文明の章

第弐話

◆15年ぶりの来訪者

6月27日(土曜日)、神奈川県第3新東京市、ネルフ本部総司令執務室、
ミサトは碇に召喚されていた。
碇の脇には副司令の冬月が立っている。白髪の老人だがいつも碇の近くで立っている元気なようだ。
迫力と威圧感バリバリの碇を前にミサトは緊張をしながら立っていた。
「葛城1尉、君には、サードチルドレンを迎えに行って欲しい」
冬月はミサトに用件を告げた。
「サード、チルドレンですか」
ミサトは、期待と若干の戸惑いを含んで聞き返した。
「そうだ、先日選抜された。初号機のパイロットとして見込まれている」
「初号機ですか」
ネルフの切り札中の切り札らしく、零号機を含む他のエヴァと初号機の扱いは大きく異なる。詳しくは未だミサトには分からないが、
「そうだ、零号機が動けない今、初号機を動かす事の出来る可能性のある者が見つかった事は非常に喜ばしい」
本当に嬉しいのだろうか?冬月は淡々と話している。
「お言葉ですが、初号機の起動確率はかなり低かったかと」
「そうだ、0.000000001%、オーナインシステムと言われている。だが、それは、適合者が見つかる可能性だ。人類史上最大の幸運かもしれない、レイ以外にも初号機を動かせる可能性のある適格者が見つかったのだからな」
やはり嬉しいと言った感じは受けられない。二人の様子は・・・まるで、初めから知っていたような・・・冬月の方は、若干不満があるようだ。
「葛城1尉、これが、サードチルドレン宛の私からの手紙だ。」
漸く碇が口を開いた。
「はっ」
ミサトは紙切れ一枚と住所その他が書かれた紙を受け取った。
「へ?」
《来い》
(喧嘩売ってんの?)
流石にこんな男に立派な手紙を期待するのは間違っている事は分かってはいるのだが、ミサトの顔が引き攣った。
「どうした?」
「あ、あのサードチルドレンっていったい」
「碇の息子だ」
しばし沈黙。
(それでか・・・)
「では、失礼します」
ミサトは一応納得して総司令執務室を出た。
「碇、いくらなんでも、来い、だけとは・・・・もう少し何か有るだろうが」
溜息混じりに冬月は言った。
「問題ない」
「時々お前が分からなくなるよ」
冬月は頭を悩ませた。


作戦部長執務室、
この部屋の状況を一言で形容するならば、ゴミ埋め立て処分場である。
本部栄転から未だ1月も経っていないのに・・・・
ミサトは先月まで松代の実験場に勤めていた。役職は、戦術作戦部作戦局4課課長、階級は2尉。それが今の地位は、戦術作戦部部長、1尉である。階級こそ技術部のリツコの1佐やその他の部長クラスに比べかなり低いものの与えられた権限は絶大な物である。セキュリティーレベルも2から4に跳ね上がっている。
東京リサーチグループによる評価は、
戦略指揮能力 D
戦術指揮能力 B−
個人戦闘能力 B+
とまあ、こんなものである。
軍隊ではなく研究機関を元とするネルフの本部においては最高の能力である。
ミサトはシンジに関する報告書を読んでいた。
「へ〜面白い癖があるのね、他人の右に立とうとしないか、なんかあるのかしら?」
「それにしても可愛い顔してるわね〜ほんとにあれの子かしら」
聞かれたら生きて太陽を拝めそうにないことを言っている。


6月30日(火曜日)、東京、東京帝国グループ総本社ビル最高総司令室、
マップに、突然点が表示された。
『未確認潜航物体探知』
「どうした?」
「突然現れました」
「日本政府と国連に通達、念の為に、ネルフにも通達しろ」
「了解」
まだ、何気ないやり取りで、事の深刻さは分かっていない。


長野県、第2新東京市、新千代田区、首相官邸、
竹下喜一内閣総理大臣が閣僚を引き連れ廊下を歩いていた。
秘書官の一人が走ってやって来た。
「首相!正体不明の潜航物体が日本南海で!」
一行は司令室に向かった。
マップに、表示されている。
「正体は?」
「依然不明です」
「むむむ、15年前の再来か、ネルフは知っているんだろうな」
「はい」
竹下は、15年前の忌まわしい記憶を思い出していた。


