贖罪

◆第7話表

さて、今、セカンドが喚いている。
「なによ!!これは!!」
「見て分からんのか、カップラーメンと言うものだ、」
「こんな適当なものをこのアタシに食わせる気!!?」
「ふん、問題無い」
「あるわ!!!」
「だったら、葛城1尉に作ってもらえ」
「くっ・・・」
結局カップ麺を食べる事にした様だ。
やはり食を握ると言う事は大きいな


今、学校にいる。
何か様子がおかしいが何かあったのか?
ん?黒ジャージがいるな・・・
見なかったが、何かあったのか?
ん?少し包帯をしているな・・・まあ、どうせ、どこかで喧嘩でもしたんだろう、
む、こっちを睨んでいるな。
・・・そうか、シャムシェルの時の奴か・・・そう言えば、眼鏡の姿は・・・うむ、こっちは、松葉杖か・・・こいつも睨んでいるな。
ふっ・・愚かな、自業自得だろう。
シェルターから外に出ればそれ即ち、権利を自ら放棄したわけだからな。
睨み返してやる。
1睨みで教室中が凍りつく、
ふっ・・問題無い。
ん、レイがやって来た。
「おお、おはよう」
「・・・おはよ・・」
レイは軽く挨拶だけして、自分の席についた。
・・・・・
・・・・・
「え〜、では、1教科目は数学です」
なに!?今日はテストか!?
まあ良い、中学生程度の問題簡単に解ける。
・・・・・
・・・・・
ふっ・・・問題・・・
おっと、名前名前、
碇『シンジ』にしておかねば成らなかったな。
・・・・ん?
出席番号?
・・・何番だ?
綾波レイ・・碇シンジ・・うむ、2番だな。


午後は、ネルフでシンクロの実験だった。
それが終わると、伊吹2尉から説明を受けた。
「シンジ君、前回より若干上がって41.3%だったわ」
「そうか、問題無い・・」
シンジが初めて乗った時より低いんだが・・・・まあ、仕方なかろう。
「ハーモニクスの異常も少なくなってきているし」
「そうか」
「これからも頑張ってね」
「ああ」
・・うむ、ああ、答えたは良いが、具体的には何を頑張れば良いのだ?
・・・・
・・・・
そう言えばそうだ、頑張れと言われても何を頑張れば良いのか分からん。
せいぜい、集中しろくらいだが、それでは根本的な解決にはならんしな・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
分からない事を考えても仕方が無い。
帰るか、


帰宅すると、セカンドが猛烈なまでに不機嫌の気を放っていた。
「むぅ」
「サード、飯」
「自分でつくれ」
「このアタシが、飯を作れって言ったのよ」
め、目が据わっている・・・一体、何があったと言うのだ・・・
取り敢えず、命は惜しいので、チャーハンでも作って出す。
「そこに座ってアタシの話を聞きなさい」
要するに愚痴だ。
「あんの人形女がこのアタシよりもシンクロ率が高いってどう言う事よ!」
「レイの事か・・・何かおかしいのか?」
「あったりまえでしょ!この天才チルドレン惣流アスカラングレー様よりもあんな凡人が上だなんて冗談じゃないわよ!」
愚か者、至極当然の事・・・ん?本来、レイは・・・ん?
「聞いてんの!」
「ああ、問題無い」
「あんのミサトもリツコも」
詳しい数値までは把握していないが・・・レイは確か、シンクロ率は一番低かった筈・・・何故だ?
私がシンジに比べてかなり低いと言うのは分かっている。
だが、何故レイがセカンドよりも上なのだ?
何か変だ。・・・何か・・・
「茶」
湯呑を突き出されている。
「・・・分かった。」
酒を混ぜてやる。
酔いつぶれれば静かになるだろう。
「ん?このお茶美味しいわね。おかわり」
にや
・・・・・
・・・・・
・・・・・
「ぐが〜、ぐが〜、ぐが〜」
よし、寝たな。


