remake 前編

 あの使徒にやられたばっかりなのに、またエヴァに乗って怖い目に遭わなくちゃいけないなんて……
 でも、僕が乗らなかったら綾波が初号機に乗るって……綾波はどうしてエヴァに乗ろうとするんだろう? エヴァに乗ったせいであんな大けがをしたって言うのに……
「二人とも、いい? 本作線の概要を説明するわ」
 ミサトさんにはいって返事をする。
「この双子山に設置中の自走用電子砲改による砲撃により目標を殲滅。ここは一応目標の索敵レンジ外ではあるけれど、発射が近づいて大量のエネルギーが集中されれば察知される可能性があるわ。察知され、攻撃された場合に備えて初号機と零号機は盾を持って待機、いざというときは間に入って陽電子砲を護ってちょうだい」
「いざというときですか……」
「ないことを祈るばかりだけれどね。それと陽電子砲による攻撃が失敗した場合も、同様。再砲撃までの間護る必要があるわ。今回SSTOの底部を改造した盾は三枚調達できたから、防御の順番は、零号機、初号機、零号機の順で入れ替わってちょうだい」
 僕は二番目か……
「三枚目の盾がもたなかった場合は?」
「最終的には機体そのものを盾にすることになるわ。ATフィールドを全開にすれば、ある程度持つのは実証済みよ」
「了解」
「了解って、綾波はそれで良いの!?」
 綾波が即答したのに驚いて聞いたら、綾波は僕の方をじっと見てきて、少ししてから「他に手段あるの?」って聞いてきた。
「そ、それは……でも、あんなのの盾になるなんて! エヴァが攻撃されたら!」
「シンジ君そこまで。陽電子砲を護るのに他に手段はないわ」
「……ミサトさん……」
「ただし、攻撃に関してはもう一つあるから、本当に機体が持たなくなったら逃げて良いわ」
「え?」
「確実なものではないから、さすがに盾がなくなったら直ぐに逃げて良いとは言えないけれどね……」
「どんな作戦なんですか?」
「ネルフ本部と日本政府の合同作戦であるヤシマ作戦にあわせて、もう一つネルフ第三支部によるツングースカ作戦が行われるのよ」
「ツングースカ作戦?」
「そう。まあ、こちらはノータッチだから他にも作戦が動いているってことだけ覚えておいてもらえればいいわ。ただし、両作戦のタイミングの調整がきわめて重要だから、時間のずれは絶対に許されないから、そのことだけは注意しておいてね」
「……はい」


 そして仮設ケージで作戦の開始を待つことになった。
 僕は初号機のケージ、綾波は零号機のケージ……少し離れたところで同じように座って待っている。
「ねぇ、綾波」
「何?」
「ツングースカ作戦ってどんなのなんだろうね?」
「……そんなことを聞きたいの?」
 綾波には見透かされてしまったみたいだ。聞いたってわからないだろうと思ってたから当然だったかもしれないな。話す切っ掛けがほしくて何となく話を振っただけだったけれど、見透かされてしまったのだし、聞きたかったことをそのまま聞こう。
「……綾波はどうしてエヴァに乗るの」
「絆だから」
「絆? エヴァに乗ることが?」
「私には他に何もないから」
「他に何もないって……」
 綾波の言葉は本当のように思えた……それはとても悲しいことだと思うけれど、なんて言っていいのかわからなかった。それで、言い及んでいたら「時間よ。行きましょう」と言って、綾波は一人先にリフトに乗っていってしまった。
 何も言えなかった……何を言えば良かったんだろうか? 何を言うべきだったんだろうか?
『シンジ君、そろそろ初号機に搭乗して』
 ミサトさんからの通信に返事をして、僕もリフトに乗って初号機に乗り込んだ。


