立場の違い

第10話

◆猫を連れた少年

第3新東京市立第壱中学校、
シンジは委員会に出席している為、休みである。
「綾波、今日はシンジ休みなんやな」
「委員会・・・」
「そっか、ネルフの総司令やもんな」
トウジは、特に何の委員会なのか尋ねなかった。
そんな中、レミがケンスケに近付いた。
「あ、あの」
「ああ、飛龍、おはよう」
「お、おはよう・・あ、あの・・相田君、これ、」
レミがケンスケに弁当を渡した。
レミが恥ずかしげに去って暫くも、ケンスケは固まっていたが急に笑顔になった。
「わが人生のも遂に春が来た!」
「あの二人、急激に加熱しとるな」
「燃え尽きないと良いけど・・」
トウジの言葉にヒカリが皮肉った。
「アンタはいいかげん、火つければ」
「わしがか?」
「いいかげん気付きなさいよ!」
「ちょ、ちょっとアスカ!」
「ふん」
ヒカリに静止され、アスカは不満を浮かべて教室を出て行った。
「まじかよ」


アスカは無断で早退して、町に出て来ていた。
その後、すったもんだの結果、アスカは、不良に取り囲まれていた。
かなりの善戦をしているが、数が多すぎる。
「くっ」
「けけけ、これで終いだな」
数人地面に倒れ臥しているが、気にならないようである。
アスカは最後の抵抗をする為に構えを取った。
「か弱い婦女子を集団で取り囲むとは、君たちリリンの中でも最低の部類だね」
「なんだてめえ!」
何時の間にか、銀色の髪に赤い目をした少年がこちらを見ていた。
「やっちまえ!」
不良達は飛び掛かるが、見る見るのされていく。
其処へ、アスカも参戦した。
「あんたやるわね」
「君こそね」
二人は微笑み合いながらそれぞれ数人を同時に相手にしている。
・・・・
・・・・
結局、二人の前に50人近い気絶した不良の山が出来た。


喫茶店、
「どうして、アタシを助けたの?」
「リリンの生み出した美の極みである君を守ろうと思っただけさ」
良く分からない部分も有ったが、アスカは真っ赤になった。
「な、何言ってるのよ」
「ふふふ、君の心は純粋でガラス細工のように繊細だね。好意に値するよ」
「つまり、好きって事さ」
アスカの顔は更に真っ赤になった。
「あ、あんた、名前は?」
「カヲル、渚カヲルさ」
「みゃ〜」
猫がアスカの膝の上に飛び乗った。
「猫?」
「彼は、タブリスって言うんだ」
「あんたの?」
「僕のパートナーさ」
「私は、惣流アスカラングレー」
「宜しく」
「宜しく」
「みゃ〜」
タブリスはアスカの頭の上に乗った。
「へ?」
タブリスはアスカの頭の上で気持ちよさそうにしている。
「なかなか可愛いのね」
「まるで、そこが、昔からの居場所のように似合っているね」
カヲルは微笑んだ。


最近出てこない加持はと言うと、
ミサトの家でしっかり主夫をしていた。
「はぁ〜、こっち来てから監視がきつ過ぎて、自由に動けないよ」
「たっだいま〜!」
「おう、お帰り、ビール冷えてるぞ」
「さんきゅ!」
ミサトは冷蔵庫を開き、エビチュを取りだし一気に飲んだ。
「くぅ〜〜〜〜〜!!やっぱこれよね!!」
葛城家のエンゲル係数は酒量係数とほぼ等しいと言うデータが有ったりもする。


翌日、第3新東京市立第壱中学校、
「おい、又転校生が来るらしいぞ」
「又女か?」
「いや、男らしい」
「なんや」
クラスが転校生の話題で盛り上がる中、何かアスカの様子がいつもと違う。
「転校生を紹介します。入ってきなさい」
「みゃ〜」
タブリスが入って来た。
何人かがこけた。
「それに続いてカヲルが入って来た。」
女子の黄色い声があがる。
「渚カヲルです。宜しく」
カヲルの笑みに何人かの女子の意識が吹っ飛んだ。
「みゃ〜」
アスカの席まで近寄って来たタブリスは、アスカの頭に飛び乗った。
「や、もう、タブリス、ここは学校なんだから」
「みゃ〜」
その言葉に多くの人間が反応した。
先ず女子は
(渚君と知り合いなの〜!!)
男子は
(アスカさんと知りあいだと〜!許さん!)
シンジは別のところに反応していた。
(偶然の一致なら良いが・・・)
「シンジ君?」
シンジの変化に気付いたレイが心配そうに声を掛けた。
「ん、ああ、何でもないよ」


