立場の違い

第3話

◆アスカ来日

翌日、ネルフ中央病院、レイの病室、
シンジはレイの退院の準備をしていた。
「漸く退院できるね」
レイは軽く頷いた。
「明日、学校に行こう」
レイは軽く頷いた。
「よいしょっと」
シンジは荷物を持ち上げた。
レイはまだ手にギプスをしている。
「行こうか」
シンジはレイを連れて病室を出て、駐車場に向かった。
白い乗用車、シンジの車である。
レイは助手席に乗り込んだ。
シンジは荷物を後部座席に乗せて、運転席に乗り込んで、車を走らせた。
10分ほど走り、家に到着した。
シンジは荷物を降ろして、レイといっしょに家に入った。
「あ、リビングで待ってて」
レイは軽く頷いた。
レイはリビングのソファーに腰掛けた。
シンジは、キッチンの冷蔵庫からジュースを取り出した。
「はい」
シンジはジュースを入れたコップをレイに渡した。
シンジもソファーに腰掛けた。
レイはジュースを少し飲んでコップを机に置いた。
「シンジ君、」
「ん?」
シンジはコップから口を離してレイの話を聞こうとした。
「初号機パイロット、シンジ君の父親なの?」
「・・・・そうだよ」
シンジは軽く俯きながら言った。
「母さんを殺したと思い、全てから逃げた男だよ」
「でも、戻ってきたわ」
「罪の意識からだよ」
「そう?」
「そうだよ、」
シンジの表情は寂しそうだった。


翌日、二人は第3新東京市立第壱中学校に登校した。
シンジは駐車場に車を止めると、二人は車を降りて教室に向かった。
廊下で黒いジャージに身を包んだ鈴原トウジと、カメラを片手に持った相田ケンスケと出会った。
「ようシンジ、久しぶりやな」
「あ、トウジ」
「綾波の怪我、大丈夫か?」
ケンスケが聞いてきた。
「問題ないわ」
「そ、そう」
そうは見えんが・・・
「行こうか」
「ああ、」
4人は教室に入った。
「す〜ず〜は〜ら〜!」
クラス委員長の洞木ヒカリがトウジを睨んでいる。
「あ・・週番やった」
「御愁傷様」


昼休み、屋上、
シンジとレイは、シンジの作った弁当を、トウジとヒカリはヒカリの作った弁当を、ケンスケは購買のパンを食べている。
「なあ、シンジ」
「ん?」
シンジは卵焼きを口に入れながらケンスケに反応した。
「シンジって、ネルフの幹部だったよな」
シンジは頷いた。
「俺をエヴァのパイロットにしてくれないかな」
「なんで?」
「何でって、俺もあんなロボットを自由に動かしてみたいんだよ」
「止めといた方が良いよ」
シンジはから揚げを箸で掴んで口に入れた。
「何でだよ、参号機余ってるんだろ」
「・・・なんで知っての?」
「親父のコンピューターから情報を盗み出した」
「ああ、そう言えば、情報部副部長だったね」
(う〜ん、情報流出したい放題)
「なあ、良いだろ」
「取り敢えず、参号機は暫くは動かす予定は無いよ」
「どうしてだ?零号機は動かせないし、初号機も中破したんだろ」
「エースパイロットと弐号機が本部に来るから」
「エースパイロット?」
「今年大学を卒業していて、知能、身体能力共に抜群で、エヴァの操縦能力、危機回避能力、ずば抜けていて、協調性が低い事を除けば最高のパイロットなんだ。複数による連携作戦よりも、単独による目標撃破を得意としている。よって、当面は、弐号機を主力とし、初号機及び零号機をサポートに回し、参号機はエヴァテクノロジーの開発にまわす予定なんだ。」
「そか・・・、ま、今度選抜する事があったら俺も候補に加えてくれよ」
「進言はするよ」
(・・・大人だと思ったのか?・・・まあ良いか)
「なぁ、ケンスケ、ネルフの機密情報に触れるとやばいんとちゃうか?」
「大丈夫だって、シンジがいるから」
「トップシークレットに触れたら僕ではどうしようもないね、僕に殺させるような事だけは止めてね」
レイが弁当を食べ終わり、弁当箱の蓋を閉めた。