 ヤシマ作戦は順調に進んでいったけれど、最後、発射までもう少しってところで使徒に気づかれてしまった。
『レイ! 待機を!』
『了解』
『3、2、1』
 陽電子砲がまぶしく光って青白い光がまっすぐに使徒に向かって伸びていった。そして使徒の方からも赤い光が……二つの光がすれ違ってそれてしまった。
「くぅぅ」
 使徒の攻撃は近くに着弾して陽電子砲は無事だったけれど、向こうも同じだった。
『再砲撃急いで!』
『目標内部に高エネルギー反応!』
『レイ!』
 零号機が使徒と陽電子砲の間に割って入って使徒の攻撃を防いだ。
『シンジ君、準備して』
「……はい」
 大丈夫。盾があるんだから、それにミサトさんももう一つ攻撃方法があるって言っていたんだし……
 怖い、でも綾波がああしているんだし、逃げ出すわけにはいかない。もし僕が逃げ出してしまったら、零号機が、綾波がそのまま盾になってしまう。
『砲身冷却完了、エネルギー再装填開始』
 零号機の持っていた盾がだいぶ溶けてきた。
『シンジ君交代して!』
「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ。逃げちゃダメだ!」
 盾を構えて零号機の後ろに入ると直ぐに零号機がどいて、使徒の攻撃を受け止めることになった。
「うう……」
 すごい力でぐいぐい押される。それはまだ良いけれど、だんだんあつくなってきた。
『照準修正完了まで45秒』
 そんなに絶対に持たない。もう盾もだいぶ溶けてきてるし、零号機の新しい盾だって、そうなったら……零号機が、綾波が!
「え?」
 突然西の空から赤い光が使徒を貫いて反対側の外輪山で大きな爆発が起こった。そのとたん使徒の攻撃がぴたりとやんだ。
「なにが……」
『目標の殲滅を確認。ツングースカ作戦の方が成功しましたね』
『そのようね……何はともあれ、シンジ君、レイ、お疲れさま』
 ミサトさんが言っていたもう一つの作戦の方が成功したみたい……またつらい目に遭わなくて良かったし、綾波もそんな目に遭わなくて良かった。
 ……
 ……
(他には何もないか……)
 確かに、今回は綾波はけがをしたり大変な目にあったりはしなかった。けれど、綾波はそんな目に遭うかもしれないっていうのに、即答できた。だから、綾波にとってエヴァに乗れなくなることはそれ以上につらいことなんだろう。それは、とても悲しいことだと思う。
 僕が最初にエヴァに乗ったときはあんな綾波を乗せるなんてことはできなかったからだし、今回だってそんなところがあると思う。でも、綾波にとってはどうだったんだろう?
 ……綾波があんな悲しい言葉を口にしなくてもすむようにできないだろうか? たぶん、そうできたなら、その方が綾波にとって大きなことになると思う。


 作戦が終わってネルフ本部から家に帰る途中……エレベーターの中で綾波に話しかけた。
「ねぇ、さっき言っていた、他に何もないって言葉」
「どうかしたの?」
「エヴァを通した絆以外本当に何もないんだよね」
 何となく不機嫌そうに「……だから?」って聞いてきた。ちょっと怖かったけれど、ここで黙るわけにはいかない。
 作戦が終わってからずっと考えていたことを思い切って言った。
「あ、あのさ……僕もエヴァに乗る仲間だけど、エヴァと関係なく友達にならない?」
「……友達?」
「うん。エヴァとは関係なくさ。同じクラスなんだし……そんな絆はどう?」
 暫くして「本当に?」って聞いてきた。
「うん。綾波が良ければね」
「……ありがとう」
 少し顔を赤くしながらそんなことを言った綾波はとてもかわいかった。


 あのとき何が起こったのか……もう一つの作戦というのがどういうものなのかは、次の日にリツコさんから説明を受けてわかった。
 ドイツの弐号機が軌道降下攻撃というのをやったらしい。ATフィールドで空気の抵抗をブロックしながらブースト加速、宇宙空間から一気に接近して使徒を直接攻撃。迎撃されないように使徒が攻撃中に行う必要があったから、タイミングが重要だったとかそんな話だった。
 それがどれだけすごいのか本当のところはわからないけれど、僕にはとてもできそうにない芸当だってことは間違いない。そんな作戦をやり遂げた弐号機のパイロットがこの扉の向こうにいるんだ。
「それじゃ、顔合わせと行きましょうか」
 ミサトさんに続いて部屋に入ると、赤っぽい髪の女の子……僕たちと同じくらいの女の子がいた。
「紹介するわ、惣流・アスカ・ラングレー。弐号機で一緒に戦ってくれるわ」
「こっちも。この子が碇シンジ君、そして綾波レイよ」
「よろしく」
 惣流さんは、笑顔で手を差し出してきた。
「そ、その、よろしく……惣流さん」
 惣流さんの手をつかんで握手する。
「アスカ、で良いわよ。その代わり、シンジって呼んでも良い?」
「あ、うん。惣……アスカさん」
「さん、はいらないわ。あなたも、良い?」
「かまわないわ」
「そう、レイ。これからよろしくね」
 惣流さん……アスカは綾波とも握手をした。
「いろいろとあるかもしれないけど、二人は同じパイロット仲間として同格でやっていきましょ」
 綾波の零号機に加えてそ……アスカの弐号機、一気に増えたものだと思う。


 学校に登校すると、綾波はもう登校していて窓際の自分の席で本を読んでいた。
「綾波、おはよう」
「おはよう。碇君」
 そばまで行って一言挨拶をしただけだったのに、綾波はどこかうれしそうだった。
 勿論、エヴァに乗って一緒に戦っていく仲間でもなければいけないけれど、綾波にとってはこんな簡単なことの方がずっとうれしいことだったのかもしれない。
(もっと早くこうすれば良かったかもな)
「シンジ、おはよう」
「あ、ケンスケ。おはよう」
「聞いたか、今日転校生が来るらしいぜ」
「転校生?」
 アスカの顔が思い浮かんだ。何歳かは聞いてないけど、たぶん僕達と同じくらいだろうし、そんな気がする。
「ん、心当たりありか?」
「たぶんだけどね」
 そして、朝のHRで思ったとおりアスカが僕たちのクラスに転入してきたことがわかった。