第2新東京市、中央区、国際連合本部ビル、
事務次官が陣頭指揮を取っていた。事務次官は元国際連合軍統合司令官だった。何故か今も軍事面を統率してる。
「目標は使徒の可能性がある。今後、これ以上ネルフに大きな顔をされない為にも、必ずや我々で阻止せねばならない」
(事務総長があれだから尚更な・・・)
名目上は、国際連合の一機関に過ぎないネルフだが、実質国際連合最高決定機関である人類補完委員会直属の特務機関である為、国連上部の意思を蔑ろにしている点がある。
「はい!」
「3自衛隊全てを第3種警戒態勢に」
「は!」
「太平洋艦隊は?」
「現在、ハワイ沖海域です」
「そうか」


第3新東京市、ネルフ本部、第1発令所
司令塔には、碇、冬月両司令が、メインフロアには、右から順に、技術部伊吹マヤ、作戦部日向マコト、情報部青葉シゲル、の3人のメインオペレーターと、中央に技術部長のリツコと作戦部長のミサトがいる。
サブフロアには、3体のスーパーコンピューター、右から順に、マギ・メルキオール、マギ・バルタザール、マギ・カスパーとなっており、それぞれ専属のサブオペレーターが複数名ついている。ここで一緒に紹介するが、カスパーのサブオペレーターのチーフを務めるのは碧南ルイ3尉、技術部所属でマヤの同期である。
様々な機関から集められた情報をマギが分析をしている。
「パターン、ブルー!」
使徒と識別された事をマヤが報告し、発令所に緊張が流れた。
「各関係機関に通告」
「はい」
青葉が各回線を開いた。
「予想進路です」
日向が割り出した予想進路をメインモニターに映し出した。
「碇、シンジ君を今直ぐ呼ばなくて良いのか?」
「問題ない」
「そうか・・・」
(分からん・・・・まさか碇、シンジ君を追い込んで乗せるつもりか?)
碇の非人道的行為に気付いた冬月は碇を睨んだ。
だが、それは、常識的観念からではなく、何か、それがシンジに関する物かどうかは定かではないが、特定の人物に対する思いからのようでもある。
因みに、各フロア間の会話に関しては、マギがその内容から自動判断して集音拡声を行う。よって、司令塔では、秘密の会話はしたい放題である。


