「綾波」
「何?」
「綾波にとって父さんってどんな人?」
レイは瞼を閉じた。
「・・大切な人・・・」
「どんな風に?」
「・・・・・・・・・」
(分からない)
又沈黙が流れた。
「時間よ。行きましょう。」
「あ・・・うん」
二人は立ち上がった。
「碇君」
「ん?」
「貴方は死なないわ。」
「私が守るもの」
「さよなら」
レイはリフトに乗り下りて行った。


初号機のようである。
『後20秒』
『使徒過粒子砲を発射!』
正面が光り初号機が光に包まれた。
「!!うわああああ!!!!」
零号機がシールドで過粒子砲を遮っていた。
「綾波ぃ!」
「早く!」
マークが真ん中に集まりかけた。
シールドが溶け切り零号機のボディに過粒子砲が着弾した。
「早く!!」
マークが揃った。
スイッチを押し陽電子砲を発射させた。使徒を貫き陽電子が上空へと上がっていった。
零号機が崩れ落ちた。
「綾波!!」
初号機は零号機の後方部を破壊しエントリープラグを取り出した。
直に初号機を降りてエントリープラグに駆け寄った。
「綾波!!大丈夫か!!」
ハッチに手を掛けた。
「あつッ」
「くそぉ!」
無理やりハッチを抉じ開けた。
「綾波!」
エントリープラグの中でレイが気を失っていた。
「綾波!おい!」
レイが薄っすらと目を開けた。
「碇・・・君?」
「綾波・・・」
「別れ際に、さよならなんて言うなよ。悲し過ぎるじゃないか。」
「何故泣いてるの?」
「バカ、綾波が生きてたから・・嬉しくて泣いてるんじゃないか・・」
レイは驚いたような顔をした。
「そう・・・・・・ごめんなさい、こんな時どんな顔をしたら良いのか分からないの」
「笑えば良いと思うよ。」
レイは、少し驚いたようだが、少しして緊張が解けて自然に顔に微笑が浮かんだ。
(私・・こんな顔できるのね)
「どうしたの?」
「あっ、うん」
手を差し出した。
「立てる?」
レイは手を掴み、レイの手を肩に掛けさせレイを立たせた。
そして二人はエントリープラグから出た。
「綾波・・・今、僕らにはエヴァに乗る事以外何も無いかもしれないけれど・・・・でも、生きてさえいれば、いつかきっと必ず生きてて良かったって思う時があるよ・・・」
レイは月を見上げていた。


エントリープラグの中、
シンジが肩を揺すっていた。
「綾波!!しっかりしろ!!」
「・・・碇君?」
「綾波!!」
シンジはレイを抱きしめた。
「良かった、本当に良かった」
シンジは目にうっすらと涙を浮かべている。LCLの中で何故・・とも思うがまあ良かろう。
(こんな時・・・笑えばいいのね)
レイは極限の笑みを浮かべた。
ジュンコを除く全ての者がその笑みに魅せられた。
・・・・
・・・・
・・・・
『もう良いようね、上がってちょうだい』


実験終了後、レイはずっと考え込んでいた。
リリンのメンバーは、レイに何があったのか尋ねなかった。レイの自主性を育てるためのようだ。


ネルフ本部、
アスカ達は、リツコに、同時シンクロに関して話した。
「199.78?」
リツコの声が震えていた。
「私達でも同時シンクロできるの?」
「・・やってみる?」
結果、弐号機では、アスカ単独が72%に対し、ヒカリ86%、ケンスケ65%、マナ81%、トウジ16%となった。
「パーソナルパターンは特に関係ないようだけど・・・・、しかし、アスカとトウジ君・・・相性最悪ね・・・」
そして、参号機では、トウジ単独が30〜40%、ヒカリ67%、ケンスケ62%、マナ51%、アスカ−21%となった。
「搭乗者同士の相性が問題ね、アスカ、参号機の場合、あくまで貴女が副パイロットなのよ」
「だってぇ〜」
「実戦はともかく実験では協力して」
アスカとトウジの場合、お互いに足を引っ張り合っているらしい、特にアスカが副パイロットの場合、地底にまで引きずり下ろすらしい。
「でも、候補生に訓練しておいたかいがありましたね。」
「どうミサト?」
「ちゃんとした副座のエントリープラグと、同時シンクロのシステムが整えばどこまで行けるかしら?」
「そうね・・・・チルドレン同士の組み合わせが使えないのが痛いけれど・・・100%前後かしら?」
「そう・・・初号機にはかなわないわね」
「でも、単純な足し算ではなく、相乗効果が認められる場合、アスカとトウジ君の同時シンクロが上手く行けばあるいは」
「リツコらしくないわね」
「そう?面白い現象に興味を持っただけよ、それよりもミサトらしくないわよ」
「そうね・・・そうかも知れない、多分、ネルフ以外、私の指揮以外で、使徒を倒せるのが気に入らないのね」
「そう考えると貴女らしいわね」
「そうね・・・」
「何暗くなってんのよ、」
「副操縦士はあくまで主操縦士の補佐・・・なんかリリンが綾波を要求した理由が分かるな」
ケンスケが言った。
「そうね・・普通の人間は自分を消すことは出来ないけれど、レイなら出来る・・・リリンは完全に同時シンクロの特性を掴んでいたわね・・・・でも・・・エヴァなしにどうやってエヴァの情報を・・・」
「マギに進入されたんじゃないの?」
「あり得ないわ、それに、同時シンクロのデータなんかあるわけないじゃないの」
「そうね」
「あの・・・腹へっとるんですが」
「ん?ああ、良いわよ、今日は、私が奢るわ」
「よしゃぁ!」
「ミサトは別よ、」
「なんでよ!」
「当然でしょ、この前、いったいいくら奢ることになったと思って?」
「う・・・」