 休み時間のたびにアスカはクラスのみんなに取り囲まれて質問攻めにされていた。
 それも昼休みには一段落したのか、アスカが僕のところにやってきた。
「そうそう、シンジ。シンジには言っておかないといけないことがあったのよ」
「何かな?」
「アタシの住む場所なんだけど、シンジの隣、まあ正確にはミサトの部屋の隣ってことになってるのよ」
「そうなんだ」
「それで、朝ミサトが今夜アタシの歓迎会を開いてくれるって言ってくれて、そのときに何人か呼んでも良いって話にはなったんだけれど、さすがにみんなを呼ぶわけにはいかないし。誰を呼ぶと良いのか検討つけるのが難しくてね。何人かシンジが呼んでくれない?」
「え? 僕が」
「そう。レイとシンジの友達でいいからさ」
「それで良いの?」
「良いから頼んでるのよ。お願いできる?」
「うん。良いよ」
「レイもお願いね」
「え、綾波も僕が?」
「良いでしょ?」
「まあ、良いけど」
 どうして自分で呼ばないのかなとは思ったけれど、引き受けることにして、さっそく綾波の方に向かった。
「綾波、ちょっと良いかな?」
「何?」
「アスカがうちの隣に引っ越してきたらしいんだ。それで、ミサトさんがアスカの歓迎会を夜に開くそうで綾波、夜暇だったら来てくれない?」
「アスカの歓迎会?」
「うん」
「わかったわ」
「ありがと」
 次はトウジとケンスケに声をかけることにした。


 そうして、ミサトさん主催のアスカの歓迎会に集まったのは、リツコさん、マヤさん、綾波、トウジ、ケンスケ、委員長。トウジとケンスケは話をしたら直ぐにノリノリにだったから楽だった。委員長には声をかけていないからアスカが自分で連れてきたのだろう。
「それでは、アスカの歓迎会ということで、新しい仲間を歓迎して乾杯!」
 ミサトさんの音頭でアスカの歓迎会が始まった。
 ……
 ……
 パーティー開始からだいぶ経って、アスカがベランダの方に出て行ったけれど、なかなか戻ってこなかったから様子を見に行くことにした。
 ベランダに出るとアスカはワイングラス片手に外の夜景を見ていた。グラスには赤い液体、手すりにはワインボトルが置かれている。
「アスカ、それお酒だよね?」
「そうよ。ま、ミサトあたりはともかくマヤの目の前で飲むのはちょっと気が引けてね、こうして隠れて飲んでるってわけよ」
「そうなんだ……」
「シンジも飲む?」
 アスカがさっきまで口にしていたワイングラスを差し出してきた。
「ううん、いいよ」
「そっか。真面目ね」
「そんなんじゃないけど……」
「そ。まあ良いわ。せっかく二人になったんだし、何か話をしましょう」
「話?」
「シンジと二人っきりになったの初めてだしね」
「そう言えばそうだね」
 アスカと話したことは結構あっても、いつも誰かと一緒にいる場だった。
「さて、そう言っても何から話すか迷うわね。シンジの方に、何か言いたいこととか聞きたいこととかない?」
 アスカの方から言っておいてそれかと思わないでもなかったけれど、せっかくそう言ってくれたのだし、あのことを聞くことにした。
「そうだね……アスカはどうしてエヴァに乗っているか聞いてもいい?」
「どうしてか……そんなことを聞くなんて、シンジは自分が乗る理由でも探してるの?」
「え? いや……そういう訳じゃないけど……」
 はっきりとした乗る理由があるわけじゃないことを指摘されたような気がしてしまった。アスカの方はそんなつもりはなかったようだけれど……
「ま、良いわ。アタシの場合は単純じゃないけど。今一番の理由を挙げるなら大切な人たちを守るためってところかしらね」
「大切な人たちを守る?」
「そうよ」
「そのために怖い思いをしても良いの?」
「使徒そのものよりも、大切な人を失う方が怖いわよ」
「そうなんだ……アスカって強いんだね」
「ありがと。でもシンジも結構なものだと思うけどね」
「え? 僕が?」
「聞いたわよ。シンジはレイのためにエヴァに乗ってるじゃない」
「え、で、でも、あれは……」
「それだけでもシンジは強いと思うわよ」
 アスカは本当にそう思っているようだったから、「……ありがとう」と応えた。