そして、昼前に緊急の呼び出しがかかり、3人はネルフに急行した。
迫り来る使徒に対して、NN攻撃も繰り返されたが、ダメージは殆ど無かった。


発令所、
「パイロット3名、」
『はい』
『はい』
六分儀だけは目線で反応した。
「目標には、NN兵器もまともなダメージを与えられていない、間違いなく、今までの使徒の中で最強だ。」
「総力戦だ、全ての兵器を用い、使徒を殲滅せよ」
『『はい』』
「碇、準備が出来たぞ」
「うむ」
「だがな・・」
「私も・・」
冬月もナオコもどうも気が乗らないようだ。
「碇司令、本気で使うつもりなのですか?」
「目標を倒すには、それしかない、」
リツコの問いにも平然と答えた。
「しかし、委員会の許可無く試用するのは余りにも・・」
「リツコ、何の話をしているの?」
先ほどから作戦部長と言う役所にいる自分を無視して、進められている言い合いが不満なミサトの口調にはどこかとげが感じられる。
「聖槍よ」
リツコの回答にミサトは、驚愕した。
「司令!エヴァぁとアダムの接触はサードインパクトを起こす可能性があり!余りにも危険です!!」
勢い良く反応したミサトに投げかけられたのは、何を言っているのかと言った視線だった。
(なに?そんな程度じゃサードインパクトは起きないって言うの?)
(・・・じゃあ、セカンドインパクトの正体は?)
自分の思考にのめり込んでいるミサトは、マヤからも同じ視線が向けられていた事には気がつかなかった。
そうこうしている内に、使用に決定したようだ。
「アスカ、これから弐号機には核兵器以上の最強の兵器を使うわ」
『か、核以上!!』
リツコの通信に滅茶苦茶驚いているようだ。
「聖槍よ」
『ロンギヌスの槍・・・』
「弐号機はドグマを降下、他2機は地上に射出だ」
「エヴァぁ初号機、零号機各機発進!」
2体のエヴァが地上に射出された。
エヴァと同時に無数の特殊兵器も姿を表した。
セントラルドグマを弐号機が降下している。
(ネルフはいったい何を隠しているの?)
ミサトは、リツコや司令塔の3人に疑いの視線を向けていた。


セントラルドグマ、メインシャフト、
弐号機が下ろされていた。
閉鎖隔壁が開放されターミナルドグマまでの道が開いた。
「・・・ターミナルドグマ・・・」
やがて、弐号機はターミナルドグマに入った。
弐号機は最深層へと進み白い巨人の前に立った。
アスカは白い巨人をじっと見詰めた。
「・・これが、アダム・・そして、ロンギヌスの槍・・」
弐号機はロンギヌスの槍に手をかけ、そして引き抜いた。


発令所、
暫くして、使徒が外輪山を越えた。
「攻撃開始!!!」
無数の支援兵器の攻撃と共に初号機と零号機が陽電子を連続発射した。
陽電子がATフィールドにめり込み大爆発を起こしている。
「撃ち方続けて!!」
弐号機がロンギヌスの槍を手に地上に現れた。
その時、爆煙の中で何かが光った。
「拙い!!避けて!!!!」
次の瞬間、2本の光が煙の仲から放たれ、零号機は間一髪交わせたが、初号機を貫通した。
「初号機沈黙!」
やはり回線は切られていた。
「直ちに回収せよ!」
「弐号機投合体制に入りました。」
「レイ!十分に引き付けろ!」
「了解」
零号機は正確に粒子砲を打ち込んでいる。
「うおおおおりゃああああああ!!!」
弐号機がロンギヌスの槍を投げ付けた。
使徒は強力なATフィールドを展開した。
余りの強力なATフィールドは光を殆ど通さずに、向こうが暗くなっている。
ロンギヌスの槍は、ATフィールドを侵食しながら突き進んでいる。
使徒は、跳躍し槍を避けたかに思えた。
その瞬間、ロンギヌスの槍は、上に方向を変え、使徒を貫通し、天空に消えていった。
使徒は正確にコアを破壊されていた。
『す、凄い、これが聖槍・・・』
アスカの声は、それを見ていた殆どの者の気持ちを代弁していた。


人類補完委員会、
「碇は、槍を使った」
「奴は我々を裏切ったのだ」
「ロンギヌスの槍は脱出速度を越え、永遠に地球には戻ってこん」
「裏切り者には死を与えるべきだ」
「エヴァシリーズ、既に10号機まで完成している。」
「タブリス死すとき、碇も死す」


ミサトのマンション、
「葛城、話がある」
加持は、真剣な表情で切り出した。
「なによ」
「使徒は後1体しかいない」
「だから?」
「だが、委員会はエヴァを作っている。」
「どういう事?」
「しかも、13号機までの一斉建造だ」
「ばかな!何でそんな無意味な事を!?」
建造するだけでも、1機何兆円もするエヴァを一斉建造、それも、使徒は後1体とは・・・
「わからん、だが、委員会や碇司令は、使徒を殲滅した後に別の目的にエヴァを使うようだ」
「世界の支配?」
「かもしれない、だが、それ以前に、パイロットの選抜は、碇ゲンドウ氏以来行われていないんだ」
「どう言う事よ?」
「ネルフは、とんでもない事を隠しているってことだ」

あとがき
???「ちょっと待ち給え、何故???なんだい?」
YUKI「ん?誰だ君は?
???「それは無いんじゃないかな?」
YUKI「・・・と、消えろ」(破壊の鉄球・攻撃)
???「ぐはぁ・・・・・」
YUKI「お片づけっと」
・・・・
・・・・
シンジ「遅れて済みません」
YUKI「いや、気にしてないから」
レイ 「後は、タブリスだけね」
シンジ「・・カヲル君か・・・」
アスカ「私達ネルフの敵ね♪」
レイ 「問題無いわ」
シンジ「ははは」(汗)
アスカ「ミサトがネルフに不信感を持っているわね」
レイ 「・・でも、一人で暴走しているだけよ」
シンジ「ミサトさん・・・」
アスカ「バカね」
アスカ「それよりも、LAKになりそうじゃないどういうことよ!?」
YUKI「ん?気にするな」
レイ 「お義母さまじゃないの」
シンジ「その方が良いんじゃない?」
アスカ「YUKIなんとかせえ!」
YUKI「・・・知らん。ぐぼぉ!」
・・・・
・・・・
???「・・・うう・・酷い目に会った」
???「次こそ僕の愛を伝えるからね!!待っていておくれ!シンジく〜ん!!」