7月1日(水曜日)、昼前、
国際連合第2方面軍、各自衛隊の将軍がやって来た。
「ふん、これが、ネルフか、金をかけているだけのことはある」
「まあ、役に立てばだがな」
「北海道から九州までの3自衛隊が集結しているんだ。いかなる物でも敵ではない」
本来ならば立場上上に存在する筈の国連軍よりも大きな権限を持ち、一切の情報を秘密裏にしているネルフへの抵抗はかなり強く、普段から頭越しに色々とされているストレスを晴らしに来ているようである。わざわざこんな所にまで出てくる必要は無いのに来ているのが良い証拠だろう。3人とも、ネルフを明らかに軽く見ている、いや、使徒を軽く見ている。15年前の使徒の事など記憶に無いようだ。まあ、当時の幹部はもはや現役ではないので当然とも言えるかもしれないが、
「ついた早々厭味ですかな」
碇は、3人の将軍に見下すような視線と言葉を送った。
「まあ、君達の出番は無い、そこで大人しく見ていてくれ」
嫌味の応酬である。
「司令塔に席を用意しました」
「うむ。」
3人は司令塔に上った。
「各部隊との回線開きました」
サブモニターに自衛隊の各部隊の情報が浮かび上がった。
3D作戦マップに部隊と使徒が映し出された。
「目標は海底を移動中です。上陸まで74分です。」
「目標が海面に姿を表した瞬間から、総攻撃開始」
「各部隊に通告完了」
「海上自衛隊第1艦隊及び第2艦隊作戦ポイントに移動開始。」
「陸上自衛隊各師団配置完了」
「航空自衛隊各航空部隊もいつでも出撃可能です」
「それで良い」
碇はパイプ椅子に座り、その横に冬月が立っている。
「愚かな奴らだ」
「無知なだけだ。と言っても、私が彼ならばもう少しましな事を言うがな」
堂々と暴言を吐けるのはマギのおかげであろう。
そうして時間が流れた。
「彼は間に合うのか?」
「問題ない、葛城1尉を迎えにやらせた。もう直ぐ戻るはずだ」
しかし、彼らは重大な問題を失念していた。迎えに行ったのがどんな人間かと言う事を、
「目標海面に出ます」
日向の声と共に、メインモニターに変形人型の使徒が現れた。
「作戦開始」
「戦車部隊一斉射撃」
「航空編隊対地ミサイル発射開始」
「各護衛艦ミサイル射撃開始」
凄まじい集中攻撃が続いている。
目標を見失った流れ弾が、味方を吹き飛ばし、家屋を吹き飛ばし、沿岸道路を砕き、水面に水柱を上げた。
「目標微速で海岸に侵攻中!」
「目視による限り目標に対する有効なダメージは認められません」
「信じられん」
将軍は心境をそのまま言葉にした。
そして、それは、予めこうなる事を知らされていた筈のネルフ職員の多くの心境とも一致していた。
自分達はこんな人知を超えた信じられない敵を相手にしなければいけないのかと、
「目標に対するダメージ、構成物質の0.001%以下です。」
B級職員はともかく、A級職員は流石である。落ち着いて自分の仕事をしている。
「15年ぶりだな」
冬月が少し遠い目をして、過去の地獄を思い出しながら呟いた。
「ああ、間違いなく使徒だ」
碇は、何を思ったかにやりと笑みを浮かべた。
「間も無く上陸します」
そして使徒が上陸し戦車部隊が踏み潰され爆発していく。
「少々の味方の被害は構わん!撃てぇ!!」
戦車部隊は味方の攻撃も被弾している。
「可哀想にな」
冬月が味方の砲撃を受けて死に行く兵士を思い、呟いた。
使徒は戦車部隊を振り切り国道を第3新東京市に向けて進行を続けた。
「構わん!出し惜しみは無しだ!!!入間も厚木も全部上げろ!!!」
山の斜面が動き、無数のミサイル陣が現れ、いっせいにミサイルを打ち出し、次々に直撃した。
使徒は手から光を槍を出して、VTOL機を貫いた。
「ほう、漸く攻撃をしたな」
冬月は驚いたと言った感じで言った。
「敵としてみたと言うよりは、障害物としてみるようになっただけだ」
「直撃のはずだぞ!!」
「バカな!!」
将軍の一人がペンをへし折った。
「くそっ!何故だ!」
「やはりATフィールドかね」
「ああ、ATフィールドの前にはいかなる攻撃も無意味だ・・・一つ見せてやるか」
「碇、楽しそうだな」
冬月は碇の珍しい雰囲気をからかったが、碇は眉を顰めた。
「目標は我々の支援兵器の射程にいます。支援攻撃をしましょうか?」
将軍達は露骨に嫌そうな顔をした。
もし、ネルフの手を借りて使徒を倒したと言う事になれば、後で、どんなでかい顔をされるか分からない、しかし、このまま続けても勝てるようには思えない。
はっきり言って、どうでも良くないのだが、端の方のサブモニターの一つの隅に青い車が爆走する姿が小さく映っていた。
「・・・うむ、支援攻撃をお願いしよう」
絶対に言いたくなかっただろう、将軍の手はプルプル震えていた。
碇はにやりと笑った。
「日向2尉、列車砲を出せ」
「・・?・・・あ、はい」
日向は一瞬、何を指しているか分からなかったが、直ぐに気付き、返事をした。
そして、サブモニターに映った映像は、将軍達の怒りのボルテージを跳ね上げた。
そこには、先日ネルフが強権で無理やり徴発していった陸上自衛隊の切り札、独12式自走臼砲が映っていた。
しかも、未だUNのマークがつけられたままである。
「独12式自走臼砲発射」
自走臼砲は、誘導火砲を使徒に向けて放った。
誘導火砲は一直線に使徒に向かっていき、そして、使徒の周囲に赤い光が散ると同時に上空に弾かれた。
「「「なにぃ〜〜〜〜!!!!」」」
「ふむ、ATフィールドを目視で確認か」
「ああ」
冬月の言葉に碇が返した。
そして、恐らく同じような映像を見ていたと思われる、総括総体司令部から直通電話が入り、将軍がそれを受けた。
「NN地雷使用準備だ」
・・・
軍隊が使徒から離れた。
「カウント、5、4、3、2、1、0」
使徒は光に包まれた。
「はははは!!どうだね!我々の切り札!NN兵器の破壊力は!」
将軍達は勝ち誇ったような顔をしている。
「現在電波障害のため目標確認できません」
メインモニターは俗称砂嵐の状態になっている。
「あの爆発だ、蹴りはついている」
日向の前のモニターに反応があった。
「爆心地に移動物体確認!!」
「「「なにぃいい〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」」」
「光学、回復します」
画面には使徒がゆっくりと動いている様子が映っていた。