 朝、学校に行くためにゴミ袋を持って家を出たら、ちょうど同じように出てきたアスカと出くわした。
「おはよ」
「おはよう」
「お互いこんなもの持ってると微妙ね。さっさとゴミ置き場に持ってきましょ」
「うん」
 二人でエレベーターに乗って一階に向かう。
「そうだ。ゴミで思い出した。昨日レイの家に行ったんだけど、シンジはある?」
「え? ……うん」
 前にIDカードを届けに行ったとき……あのとき。あのとき、僕は綾波を……
「なんか変な感じね。まあいいわ。それより、レイって部屋がどんなでも気にしない人間なのよね」
「え?」
 アスカの言葉を考えて思い出した。郵便受けはいっぱいだったし、部屋もあんまりものはなかったけれど、とてもきれいじゃなかったし包帯とかいろんなものが散らばっていた気がする。
「でさ、シンジが片付けにいってあげてくれない?」
「え、どうして?」
「ほっとくといつまでもあのままでしょ。だから誰かが何とかしてあげなくちゃいけない。ほんとならアタシがやってあげたいところだけど、第三支部から空輸した装備の調整で手が空いてないのよね」
 エレベーターが一階について二人揃って下りる。
「アスカってリツコさん達と一緒にいろいろとやってるんだっけ」
「まね。大したことじゃないけど、使徒に対する備えはしっかりしておかなくちゃいけないでしょ」
「うん」
 アスカはこの歳で大学も出てるらしいし、ネルフでアスカのおかげで〜という話はちょくちょく耳にするようになったし、本当にすごいと思う。
「その関係でしばらくはシンジの方は予定入ってないし、お願いできない?」
「いいよ。今日学校終わった後行ってみる」
「ありがと」
 大きなゴミ入れにゴミ袋を入れて、学校に向かって歩き始める。
「一応レイには断っておいてね。あの感じだと必要性感じてないでしょうけど、そのあたりはシンジが説明してあげなさい」
「うん」
「ああ、そうだもう一つ。アタシから頼まれてってのは言わない方が良いわよ」
「え? どうして?」
「シンジが自分から思いついたってことにしておいた方がポイント高くなるからに決まっているじゃない」
 ポイント? よくわからなかったけれどうなずいておくことにした。


 アスカからああ頼まれたから、休み時間に綾波のところにやってきた。
「あの……おはよう」
 声をかけると、綾波は読んでいた文庫本にしおりを挟んで閉じて「おはよう」と応えてくれた。
「あのさ、綾波……今日、学校終わった後綾波の部屋片付けにいっていいかな?」
「片付け?」
「うん……その、前に行ったとき、散らかっていたし。健康とかのためにもやっぱり部屋はきれいな方が良いと思うから」
「……どうして、そんなことを言いに来たの?」
「え……いや、その、あの……朝アスカと話をして、綾波の部屋があのときのまんまっぽいって聞いたから」
「そう……」
 綾波は何かを考え始めた。
「どうしたの?」
「こういうときは、お願いと言えばいいの?」
「え? あ、うん。それで良いと思うよ」
 なんて言うのか考えていたようだ。あれからそれなりに時間が経ってしまっているから、理由の説明にアスカの話を出してしまったけれど、アスカに言われてって感じではないから、あれで良かったのかな?


 今日は綾波と二人で一緒に下校して綾波の部屋にやってきた。
 前に来たときと……確かにあんまり変わっていなかった。ただ、大きな違いというか小さな違いというかわからないけれど、本がぎっしり詰まった段ボールが一つ増えていた。
「綾波、この本は?」
「アスカが読むと良いと言って貸してくれたもの」
「そうなんだ」
 そういえば、綾波って結構一人で本を読んでいたりとかしてたっけ。
「片付け、始めるね」
 どこから手をつけるか少し考えて、まずは明らかなゴミをまとめてゴミ袋に入れることから始めることにした。
 掃除自体は綾波も手伝ってくれて、結構早くに終わった。
 考えてみたら綾波だって、掃除当番とかで学校の掃除とかはやっているんだし、掃除ができないとかそんなわけはなかった。アスカが言っていたように綾波が気にしていなかったからなんだろう。
「……碇君、ありがとう」
「ううん。大したことじゃないよ。それより、この本、本棚とかそういうのにしまった方が良いと思うんだけど」
「そうなの?」
「うん。でも、そういうのはないし……良かったら明日にでも買いに行く?」
「……お願い」
 そうして明日の放課後一緒に本棚を買いに行くことに決まった。


