贖罪

◆第8話裏

もう直ぐ、サハクィエルが来るわね・・・
特に何かをすると言う訳ではないけれど、又、あの人の覚悟を見る事が出来そうね。
「・・・今度は最後まで意志を貫いてくれるわよね・・」
今のあの人なら、大丈夫だと思うけど・・・


次の日、学校に良くとテストの結果が張り出されていた。
ん〜・・・・・・第1位、綾波レイ500点満点。
うん、そんなものね・・・あの人は・・・・あら?
第35位・・碇シンジ・・・・・0点?
いくらなんでも・・・何の間違えかしら?
教室に行くとその事でアスカちゃんがあの人を馬鹿にして笑っていたわ・・・
どうやらあの人、出席番号間違えたみたいね。
う〜ん、流石にアスカちゃんをこのまま放って置くのも気が引けるわね
サハクィエルが終わった後くらいに、一つ手を打っておくか・・・


翌日、遂にサハクィエルが現れたわね。
今、司令と冬月先生はロンギヌスの槍を回収に南極に行っていて、今、ここにはいないわね。
ネルフ本部の作戦会議室に呼び出された。
リツコちゃんからサハクィエルに関して色々と説明されている。
ん〜〜、長いわね・・・
しかも、随分と専門的な事まで・・・
私やあの人ならともかく・・・あれ?
アスカちゃんも大卒だし・・・
・・・・ひょっとしてばれてる?
・・・・
・・・・
・・・・そんな事は無いと思うんだけど・・・
リツコちゃんが説明好きなだけだと思うけど・・
「作戦を通告します。」
「貴方達の仕事は、落下してくる使徒をエヴァ3体によって受け止め、コアを破壊する事です。」
・・・・
「え〜!!・・・受け止める!?」
アスカちゃんが叫んで手を見た。
「そう、それしかないの、」
「作戦といえるの?それが?」
「・・・そうね、言えないわね。だから拒否することもできるわ。」
確かに、作戦と言えないわね、それは、
暫く4人とも黙っている。
「一応、規定では遺書を書くことになっているけど、どうする?」
「別にいいわ」
「私もいいわ」
「そんなもの必要無い」
死ぬ気なんて全く無いからね。
「・・・・そう、作戦、成功したらこ〜んな分厚いステーキ奢ってあげるから。」
ミサトちゃんは親指と中指で肉の厚さを示した。
う〜ん、最近お肉食べてないなぁ(苦笑)
「本当!?」
「神戸牛か?」
あの人の言葉にミサトちゃんの動きが止まった。
「・・・え?」
「神戸牛の最上級品だと、一人で10万はするぞ」
「・・・・・・」
「どうなの?」
「・・・・・・」
助け舟出した方が良いかしら?
レイちゃんのこともあるし、
「・・私お肉嫌い、」
「そ、そうね、レイも一緒に行けないんじゃあ駄目ね、別のものにしましょ!」
とっても嬉しいそうね。
「じゃ、じゃあ・・・その・・・か、考えておくわ、」
「ふん、まあ良いわ、たっぷりとおごってもらうわ」
アスカちゃんは、雑誌を捲り始めた・・・
普段からそんなもの持ち歩いているのかしら?
まあ、どうでも良いけど・・・作戦開始の時間まで未だあるわね。


多分あの人が、来るだろうから・・・待機室にいますか、
・・・・・
・・・・・
案の上あの人がやって来た。
「・・レイ、」
「・・何?」
「ちょっと良いか?」
「・・構わないわ」
横に座る。
暫く沈黙が流れた。
「・・・レイ・・・」
「・・・・」
「・・・私がお前を護る・・・どんな事があってもな・・・」
頑張ってね。
「・・・そう・・・」
「・・ああ・・・先に行く、」
あの人は待機室を出て行った。
御願いするわね。


零号機に搭乗して、地上で待機している。
サハクィエル・・・未だ見えないわね・・・
『目標、第3新東京市直上に確認しました!』
モニターに望遠映像が映し出された。
未だ、不鮮明ね・・・
『目標落下を開始!』
『マギ演算開始します!』
モニターに地図が表示され、予想落下範囲が表示される。
零号機を走らせる。
アスカちゃん・・弐号機の位置は・・・ちょっと遅れているわね・・・
予想範囲が狭まり中心が修正される度に、方向に微修正を加えていく。
まあ、大体の位置はわかっているんだけど、未だ従っておかないとね
見えて来たわね・・・やはり、大きいわね
ビルを飛び越えて中心に向かう
雲を突き破ってきた。
初号機が落下地点に辿り着く、そして、受け止める。
相当な力が掛かっているだろうけど、あのシンクロ率で良く耐えているわね。
・・・急がないと、
零号機の速度を更に上げる。
初号機のパーツが破損し砕けていく、これは拙いわ、
全速力でサハクィエルの下に入り込んで、一気にATフィールドを広げ支える。
「くっ」
流石にこれはきついわね・・
あの人は・・・大丈夫の様ね。
アスカちゃんが来るまでこのまま支える。
そして、弐号機がやってきてあの人はATフィールドの中和に専念し、私は、一気に押し上げる。
漸く到着した弐号機はそのまま跳び上がり、プログナイフでコアを破壊する。
瞬間、全てが光に飲まれた。
・・・殲滅できたわね。


戦闘終了後、頃合を見て、アスカちゃんの所に行く。
「なによ?あんか用?」
「・・貴女は、エヴァに何を求めているの?」
「ふん!いきなり何なのよ!」
まっ、確かに、いきなりではあるわね。
「・・・淋しいのね、」
ちょっと驚いた感じね。
「・・何も無いからエヴァに縋っているのね」
「違うわ!!」
「違わないわ・・・」
「・・・貴女は、何故エヴァなんかに拘るの?そんなに皆からちやほやされたいの?」
「一体何なのよ!!いけない!!?アタシがエヴァに乗れば皆アタシを見てくれる!!」
あら、開き直っちゃったわね・・・それはそれで良いけれど、
「・・・一番でなければ、誰も貴女を見てくれない?」
「そうよ!!だから!!アンタなんかに負けてらん無いのよ!!」
「・・・そう、で、使徒を全て倒した後はどうするつもりなのかしら?」
「え?」
「使徒を全て倒せばエヴァは不要のものとなる。その時貴女はどうするつもり?」
「・・・・」
「エヴァを戦略兵器として使おうとする者達の手先となり、エヴァを使って人を殺すの?」
当然、答えられないわね。
「・・・何も考えてなかったのね・・・与えられた者だけで全てを満足し自発的には何もしない、それでは人形と変わらないわ」
「違うわ!!!!アタシは人形なんかじゃないわ!!!!」
「・・・だったら、自分で、それを証明して見せなさい・・」
私はアスカちゃんを残して部屋を出た。
これで色々と考えてくれるでしょうね


さて、あの人の御見舞いに行かなくちゃ、
病院に着いて、ベッドの横の椅子に座って目を覚ますのを待つ。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
随分と経ってから目を覚ました。
「・・・目、覚めたのね・・」
「・・・看ていてくれたのか?」
軽く頷く、
「・・今度は最後まで、貫き通したわね・・・ありがと・・」
そう言い残し私は去った。