「損傷率は、約2%、殆ど無駄でしたね・・・」
マヤは家を失った犠牲者の事を思い目を潤ませながら言った。
「ばかな・・・・町一つ犠牲にしたんだぞ・・・」
「我々の切り札が・・・」
この前まで奥の手だったのだが
将軍達は脱力した。
再び直通電話が入った。
「・・・・・・・・・碇君・・・」
「はい」
「・・・本部からの通告だ。これより、作戦の全権は君たちネルフに委譲された。しかし、君達ならば勝てるのかね?」
碇は立ち上がって司令塔の将軍達を見た。
「ご心配なく、その為のネルフです」
・・・
将軍達はこれから行われる責任の擦り付け大会に出るためにお帰りになられ、その他の国連軍関係者も帰って行った。
・・・・
「目標、50分で第3新東京市に到達します」
「碇、」
「問題ない、予定通り、初号機を使う」
「しかし、パイロットがいないぞ」
「問題ない、予備が届いた。」
サブモニターにシンジとミサトの姿が映っていた。
(息子を予備呼ばわりか・・・)
碇は発令所を出て行った。
「3年ぶりの対面か・・・こんな形とは・・・残念だな・・・」
・・・
「副司令、現時点で目標に対して有効な攻撃方法はありませんが」
「・・・初号機を出すまでで良い、時間稼ぎは出来るか?」
日向は、リストをチェックした。
「大して足止めにもならないとは思いますが一応、弾幕で包み込めば、視界を遮断できるので、移動速度は落ちると予想されます」
「よし、全兵器を爆発力重視で準備、射程に入り次第、順次攻撃」
「了解」
冬月はリフトで司令塔に上った。
「目標、箱根地方に侵入、国際条約防衛線の内側に侵入しました。」
「総員第1種戦闘配置」
『総員第1種戦闘配置、地対地防衛戦用意、繰り返す、総員第1種戦闘配置、地対地防衛戦用意』
全館放送がかかり、ネルフが決戦に向けて動き出した。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
冬月は司令塔のモニターで、ケージの様子を見ている。
『人の作り出した究極の兵器汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン。そして、これはその初号機。開発は超極秘裏に行われた。』
『これも・・・父の仕事ですか?』
『そうだ』
『久しぶりだな』
『父さん・・・』
『出撃』
冬月は碇の余りの無茶苦茶さに眩暈がしてきた。
『出撃!?でも零号機は未だ、まさか初号機を?でもレイは未だ動かせないし、パイロットがいないわ!』
「碇・・・無茶苦茶過ぎるぞ・・・」
『さっき届いたわ。』
『マジなの。』
『でも、あのレイでさえ、エヴァぁとシンクロするには7ヶ月も掛かったのよ。今、今日来たこの子にはとても無理よ!』
『今は、エヴァと少しでもシンクロ可能と思われる者を乗せるしかないのよ。座っていれば良いわ。それ以上は望みません。』
「・・・赤木博士・・・何を言っている・・・」
『無理だよ!こんな見たことも聞いた事も無い物にいきなり乗れだなんて。』
「彼は記憶を失っているのだ当然だろう・・・」
『説明を受けろ、お前が適任だ』
冬月は眉間を指で押さえた。
「もう少し言い方があるだろうが・・・」
『乗りなさい。』
「所詮は軍人か・・・」
『父さん・・・父さんは、僕がいらなかったんじゃないの!』
『必要だから呼んだまでだ。』
『そんなのって無いよ、折角来たのに・・・』
『乗るなら早くしろ、でなければ、帰れ!』
冬月は頭痛で、コンソールに手をついた。
『何の為にここまで来たの?』
「・・・・我々が呼んだ理由と彼が来た理由は違うのだよ・・・そんな事もわからんのか・・・」
『初号機のパーソナルをレイに書き換えて!』
冬月は頭を抱えた。
『冬月、レイを起こしてくれ』
(きおったか・・・)
「・・使えるかね?」
『逃げちゃ駄目よ、お父さんから・・・そして、何よりも自分から』
『かまわん、死んでいるわけではない。』
「・・・そうか・・・」
冬月は回線を繋いだ。
「ファーストチルドレンを大至急ケージに回してくれ」
冬月はもう見たくないので回線を切った。
「伊吹2尉」
「はい」
「初号機の搭乗が始まったら教えてくれ」
「はい」
冬月はパイプ椅子に座った。
「常識足らずの人間といると疲れる」
・・・・
・・・・
・・・・
そして、シンジは初号機搭乗を承諾、初号機は出撃後、直ぐにピンチに陥った。
メインスクリーンに映る初号機は使徒に目を貫かれ血を吹き出していた。
「頭部破損!被害不明!」
「制御神経断線!」
「シンクログラフ反転!」
「パルスが逆流します!!」
「せき止めて!」
「駄目です!命令を受け付けません!」
「又、又なの」
リツコが恐怖に震えていた。
「パイロット生死不明!一切モニターできません!」
「初号機完全に沈黙!」
発令所に悲壮感が流れた。
初号機の目が光った。
そして顎部拘束具を破壊して雄叫びを上げた。
「初号機・・・再起動」
「そんなバカな!」
「暴走・・・」
「・・・勝ったな」
冬月が抑揚を押さえて呟いた。
「ああ」
初号機は雄叫びを上げながら使徒に攻撃を開始した。
数発の打撃攻撃で使徒は宙に舞い、ビルをなぎ倒した。
初号機は跳躍し、使徒に飛び蹴りを食らわせようとしたが、赤い光の壁、ATフィールドに阻まれた。
「ATフィールド・・・・」
「ATフィールドがあるかぎり使徒には有効な攻撃を加えられない」
初号機の左腕部が復元した。
「初号機、左腕部復元」
「嘘でしょ!」
「初号機もATフィールドを展開!位相空間を中和していきます」
「いえ、侵食しているのよ」
リツコはマヤの報告を訂正した。
そして、使徒のATフィールドは破られた。
その瞬間、初号機はビームで弾かれ吹っ飛んだ。かに見たが、初号機は無傷だった。
初号機は一気に間合いを詰め、使徒の手足を砕いた。
そして、初号機は使徒のコアに対して執拗な打撃攻撃を加え始めた。
使徒のコアに罅が入り始めた。
使徒が突然形を変え、初号機の頭部に取り付いた。
「まさか自爆!!」
ミサトが叫んだ。
そして使徒は自爆し第3新東京市にエネルギーの十字架が現れた。
しかし、初号機は顕在していた。
オペレーター達は余りのエヴァの強さに恐怖を感じた。
「・・・全てはシナリオ通り・・・誤差修正範囲内か」
「その通りだ」