 それで約束通りに本棚を買いに行ったのだけれど、気になったことができてしまった。
 そのことをアスカに聞きたいと思っていたら、ちょうどマンションの前でアスカとばったり会うことができた。
「あ、アスカ」
「シンジも今ね。おかえり」
「アスカもおかえり」
 二人で一緒にエレベーターに乗る。
「ねぇ、アスカちょっと聞いても良いかな?」
「なに?」
「うん、綾波に貸した本……あれ、全部新品だったんだよね?」
 本棚に入れるときに、本がやたらにきれいなことに気づいたのだ。とても何度も読んだものとは思えないほどに。それに考えれば、ついこの前までドイツで生活していたアスカがあれだけの量の日本語の本を持っているともちょっと思えない。
「ま、気づくか。正解よ。レイの話をいろいろと聞いてね。本を用意して貰ったのよ」
「どうして?」
「ほんとならネルフの大人がやるべきことなんだけど、よく言えば自由にさせている、悪く言えばほったらかしでしょ? アタシなんかの場合はありがたいんだけど、レイの場合だとファーストチルドレンだけあってずいぶん前からその状態。いろいろと常識・良識として知っておくべきことはあるのに、知らないままじゃ良くないでしょ? レイは本は読んでるみたいだから、せめて本からそういったものの土台となる知識を知ることができればって思ったのよ。だからそういった線で本も選んであるわ。勿論本だけじゃ全然不十分だけどね」
「そうだったんだ」
「そう。だから、シンジもレイのことよろしくね」
「うん」
 エレベーターを降りて通路を歩く。
「それで、レイとはどう?」
「いや、どうって言われても……昨日綾波の部屋を掃除しに行って、今日は本棚を買いに行ったりとかはしたけど」
「ふ〜ん。そう言えば、レイの部屋ってほとんど家具とかものなかったわよね」
「うん、そうだね」
「やっぱそのあたりもどうかと思うし、お願いね。じゃ、また明日。お疲れ〜」
 アスカは僕の返事も聞かずに自分の部屋のドアを開けて入っていった。
 なんだかすっきりしないけれど、綾波の生活の様子とか今のままでは良くないとは思うのは僕も同じだし、できる範囲でやっていこう。
 それにしても、アスカってリツコさん達と一緒にやっている装備関係のことでかなり忙しいはずなのに、そんなところにまで気を回せるなんて本当にすごいな。


 三日後、非常招集がかかった。
 ブリーフィングルームに三人が揃うと、ミサトさんが説明を始めた。
「本日11:23、戦略自衛隊の駆逐艦『暁』が日本南海で巨大な海中移動物体を発見。11:38、第六使徒と確認。目標の進路は現在紀伊半島沖を航行中の国連太平洋艦隊の進路と交差するコース。太平洋艦隊は、第三支部で開発された数々のエヴァの兵装を輸送中。目標の目的はこれだと思われるわ」
「設計図はあるから作り直しはきくけど、それにかかる時間は痛いわね」
「ええ、そこで今回こちらから打って出ることになったわ。ウィングキャリアーで初号機と弐号機を空輸、輸送中の各種兵装と太平洋艦隊との連携で殲滅してちょうだい。零号機は実戦装備に改修中のため本部にて待機、改修作業は中断し四時間で戦闘可能な状態に持って行くそうよ」
「「「了解」」」
「今回は対外的な連携が必要だからアスカを作戦指揮官に任命して、副官として日向君をつけるわ。必要な書類一式は彼に渡しておくから、あちらの司令官とのやりとりは時間もないし通信回線越しでかまわないわ」
「了解」


 ウィングキャリアーに乗って暫くしてから、通信回線でアスカに話しかけた。
「今度の使徒、大丈夫かな?」
『不安?』
「うん……」
『このアタシがいるんだから大丈夫よ。大船に乗ったつもりでいなさいよ』
「ありがとう」
 シンクロ率こそ僕の方が高いけれど、格闘技や銃撃そのほか諸々ありとあらゆる面で秀でている。訓練でもわかったけれど、アスカは僕と綾波が束になっても勝てない。そんなアスカがいるんだから確かに大丈夫かもしれない。
『太平洋艦隊と連絡が取れました』
『OK、話をするわ』
 アスカは太平洋艦隊の提督といろいろと話をして、これからの作戦とかそのあたりの話もつけたらしい……ものすごく流ちょうな英語だから何を言っていたのかさっぱりわからなかったけど。
『アタシは空母『オーバー・ザ・レインボー』でアンビリカルケーブルを接続、そこを土台にして戦うわ。シンジは特殊輸送艦『のと』に着艦して海中戦闘用のM型装備を装着して』
「うん」
『フル装備はとてもできないから、必須パーツだけ、先行している技術班がやってくれるけど、一応図面を送っておくわ』
 モニターにエヴァに装着されるパーツと装着された後の初号機のイメージ図が表示された。
「ありがと」
『まもなく太平洋艦隊上空に到着します。目標までの交戦予定時間約10分』
『ぎりぎりね。まあ、間に合っただけよしとしましょう』
 モニターにたくさんの艦艇が映った。モニターにも色々と艦名とか種類が表示されている。さすがに空母と他の区別くらいはわかるけれど、後はよくわからない。たぶんケンスケだったら、本当に大喜びだっただろうな。
『まもなく投下します』
「了解」
 ウィングキャリアーから切り離されて、輸送艦に着艦する。
「うわ!」
 大きく傾いたけれど何とかバランスをとってひっくりがえったりせずにすんだ。
『仮設ケージに!』
「はい」
 輸送艦についていた仮設ケージに寝転がると直ぐにたくさんの人が作業を始めた。
 その間僕にはすることはないから、モニターに映っている弐号機を見ていることにした。
『目標来ます!』
 弐号機はプログソードを構えて、水面から飛び上がって襲いかかってきた大きな魚みたいな使徒をよけながら腹を切り裂いた。
 使徒は血を吹き出しながら海に飛び込んでいった。
「やったの?」
『まだよ』
 また使徒が現れて弐号機に襲いかかってきた。でも、弐号機は肩のウェポンパックのニードルを発射して顔に当たりに打ち込んだ上で、あっさりと躱してまた思いっきり斬りつけた。
「すごい」
『ありがと』
 弐号機と使徒との戦いは一方的だった。
 最後は、名前は知らないけれど槍に持ち替えて、使徒を突き刺して甲板に縫いつけて動けなくしたところを戦艦の砲撃でボコボコにたたきまくって殲滅した。
 結局僕の出番は全くなかったけれど、アスカの戦い方には圧倒されてばっかりだった。