次の日、学校が終わってセカンドと二人で本部に来たのだが・・・・ゲートが開かん。
「何よこれ!壊れてんじゃないの!?」
「むぅ・・・」
停電か・・・拙いな・・・マトリエルが来る可能性があるな。
「行くぞ」
「どこ行くつもりよ!!」
「発令所に決まっているだろうが、」
セカンドを無視して先を進む。
「手動か」
手動の非常ドアだ。
電気が切れるとロックが外れて手動で開ける事が出来るようになる。
「ふ〜ん、開けなさい」
「ふっ、問題無い」
「ぐぐぐぐ!」
ぜ、全然動かんぞこのレバー!
全体重をかける・・・漸く少しずつ開き始めた
「ぐぐぐぐ」
・・・・・
・・・・・
疲れた・・・・・
「情けないわね」
「・・くっ・・」
「それでも男?」
絶対セカンドの方が力あるぞ、文句があるなら自分でやれば良かろう、と、言うと拙いな・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
暗いな・・・
「サード」
「なんだ?」
その後、お喋りに付き合わされた。
しかし、何故こうもぺちゃくちゃと、
「・・・セカンド、」
「何?」
「まさか恐いのか?」
固まったな・・・どうやら図星の様だ。
「何よ!!文句ある訳!!?」
それから、ずっと、叫んでいたが・・・くくく、笑える。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
分かれ道か・・・
現在の位置から考えて・・・発令所は、左下に当るな。
「右ね!」
「・・左だ」
「このアタシが右って言ったら右なのよ!!」
暫く言い合ったが、結局右に行く事になってしまった。
・・・・右を進むと地上に出た。
「・・・愚か者、」
「何よ!!」
突然、凄まじい音と衝撃が襲ってきた。
「きゃああ!!!!」
「ぐおおおお!!!!」
土埃が晴れると、目前に、マトリエルと零号機が見えた。
・・・ちょっとずれてたら死んでいたな・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
発令所で説教を受けているんだが・・・
何故だ!?
遅刻って電源落とされたお前等が悪いんだろうが!
「葛城1尉」
司令塔から冬月の声が降ってきた。
「は、はい、」
「遅刻と言えば、・・君も発令所にいなかったな」
「え・・・あ、あのその・・」
「シンジ君は一応とは言え、君の上官に当るわけだ」
おい、一応とはなんだ、一応とは、
「は、はい、」
「分かったな」
「はい」
ふっ、問題ない。


翌日、レイに家にやって来た。
インターホンを鳴らす。
暫くしたらレイが出てきた。
「・・何?」
「どうだ、これからちょっと散歩に行かないか?」
「・・・別に問題無いわ・・・」
・・・・
・・・・
今二人で道を歩いている。
「レイ・・・少し話しお前の話をしてくれないか?」
レイはじっと私の顔を見詰める。
うむ・・・身長差の問題もあって至近距離でこれだけじっと見詰めた事は無かったが・・・・こう改めてみると・・・
・・・・
・・・・
「うごおおお!!!」
頭を思いきりブロック塀にぶつける。
ま、拙かった・・・レイに興奮してしまうところだった・・・・
「・・・だ、だいじょうぶ・・?」
「ふっ・・・問題無い」
ん?ハンカチを取り出して額に・・・
「・・血・・出てる・・」
「うむ、済まんな」


その後、公園にまでやってきて、二人でベンチに座っている。
「話してくれるか?」
「・・・駄目・・話せない・・・」
ふっ・・・そうか・・・
「でも・・・・・・」
でも?
「・・・私は・・・いえ・・・・何でも無いわ」
「何でも無いと言う事は無かろう、相談に乗るぞ」
「・・・・」
じっと見詰めてくる・・・それは止めてくれ・・・
「・・・私は・・・消えたくない・・・」
「消える?」
「・・・私には何も無いから、」
う・・・
「何を、言っている」
「・・・私は生きている・・・いえ・・・生かされている事に価値は無い・・・」
うぐぅ・・・
「そ、そんな事は、無いぞ・・この私がお前の価値を」
「・・・私の存在を決められるのは碇司令だけ・・・私の価値を決められるのも碇司令だけ・・・・私を・・・救う事が、出来るのも、碇司令だけなのよ・・・」
く・・・レイは私を攻めているのか?
いや、そう言うわけではないだろうが・・・
・・・私にはそう以外聞こえん・・・
・・・レイがそうまで自覚していたとは・・・・
結局は、私の勝手な思い込みだったと言うわけか・・・
「・・・どうしたの?」
「・・・いや・・・なんでもない・・・先に帰る・・・」
「・・・そう・・・」
私は一人でとぼとぼと帰路を歩んだ。
どうすれば良い・・・・今の私にレイを救う事などできん・・・・
くっ・・・レイがそこまで思っていたとは・・・・
私はコンクリートの壁を拳で叩いた。
「・・こんな事をしても意味は無いだろうが・・・」
「くそっ・・・・」
これでは、意味が無いだろうが・・・・
私は愚かだったのだな・・・・
だが・・・どうす・・・シンジは?
・・・レイがああであれば・・シンジはどうだったのだ?
・・・・・・・
・・・・・・・
今の私には知るすべは無い・・・か・・・
ふぅ・・・・