5限目、
レイは相変わらず、窓の外を眺めていた。
シンジは、考え事。
学年同立1位が二人とも授業を聞いていない。全教科満点で順位がつけられない。
まあ、教師も、セカンドインパクトに関する話をしているだけで、まあ、そうなのかもしれないが、
(弐号機、今日到着だったな)
(惣流アスカラングレー、このクラスに転入する事になるな。)
(・・・五月蝿くなるな)
(赤木ナオコ博士か・・・彼女が来てくれれば、冬月先生に掛けている負担も小さくなるな)
シンジとレイの携帯が鳴った。
「先生、早退します」
「その時、私は鵡川に住んでいまして」
聞いていない。
シンジとレイは駐車場のシンジの車に乗り込み、シンジは車を走らせた。
「赤城博士、どうした?」
『第四使徒です。日本海に出現しました。』
「特徴は?」
『奇妙な生物体です。が、羽も無いのに空を飛んでいます。時速は、400キロと言った所です』
「予想進路は?」
『それが、わかりません。現在の進路の直線上に目標となるような地点は存在しません』
「取り敢えず、私が行くまでは、君が総指揮を取ってくれ」
『はい』
冬月は、予算関係で訪米中である。


12分ほどで、発令所に到着した。
シンジとレイは司令塔に上った。
「現状は?」
「はい」
シンジの近くのモニターに現状が次々に映し出されている。
(アダムを狙っている)
「弐号機輸送編隊に連絡しろ」
「はい?」
「あ、」
マヤが気付いたようである。
「弐号機輸送編隊と5分後にぶつかります」
「山間部を通過し、ネルフ本部上空を通過しろと、」
「はい」
「葛城1尉」
「はい、初号機に陽電子砲を持たせ、弐号機によってATフィールドを中和、狙撃で殲滅します」
「赤木博士」
「はい、マヤ」
「はい、作戦勝率73.2%です。」
「許可する」
「はい、」
「使徒、方向を変更、明らかに輸送編隊を追尾しています。」
ミサトは作戦マップに点を表示させた。
「初号機をこの地点に配置、陽電子砲にて狙撃、弐号機の投下地点はここね」
「赤木第3支部司令と回線が繋がりました。」
モニターに赤木ナオコが映った。
「赤木ナオコ君」
『はい』
「第四使徒は、君達の編隊を狙っている。弐号機は出せるか?」
『一応出せますが、空中戦は不可能ですから実質戦力はゼロかと』
「構わん、作戦位置で弐号機を投下しろ」
『はい』
「弐号機パイロットは出せるか?」
『音声だけなら』
《SOUND ONLY》
「セカンドチルドレン、惣流アスカラングレー君だな」
『はい、』
「来日早々だが作戦に参加してもらう」
『はい』
「葛城1尉、」
「はい、アスカ、説明するわ」
『あれ?ミサト』
「そうよ、積もる話は後でね、作戦を説明するわ。即席ですまないんだけど、今、第3新東京市郊外で、初号機が陽電子砲を準備しているわ、弐号機の役目は、使徒のATフィールドの中和よ」
『了解』
そして、弐号機が作戦位置に投下され、使徒が弐号機に接近した。
弐号機はATフィールドを全開にして、使徒のATフィールドを中和した。
それと同時に初号機が陽電子砲を撃ち、陽電子が、使徒を貫通した。
「ATフィールド及びパターン青消失を確認」


そして、アスカは、本部職員に快く迎えられる事になる。


ミサトがアスカを連れて歩いている。
「いい、アスカ、司令はまだ子供だけど、極東の魔王と呼ばれるほどの存在よ」
「聞いたことがあるわ。私と同い年。でも、その残酷さは、ヒトラーにも匹敵するって」
「絶対に逆らっちゃ駄目よ、」
「でも、いくら有能だからって、14歳の子供がネルフの総司令やれるわけ?」
「詳しくは知らないけれど、その有能さが桁外れらしいわ」
「桁外れね〜」
「ま、子供と思わずに、大人と思った方がいいわよ」
「分かったわ」
・・・
「葛城1尉です。セカンドチルドレン、惣流アスカを連れてまいりました。」
ドアが開いた。
二人は総司令執務室に入った。
部屋には、シンジ、レイ、冬月、ナオコがいた。
「惣流アスカラングレー君、」
「はい」
「君のシンクロ率65%は、レイの44%、初号機パイロットの25%に比べ圧倒的に優秀だ。その他の能力も3人の中では群を抜いている。」
(な〜んだ、よく分かってるじゃない)
「君は、エヴァンゲリオン部隊隊長を勤めてもらう。階級は1尉とし、作戦の立案権を与える。権限は、作戦部長葛城1尉に次ぐ」
「有り難うございます」
アスカは頭を下げた。
「紹介しよう、綾波レイ、ファーストチルドレンだ。仲良くしてやってくれ」
「はい」
「さて、最後に、」
シンジの威圧感が強烈になった。
「我々はサードインパクトを防ぐと言う、義務がある。その為には、個人よりも全体が優先される。これが不服ならば、例え、シンクロ率100%であっても、エヴァを降りてらう」
「は、はい」
(な、なんて、威圧感なの)