 アスカに言われたとおりに、綾波のためにできることを……と、カーテンを変えたり、カーペットを敷いたりと部屋の模様替えをしてみたりしてみたのだけれど、女の子の部屋ことなんてほとんどわからないから、もっと色々とした方が良いことはある気がしても、どうしたらいいのかよくわからなかった。
 それで、委員長に協力をお願いしてみると、二つ返事で引き受けてくれた。あんまりにもあっさり引き受けてくれたのに驚いたら、なんとアスカから助けてあげてほしいとお願いされていたのだという。
(アスカってすごいよなぁ)
 僕が委員長に協力をお願いすることまで読んでいたんだから、本当にそう思う。
「碇君」
 委員長が僕を呼んだから、そっちを振り返るとふりふりの白いワンピースを着た綾波がその横に立っていた。
 今まで制服とかプラグスーツくらいしか見ていなかったから、そんなかわいい服を着た綾波っていうのはとても新鮮で、かわいかった。
「どう?」
「う、うん。似合ってると思うよ」
「……そう?」
「ええ、碇君もこう言っているんだし、これにしましょうよ」
 綾波はこくんとうなずいた。
 今日は綾波がほとんど服を持っていないから、休みの日とかに着る服を買いに来ているのだけれど、本当に委員長にお願いして良かったと思う。委員長が時々行くおすすめの店とか、そんなの僕にあるはずがないし、この並んでいる服もいる人たちも女の人や女の子ばっかりなんて店に入るのは恥ずかしかったし、委員長がいなかったらとても入れなかったと思う。
 それからいくつか店を回って綾波のマンションに帰ってきた。委員長とは途中で別れたから二人で部屋に入る。
 委員長の協力もあってこの部屋も随分雰囲気が変わったように思う。
「紅茶で良い?」
「うん、ありがとう」
 荷物を下ろした綾波が台所で紅茶を入れる準備を始めた。
 前のことを考えると随分手慣れた感じになってきたものだと思う。最初は紅茶の葉を入れる量もまるでわからなかったっけ。
「はい」
「ありがとう」
 綾波から紅茶が入ったカップを受け取る。
「今日は委員長に一緒に行ってもらえて良かったね」
「そうね。洞木さんがいたからこそ服を選ぶことともできたわね」
「うん。あと、委員長とも友達になれたかな?」
「友達?」
「委員長と結構仲良く話していたでしょ、僕の目からは友達に見えたよ」
「……私、洞木さんとも友達になれたのね」
「よかったね」
「ええ、ありがとう」
 エヴァとは関係ない絆をもう一つ手に入れることができた綾波はとてもうれしそうだった。


 第3新東京市に戻る車に乗っている。
 また使徒が現れて、今回も初号機と弐号機が出撃、零号機は本部で待機になった。今度の使徒は分裂して、ダメージを与えても直ぐに直ってしまうような使徒だったけれど、アスカの的確な判断で無事に倒すことができた。
 いったい何度目になるかわからないけれど、またしても本当にアスカってすごいと思った。
「ん? どうかした?」
 隣に座っているアスカのことを見ていたら、アスカが僕の視線に気づいた。
「アスカってすごいなって改めて思ってたところ」
「そんなほめてもなんにも出ないわよ」
「そんなんじゃないよ。でも、アスカがいてくれたから、今度の使徒にも勝てたのは間違いないと思うよ。ミサトさんだって、喜んでいたみたいだったし」
 最初に弐号機がソニックグレイブを振り下ろして使徒を真っ二つにした時、みんな喜んで……警戒を解いていたけれど、アスカだけは警戒したままだった。
「あれはミサトがまだまだなだけ。戦場では何が起こるかわからない。ましてやどんな能力を持っているのかわらない使徒相手に気を抜くなんて論外よ」
「うん。そうだね。それをしっかりわかっているアスカがいてくれて本当に頼もしいよ」
「ああ、そういうことね。そう言ってもらえるのはありがたいことね」
(アスカがいてくれれば本当に大丈夫かもしれない。こわい目に遭わなくてすむかもしれない)


