立場の違い

第9話

◆閑話

日本重化学工業、JA完成記念パーティー会場、
広い会場の中心にネルフの席が設けられている。
出席者は、シンジ(サングラス無し)、レイ、アスカ、ミサト、リツコである。
時田開発主任が自慢気にJAの説明をしている。
ネルフ一行のテーブルの上にも数々の料理が並べられている。
本来は水だけの予定だったが、極東の魔王を怒らせたらどうなるか、身をもって知りたくなかったため大急ぎで用意したらしい。
だけど、その魔王は来ていないと思っているらしい。
「質問を宜しいですか?」
「これは、これは、御高名な赤木リツコ博士、どうぞ。」
「動力機関を内蔵とありますが?」
「ええ、JAの大きな特徴です。核分裂炉を搭載する事で最高180日間の連続戦闘が可能です。」
得意そうに言っている。
「しかし、格闘を前提とする接近戦において動力機関を内蔵するということは危険過ぎます。」
「5分しか動けない決戦兵器よりはマシだと思いますがねぇ。」
「くっ、外部操作では判断に遅れが生じますが」
「暴走させた挙句、精神汚染を発生させる物よりははるかに人道的と考えますがねぇ」
「それを押さえるのが人の心とテクノロジーです。」
「まさか、御冗談を、あの怪物を人の心でどうにかなると?そんな事だから、国際連合はまた余分な予算を使わなければならない、某国では1億人近い餓死者が出ようとしているのですよ。」
「なんと言ってもうちの主力兵器以外は使徒は倒せません。」
「ATフィールドですか?それも時間の問題ですよ。ネルフ、ネルフ、という時代はもう終わったんですよ。暴走してしまう決戦兵器など、ヒステリーを起こした女性と同じです。手におえません。」
会場中から笑いがこぼれた。
「質問を良いですか?」
シンジが手を上げた。
「おや、なんですか?」
「なんで、ATフィールドとか、エヴァの暴走とか知っているんですか?極秘事項だったと思うんですが」
「え?」
「ひょっとしてネルフ内にスパイを送り込んでるとか」
周りの出席者が青ざめている。
「でも、ケンスケも知ってたし、口伝えに広まったのかな?」
「た、多分そうじゃないですか」
出席者達はホッとしている。
「因みに、如何して人型なんですか?エヴァみたいに人が乗り込んで動かすわけじゃないし、人型である利点が無いんじゃないですか?」
「えっと、それはだね、格闘戦もあるかもしれないと」
「ふ〜ん、格闘戦ね〜、てことは、ATフィールドさえなければ使徒に勝てるくらいの能力はあるって言いたい訳ですよね」
「まあ、そうなるかな」
「だったら、エヴァと格闘戦してみたらどうですか?エヴァはATフィールド無しで、核汚染が怖いから、リアクター狙っちゃ駄目って事で」
「ほうほう」
「良いですよね、ミサトさん、リツコさん」
二人は頷いた。
「ネルフの責任者全員が承認しましたよ」
「勿論、お受けしますよ。但し、それが、エヴァの最後の戦闘になるでしょうがね」
「アスカもいいよね」
切れかけていたアスカは物凄い笑顔で答えた。


翌日、広大な埋立地に、エヴァ弐号機とJAの姿があった。
「良い?絶対に、ボディー攻撃しちゃ駄目よ」
『分かってるわよ、手足千切ってやるから』
「アスカ、がんばってね」
『任しときなさい』
そして、戦いが始まった。
弐号機は瞬時にJAを押し倒し、手足を引き千切った。


会場では、全員が放心状態になっていた。
「どうでしたか?あのエヴァを苦戦させる使徒にJAがどのような効果があるか分かったでしょう。それに、まだ弐号機はATフィールドは使ってませんよ」
リツコの声は既に誰も聞いていなかった。
そして、JA計画は消え去った。


翌日、第3新東京市立第壱中学校2−A、
アスカがめちゃくちゃ機嫌が良い。
「なんかあったんか?」
「むしゃくしゃしてた奴の手足を引き千切ったんだ」
トウジとケンスケは青ざめた。
「で、で、相手はどうなったんや?(ま、まさか死んだんじゃ)」
「(変な事聞くなぁ、JA計画なら)消えたけど」
二人の顔は白くなってきている。