ネルフ職員食堂、
リツコの奢りで食事中、
子供達は別のテーブルでわいわい楽しんでいる。
「マギの回答よ」
ミサトとマヤは目を通した。
「これ・・・どう言う事?」
「単純明快、同時シンクロでは、シンクロ率160%前後が上限よ、これは、それぞれ、単独で100%のシンクロ率を誇る者がシンクロした場合でよ」
「どう言う事?」
「簡単な事よ、エヴァが専属パイロット制を取っているのは伊達じゃない、つまり、パイロットAはエヴァAとシンクロ率100%、パイロットBはエヴァBと100%だとしても、実際にはエヴァAかエヴァBいずれかに、2人が搭乗することになる。その際に、パイロットAがエヴァBと、逆にパイロットBがエヴァAに単独で乗った際のシンクロ率は?40%を遙かに割り込むでしょうね、そして、常識的に考えて60%を越えることはあり得ない、だから、多少の相乗効果を考えても160%前後・・・これが理論限界値よ」
「でも、初号機は200%近いわよ」
「完全に我々のミスよ・・・まず、サードチルドレンと、初号機とのシンクロ率はほぼ100%、我々も、完全な専用機と思いこんでいた、でも、レイでも、それに準ずるシンクロが可能だった。シュミレーションでは零号機とは40%台、でも初号機となら90%を越えていたんでしょうね。」
「じゃあ・・・」
「リリンは全てを知っていたのよ、エヴァのシンクロ技術の真髄まで」
「考えられません」
「そうね、我々はおろか、委員会ですら知り得なかったこと、可能性があるのは、」
「可能性?」
「碇ユイ博士の研究ノート」
「碇ユイ博士の?」
「エヴァその他の全ての理論が詰め込まれていた筈よ、それを元に、解析し、同時シンクロをシミュレーとした結果、レイが信じられない結果を上げた。そこで、合計30兆円にもなる莫大な予算を動かして、初号機とレイを手に入れた。零号機は、フィフス用にコアを換装されるか、あくまでバックアップにおいておくんでしょうね」
「じゃあ、零号機の事故は」
「リリンの工作の可能性があるわ、余りにも手際が良すぎる・・・ロケットの燃料が抜かれていなかったことなんかもね・・・」
「先輩、我々ネルフはどうなるんでしょうか?」
「分からないわ、リリンの真意が分からない、ここまで手の込んだ工作を行っておいて、何も裏がないとは考えられない」
「リリンか・・・」
ミサトは窓越しにリリン本部を見た。
「一度、ハッキングを試みてみるわ」
「東京システムに?」
「ええ、基本スペックを見た限りでは負けているけれど、こちらはマギよ」
「そうですね」
「でも、ばれたら洒落にならないわよ」
「大丈夫よ、模擬戦を申し込むわ」
「模擬戦?」
「そう、ハッキングに対する訓練だってね」
リツコは怪しい笑みを浮かべている。


夜、シンジのマンション、レイの部屋、
レイはベッドに寝そべりながら、あの記憶を考えていた。
(間違いなく、碇君の記憶・・・・でも・・・・何?未来の記憶?・・・・あり得ない・・・碇君は初号機の主操縦者・・・・リリンの長官・・・・初号機はリリンの物・・・・・ネルフの物ではない・・・・何?・・・分からない)
月光が町を照らしていた。

あとがき
リリン第2話UPします。
次回はいよいよ、サキエルの襲来です。
そして、宣告、サキエルを殲滅するのはアスカの操る弐号機です。
リリンは何をやっている!?と言う声が聞こえてきそうですが、それは、連載化が決まりましたら判明すると思われます。
では、続きが気になる人、この作品を読みたいという方は感想&要望メールを送ってください。
それでは、