廊下、
「あ〜、息が詰まりそうだった」
「私も・・・」
「で、初号機パイロットは?」
「・・・写真見る?」
「見せて見せて」
ミサトはファイルから六分儀の写真を取り出して見せた。
「いっ、な、なによこの悪人面は」
「かれが、初号機パイロットよ」
「じょ、冗談じゃないわよ、これで、14歳だなんて」
「違うわよ」
「でも、エヴァは14歳前後じゃないと動かせないって」
「知らないわよ。この人は碇司令の父親よ」
「・・・あの子にしてこの親ありか」
「会う?」
「止めとく」
アスカはミサトの家に居候する事になる。


翌日、第3新東京市立第壱中学校2−A、
「今日、転校生が来るらしいぞ」
「女か?」
「らしいぞ」
「うひょ〜」
ケンスケとトウジが転校生の事で盛り上がり、ヒカリがトウジを睨んでいる。
そして、老教師が入って来た。
「今日は、転校生を紹介します。入ってきなさい」
扉が開かれ、アスカが入って来た。
教室中から色々な声が飛び出す。
アスカはチョークで黒板に名前を書いた。
「惣流 アスカ ラングレーです。宜しく」
「えっと、惣流さんの席は、綾波さんの後ろに座ってもらえますか」
「あ、あんた」
アスカはレイに気付いた。
「同じクラスだったのね」
レイは軽く頷いた。
アスカは席についた。
休み時間に入り、アスカは教室中から質問攻めになった。
それも、昼休みに入ると疎らになった。
「惣流さん、お昼どうするの?」
「ん?コンビニで買ってきた弁当だけど・・・と、ファースト!」
「何?」
「昼一緒に食べる?」
レイはシンジの方を見た。
シンジは軽く頷いた。
「屋上に」
6人が屋上に上がった。
「俺、鈴原トウジ言います」
「俺は相田ケンスケ」
「私は、洞木ヒカリよ」
シンジは弁当を開いている。
「あんたは?」
「え?」
「僕?」
「他に誰がいるのよ」
「えっと、碇シンジ」
「へ?」
アスカの脳裏に総司令執務室がよぎった。
「えええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アスカの叫びは、学校中に響き、校舎に跳ね返って反響している。
「な、何やねん、でかい声出してからに」
「な!なんで!」
「ああ、シンジはネルフの幹部なんだよ」
ケンスケがある意味的外れな説明をする。
「な、何が幹部よ!総司令じゃない!」
「「「ええ〜〜〜!!!!!」」」
今度はヒカリ、トウジ、ケンスケが叫び声を上げた。
「シンジ!どう言う事だ!?」
ケンスケがシンジにせまっている
「べ、別に、言わなかっただけ、う、嘘はついてないよ」
「言わなかったちゅうことは、隠していた。嘘ついとったんと同罪やな」
「そ、そんな〜」
アスカは目の前にいる少年と、総司令執務室で対面した少年が、同一人物であるとはどうしても思えなかった。
「あんたのID見せなさいよ」
「え?何で」
「いいから」
シンジはIDカードをアスカに渡した。
サングラスを掛けたシンジが写っていた。
《碇 シンジ 14才 
 総司令
 レベル 7》
「・・・・」
(こいつ、変)
目の前でただの少年2人に追い詰められ、レイとヒカリに助けを求めている少年を見ながら、アスカはこれからどうなるのか不安を感じていた。

レイ 「ふふふ、碇君と一つ屋根の下で」
アスカ「シンジと同居したってそれだけでは関係は進まないわよ」
レイ 「それは、貴女に魅力が無いから」
アスカ「あんですってぇ!!」
YUKI「次はラミエルか」
レイ 「はっ、では、『笑えば良いと思うよ』が、無いとでも言うの?」
YUKI「今の二人に必要あるんかい」
レイ 「必要」
アスカ「如何でも言いからこの女さっさと取り替えて、『知らない、多分私は3人目だと思うから』
    って言わせちゃいなさいよ」
レイ 「それは嫌」
YUKI「まあ、二人の言い争いは置いといて、リツコさん、ナオコさんの事どう思われます?」
リツコ「そうね、そろそろ50ね」
レイ 「ユニゾンも無いわ、浅間山での決死のダイビングも」
アスカ「うがああ!!」
YUKI「・・・」
リツコ「ま、老化と共に柔軟な思考力が失われ、使徒戦のような未知の戦いには対応できなくなる。
    正に婆さんは用済みね」
レイ 「ふふふ、婆さんは用済み」
アスカ「30越えたらばばあか」
リツコ「ぬあんですってぇええええ!!!」
YUKI「後書きに呼ぶメンバー考え様かな?」