7月2日(木曜日)、国際連合、人類補完委員会、
通信会議で行われる国際連合の実質的最高決定機関である。
議長は、ドイツのキールローレンツ、他議員はアメリカ、フランス、イギリス、ロシアの代表である。そして準議員として日本の碇が出席している。
「碇君、ネルフとエヴァもう少し上手く使えんのかね」
「零号機に引き続き君らが初陣で壊した初号機の修理代に兵装ビルの補修・・・国が一つ傾くよ」
「ま、我々の先行投資が無駄にはならなかったとも言えるがね」
「玩具に金を注ぎ込むのもいいが肝心な事を忘れちゃ困る」
「君の仕事はそれだけではないだろう」
「左様、人類補完計画、我々にとってこの計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ」
「承知しております」
「明らかになってしまった使徒とエヴァの存在、どうするつもりかね」
「その件に関してはお任せを、既に対処済みです」
「いずれにせよ、使徒再来による計画の遅延は認められない、予算に関しては一考しよう」
「はい」
「では、後は委員会の仕事だ」
4人の委員が消えた。
「碇、期待しておるぞ」
キールの姿が消えた。
「分かっておりますとも、全てはゼーレのシナリオ通りに」
碇はにやりと口元を歪ませた。

あとがき
冬月、良い人しています。
本当に名前だけだけどオリジナルキャラ、碧南ルイ、モデルは、発令車にも乗り込むカスパーのサブオペレーターです。
あと、竹下喜一、日本国内閣総理大臣です。非常に長い期間総理を務めます。ある意味重要なキャラです。

次回予告
病院で目覚めるシンジ、作られた真実、事実が公表される。お互いに気になる二人のすれ違う間の僅かな再会、感情に流され、自らが生活能力欠如者であることを忘れシンジを引き取るミサト。
語られる失われた記憶を埋める記録、そして、驚愕の事実・・・・碇シンジの現実的な生存の為の戦場がそこにあった。
入浴中の謎のフラッシュバック、動き始めた東京帝国グループ、まだ、戦いは始まったばかりだった。
次回 第参話 新たな同居人