 今日はアスカも登校している。
 アスカが学校にやってくるのが時々しかないのもリツコさん達と一緒にエヴァの新しい装備を開発しているから。
 考えてみればアスカが来てくれたおかげで本当に色々と変わったものだと思う。
 最近はエヴァに乗るのが嫌になったりっていうこともなくなってきた。
 訓練でも出てくるアスカが開発に加わった新しい武器の威力とか、アスカ・弐号機の強さ。そして、実戦の時もアスカが気遣ってくれたりもすることが大きいと思う。
 エヴァ以外でもアスカは色々としてくれている。綾波との約束もうまく果たすことができているのもアスカのおかげが大きいと思う。
 どうしてアスカはそこまでしてくれるんだろう?
 エヴァ関係のことは、僕たちがちゃんと戦えるようになればアスカが前に言っていたようにアスカの大切な人を護ることに繋がるわけだし、そうなんだろう。でも、私生活のことでも気を遣ってくれるのはなぜだろう?
 アスカがそれだけ親切だってことなんだろうか? それとも他に何か理由があるのだろうか?
「シンジ」
「うわぁっ!」
 突然アスカに声をかけられて、思わず大きな声を上げてしまった。
「そんなに驚くことないじゃないのよ」
「そ、その、ごめん……」
「ま、いいけど。なんか考え込んでたみたいだったけれど、悩み事? もしそうだったら相談に乗るわよ」
「ありがとう。でも、そんなんじゃないから」
「あ、そう。もし何か相談したいこととかできたらいつでも何でもいいからね」
「ありがとう」
 こうしてとても優しくしてくれる……


「碇君」
「なに?」
「最近、碇君がアスカのことを見ていることが多いけれど、どうして?」
 綾波と二人でネルフ本部に向かっている途中に綾波からそんなことを聞かれた。
「え、そう?」
「ええ」
 綾波にはわかっていたみたいだ。ひょっとしたら他の人たちにも気づかれているかもしれないな。
「……アスカってどうして僕たちにこんなに優しくしてくれるのかなって思って」
「優しく?」
「うん……色々と気遣ってくれてるんだよ」
「アスカは私のことにも気を遣ってくれる。彼女が親切だからではないの?」
 確かに綾波のこともそうだ。本を用意したのに始まって、僕や委員長に色々と頼んだり……。アスカがそれだけ親切だってだけなんだろうか。
「アスカの行動が不安なの?」
「そう言うんじゃないんだけど、気になって……」
「碇君はアスカのことをどう思っているの?」
「え? 僕?」
「ええ」
「……そうだね。どうなんだろう?」
 頼りになる人、親切で優しくしてくれる人、隣に住んでいる女の子……そんなアスカから連想する言葉を考えていると「これ?」と聞くような感じで、綾波が一冊の文庫本を開いて渡してきた。
「本?」
 軽く目を通してみると、好きな男子のあらゆることが気になって仕方ない女の子の話だった。
「これ、アスカが貸してくれた本?」
「ええ」
 綾波が「これ?」と言って見せてきたということは……僕がアスカのことが好きだから、アスカのことが気になるのではないかってこと?
 僕がアスカのことを好き?
「……どうかな? わからないな」
「そう」


