立場の違い

外伝

怖い女

この話は、立場の違い本編には何の影響も及ぼしません。
あくまで、別の話と考えてください。


浅間山観測所
浅間山の火口の中に不信な影があるという報告を受けて、ミサトは日向を連れてここに来ていた。
「観測機降下開始」
・・・
・・・
「深度650」
「深度700」
「已然反応無し」
・・・
「深度1800」
「もう限界ですよ。」
「壊れたらウチで弁償します。後500お願いします。」
主任が小さくガッツポーズをした。
「深度1850」
「反応がありました、分析開始!」
日向が叫んだ。
・・・
反応が消えた。
「大破しました」
「どう?」
「ぎりぎりですが間に合いました。パターン青です。」
ミサトは所長の方を振り返った。
「以後、この件に関する一切の指揮権はネルフが取ります。尚、過去24時間の一切の情報を封鎖します。」
一般職員を退室させると日向は直ぐに映像などの分析に掛かった。
「・・・葛城さん、これを」
モニターには使徒の幼体らしきものが映っていた。
「・・・日向君、使徒捕獲の最優先の特令何だっけ?」
「え?確か、A−17だったと思いますが・・・あれは、」
「そっ、ありがとね」
笑顔で礼を言いミサトは電話を掛ける為に部屋を出て行った。
ミサトに恋心を寄せている日向は、それだけで舞い上がり、とてつもなく重要な事を知らせ損ねた。


廊下、
ミサトは本部に電話を掛けた。
「碇司令に、A−17の発令を要請して」
『気をつけてください、これは通常回線です』
「分かってるわよ、さっさと特別回線に切り替えなさい」
『しかし、本気ですか?A−17は、』
「分かってるわよ、早くしなさい」
『は、はい』


ネルフ本部、総司令執務室、
「・・・ナオコ博士・・・南極は良いのか?」
「あら?槍よりも目の前の使徒の方が大事ですわよ」
「・・・そうか・・・」
『青葉2尉です』
シンジはボタンを押して扉を開けた。
「青葉2尉、用件は?」
「あっ、はい、浅間山の葛城1尉から、A−17の発令要請が」
「・・・・」
シンジは暫く考えた。
「レイ、どう思う?」
「減俸」
「そうだな、葛城1尉を1ヶ月間の減俸に処す、直ちに連れ戻せ、浅間山には私が直接向かう、冬月、後は任せた」
「ちょっと待ってください」
「・・ナオコ博士?」
「私に指揮をやらせてください」
「・・・分かった。だが、特令は発動しない」
シンジは使徒の件はナオコに任せて、レイと一緒に過ごすことにした。


浅間山、
「葛城1尉、作戦指揮は、赤木ナオコ博士が取るそうです」
「ナオコ博士が!?」


1時間後、ネルフ本部、ケージ、
ナオコがD型装備に何かをしていた。
「くすくすくす」


更に1時間後、
初号機と弐号機を連れ浅間山に到着した。
「良いわね、弐号機アスカは火口で待機不測の事態に備えて」
『む〜〜』
「アスカちゃん、危険な仕事は大人がやった方が良いでしょ」
『む〜〜〜!』
「初号機降下を開始します」
モニターには、六分儀が耐熱プラグスーツを着ている姿が映っているが、殆どギャグである。
職員達は笑ってしまわないようにそのモニターからは視線をずらしている。
『・・・暑い・・・』
「スーツ温度維持システム作動」
突然六分儀の汗の量が増えた。
『・・おい・・・』
「あら・・ごめんなさい、それ、極寒地域用の耐熱スーツだったわ」
ナオコは平然と言った。
つまり・・・中は暖房?
『・・・ふん・・・・問題無い・・・』
「あれ、切れません。故障のようです」
「どうしたの?」
「いえ、温度維持システムが切れません」
『・・おい・・』
「作戦の進行に問題は?」
『・・・問題無い・・・』
・・・・
・・・・
・・・・
「第1ポンプ停止」
「第2ポンプも出力が低下しています」
「どうしたの?」
「冷却液のポンプの機能が42%まで、低下しています」
「破壊工作ね」
「ちぃ、戦自かUNの仕業ね」
「そうね」
犯人はお前だ!!赤木ナオコ!!
『・・・ぐ・・・』
汗の量が凄まじい。
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
「プログナイフロスト」
「丸腰じゃない!」
「でも、繭のままなら問題は無いわ」
・・・・
・・・・
・・・・
六分儀が少し痩せて来た。
ガラスが割れるような音がした。
「どうしたの?」
「D型装備に亀裂発生!!」
「駄目です圧力に耐えられません!!」
「まだ安全深度にも達してないわよ!!」
「破壊工作ね」
「あんのバカどもがああ!!!」
「作戦中止、ケーブルリバース!」
撒き戻り始めた。
「第1ケーブルに亀裂発生!!」
「第2ケーブルにも亀裂は広がっています!!」
「駄目!持たない!!」
ナオコの表情はとっても面白そうだった。
(さよなら、ユイさん、そして、所長)
ケーブルが切れて初号機が落下した。
直ぐに耐熱装備が崩壊した。
『ぎゃああああああああ!!!!!!!』
マグマが直に触れたらしい。
・・・・
・・・・
・・・・
皆目を閉じた。
ナオコだけは唇を歪ませていた。
その時凄まじい振動が走った。
(悪あがきを!!)
「使徒が目覚めたわね!爆撃を!!」
そして、暴走した初号機が火口に姿をあらわした瞬間32発のNN爆雷が炸裂した。
・・・
・・・
・・・
「・・なあ、最後に見えた陰・・・あれ、初号機じゃなかったのか?」
誰もその問いには答えなかった。


結局、使徒は殲滅され、初号機は大破、六分儀は全治7ヶ月ではあったが、生き残っていた。
赤木ナオコは次なる手を考案中である。

あとがき
アスカ「こら〜〜〜!!!アタシと弐号機はどうなったのよ〜〜!!」
YUKI「・・・あ・・・忘れてた・・・」
YUKI「うごっ!」
アスカ「ふざけんじゃないわよ!」
YUKI「だったら、君が潜るか?」
アスカ「嫌に決まってんじゃん。あんなのはファーストがお似合いよ」
YUKI「分かった。じゃあな・・・」(くすくす)
アスカ「・・・YUKI、なんか企んでなかった?」