人類補完委員会、
《第3の使徒》
《サキエル、襲来》
サキエルの映像が流れた。
サキエルと国際連合軍との戦いの映像である。
《使徒に対する通常兵器の効果は認められず》
《国際連合軍は作戦の遂行を断念》
《全権を特務機間『ネルフ』へ委譲》
《同深夜、ネルフ本部直上へ到達》
《当日、接収された》
《初号機パイロット候補》
六分儀の顔が映った。
《六分儀ゲンドウ》
《搭乗を承諾》
《エヴァンゲリオン初号機発出撃》
初号機が射出される様子が映し出された。
《ネルフ、初の実戦を経験》
《第一次直上会戦》
使徒に初号機が攻撃される様子が映し出されている。
《エヴァ初号機、頭部破損、制御不能》
《完全に沈黙》
《後、》
初号機が再起動した様子が映し出された。
《暴走》
《第参使徒及び初号機における》
《A.T.フィールドの発生を確認》
サキエルのATフィールドを初号機が破る所が映し出された。
《初号機、目標のATフィールドを侵食》
サキエルが自爆する様子が映し出された。
《使徒、殲滅》
《迎撃施設、一部破損、エヴァ初号機、中破》
《同事件における被害者の有無は公表されず。》
《『第3新東京市街戦』 中間報告書 責任者 作戦課長 葛城ミサト一尉》
『その結果として我の損害が極めて大なりとは言え、未知の目標に対し経験ゼロの人間が初陣に挑みこれを完遂せしめた事実、六分儀ゲンドウ氏の功績は特質に値する物である。』
『只、作戦部としては、更なる問題点を浮き彫りにし、多々の問題点を浮き彫りにする苦渋の戦闘であった。』
《第4の使徒》
《シャムシェル、襲来》
迎撃の様子が映し出された。
《当時、地対空迎撃システム稼動率48.2%》
《第3新東京市戦闘形態への移行率96.8%》
《二人目の適格者》
アスカが映し出された。
《エヴァ弐号機専属操縦者》
《惣流・アスカ・ラングレー》
《エヴァ弐号機にて、初出撃》
《当日輸送された弐号機と初号機の連携プレイにより》
《使徒、殲滅》
《第5の使徒》
第伍使徒が映し出された。
《ラミエル、襲来》
《難攻不落の目標に対し、》
《葛城一尉、ヤシマ作戦を提唱、承認される》
《最初の適格者》
レイが映し出された
《エヴァ零号機専属操縦者》
《綾波レイ》
《凍結解除されたエヴァ零号機にて、初出撃》
《ネルフ、ヤシマ作戦を断行》
狙撃の様子が映し出された。
《ヤシマ作戦、完遂》
《第6の使徒》
《ガギエルに、発見》
《水際で使徒を殲滅》
《第7の使徒》
《イスラフェル、襲来》
1度目の戦いの映像が流された。
《初の分離・合体能力を有す》
《しかし、エヴァ零号機、同弐号機の二点同時加重攻撃にて》
2度目の戦いの様子が流された。
《使徒、殲滅》
《第8の使徒》
浅間山が映し出された。
《サンダルフォン、浅間山火口内にて発見》
《極地専用D型装備を使用し、低温冷媒によって》
《使徒、殲滅》
人工衛星から撮られた第九使徒の映像が流された。
《サハクイル、襲来》
《成層圏より飛来する目標に対し》
使徒戦が映し出された。
《エヴァ3機による直接邀撃にて》
《使徒、殲滅》
「碇君、計画は順調のようだな」
「ええ、人類補完計画の報告書も間も無く上がります」
「後残された使徒は、ゼルエル、タブリスの2体だけだ」
「エヴァシリーズはどうなっています?」
「既に13号機までの建造を始めた。6号機までは完成している」
「次は、第拾使徒ゼルエルですね」
「力の天使だ、今までのようにはいかんぞ」
「分かっております」
「使徒はお任せください、それがネルフの仕事です。委員会は委員会の仕事を」
「期待しておるぞ」
シンジの姿が消えた。

あとがき
YUKI「この話は、終盤への繋ぎの話ですね」
シンジ「ひょっとして、もう直ぐ終わりなんですか?」
YUKI「そうですな」
アスカ「ふん、まあいいわ、さっさと終わらせて、LAS書きなさい」
YUKI「ん?書き始めた」
アスカ「ホント!?どんな話!?」
YUKI「う〜ん、秘密。衝動的に書き始めたものだから衝動的に止めるかもしれんから」
アスカ「止めたら殺すわよ」
YUKI「・・・・・」(大汗)
YUKI「まあ、この話は置いといて」
レイ 「・・もう直ぐ終わり、ハッピーエンドなのね」
YUKI「そうですな・・!・・さて、解散、解散」
アスカ「はいはい、」
・・・・
・・・・
???「やれやれ、遅れてしまったよ、さて、シンジ君、僕の愛を・・・・・あれ?」
???「次は僕が登場するからね〜〜!待ってっておくれ〜〜!」