 僕はアスカのことをどう思っているのか……そのことをじっくりと考えてみた。
 ……僕はアスカにあこがれている。
 アスカは僕にとってはまさにヒーローみたいなものだし、あれだけありとあらゆることに優れていればそれも当然だと思う。
 僕はアスカのことが好きか?
 綾波が指摘したアスカがどうして優しくしてくれるのか気になったりしたのは好きだったからというのは違うと思うけれど……それでも、好きなのかもしれない。
 でも、アスカの方はどうだろうか?
 アスカが僕たちに優しくしてくれるのは好きだからとか気になるからとかそんなことはちょっと思えない。アスカが僕のことをどう思っているのか、自分の気持ちに気づいたからか別の意味でも気になってしまった。
 そんなことに気づいてから、アスカを見る目が変わった気がする。そして、アスカが近くにいるときはいつも目がアスカのことを追っていた。
 ずっとアスカのことを見ていたけれど、それでもアスカは僕のことをどう思っているのかはちっともわからなかった。
 ただ……そんな風にアスカが僕のことをどう思っているのか気になって仕方がないってことは、僕はアスカのことが本当に好きなんだろうなってことがわかった。
 訓練が終わって帰るバス……今日はアスカと一緒になった。
 やっぱりアスカのことが気になって隣に座っているアスカのことを見てしまう。
「シンジ、最近アタシのことよく見てるわよね」
「え? あ、うん……」
 やっぱり気づかれていたようだ。ありとあらゆることに秀でているアスカが気づかないはずもなかったか。
「やっぱり何か相談ごとがあるの?」
 心配そうに僕の顔をのぞき込んでくるアスカ……こう顔を本当に近づけられるとドキドキしてしまう。けれど、アスカは本当に心配してくれているだけのようだった。
 そのことは少し残念だったけれど、一つひらめいた。
「……一つ良いかな?」
「何でもどうぞ」
「あのさ……僕、好きな人がいるんだ」
「恋愛相談ね。OKよ」
「でも、相手は僕のことをそんな風には見てないみたいなんだ」
「ああ、なるほどね。今のところ片思いってわけね」
「うん……」
「そんなときはガツンと告白するべきよ。シンジみたいな性格だと、その気持ちをため込んだままいつまでもうじうじとしているだけでしょ」
「でも、告白しても断られたりしたら……」
 僕がそんなことを言ったら、ビシッと僕を指さして「そんなやる前から弱気でどうするのよ!」ときつく言ってきた。
「むしろそんな弱気なところは嫌われる要素になりかねないわよ」
「そ、そんな!」
「だからこそ、はっきりと告白するべきよ。良い?」
「あ、うん……」
「それに大丈夫、悪い返事はないと思うわよ」
 それってアスカも僕のことをある程度以上は認めてくれているってことなんだろうか? だったら思い切って告白すれば可能性……あるのかな?
「わかった。告白してみるよ」
「そう、その意気よ」
 アスカは本気で僕のことを応援してくれている。絶対にその相手がアスカだなんて夢にも思っていない。
 でも、告白するって決めたんだ。アスカが言うとおり、やる前から弱気ではいけない。やろう!


 アスカが登校する日を見計らって『放課後屋上で待っています』という手紙を下駄箱に入れておいた。
 ベタベタと言われるかもしれないけれど、何か特別な手なんか思いつかなかったし、こうすることにした。
 アスカはちゃんと来てくれるだろうか? そして、告白したときになんて応えるだろうか?
 屋上でアスカのことを待っているだけで、心臓の鼓動が早くなってきてしまう。
 深呼吸でもして少し落ち着けようとしたとき、屋上のドアが開いてアスカがやってきた。
「え……シンジ? まさかシンジがあの手紙を?」
 アスカは目をまん丸にして驚いていた。
 だめだ、弱気になっちゃ! 逃げちゃダメだ!
「……アスカ。その、アスカのことが好きです。だからつきあってください!」
 言えた。思い切って言えた。自分で自分をほめてあげたいくらい……だったのだけれど、アスカは頭を抱えた。
「まさか、そうくるとは……」
「アスカ?」
「この前の恋愛相談の意味がやっとわかったわ。アタシもだいぶ馬鹿だったかもしれないわね」
 どういうことなんだろう?
「シンジの告白はうれしいけれど、お断りするわ」
「え、ど、どうして!?」
「いくつか理由はあるけど……シンジにはレイがいるでしょ?」
「え、綾波?」
「そう。もしアタシがこの告白を受けてしまったらレイはどうするのよ」
 アスカがあのとき考えていたのは綾波のことだったのか。僕が好きな相手が綾波だと思ってあの相談に乗っていたんだ。
「でも、綾波は……」
「それに、整理すればシンジがアタシのことを好きだって思った理由も想像できるわ。確かにアタシはシンジに随分優しくしたし、あこがれるだけの要素もたくさんあったわね……やっぱりアタシが馬鹿だったのね」
 アスカは何を言っているんだろう?
「シンジにとってレイはどういう存在なのか、それをよく考えてみなさい」
「あ、アスカ!」
 屋上を去ろうとしたアスカを呼び止める。
「本来、アタシとは比較にならないくらいの存在なはずなのよ……ゆがめてしまったアタシが馬鹿だったけれど、やっぱり受けるわけにはいかないわね……」
「アスカ、何を言っているの?」
「レイのことをよく考えなさい。ただ、シンジの告白がうれしかったのは本当よ」
 そう笑顔で言ってアスカは今度こそ屋上から去っていってしまった。
 アスカは何を言っていたのだろう? あの笑顔は嘘じゃなかったように思えたけれど、だったらどうして……
 アスカはどうして綾波のことをそこまで言うのか、どうしてアスカが断ったのか。そして、どうしてアスカはあんな顔でうれしかったって言ったのか、まるでわからなかった。