背徳

◆第零話

サードインパクト発生中、
「レイ!待ってくれ!」
「駄目、碇君が呼んでいる」
レイは宙に舞い上がった。


全ての人間が変化したLCLが集結している。
LCLの海を漂っている。
「碇君、貴方は何を望むの?」


そして、破局を迎えた。


海岸に、シンジとアスカが横たわっている。
ATフィールドに守られたこの2人以外の人は全て消滅した。
レイは涙を流した。
「・・・ごめんなさい・・・」
シンジとアスカが起き上がった。
「・・・綾波・・・・世界は、どうなったの?」
「・・破滅を迎えた・・・・二つのサードインパクトの発生・・・・・世界はそれに耐えきれなかった・・・」
「これからどうなんのよ」
「・・・・・サードインパクトをキャンセルする・・・・」
レイはシンジに近付き、口づけをした。
「ファースト!!」
シンジは真っ赤になった。
レイは涙を流し、シンジから離れた。
「・・・・・・・碇君・・・・・・」
2人はレイがしようとしていることに気付いた。
「綾波!!!!」
シンジはレイを追い赤い海に走り込んだ。
腰まで水中に入った。
「ぐ」
シンジの行く手をATフィールドが阻んだ。
「綾波!!!駄目だ!!!」
「ファースト!!」
ATフィールドを激しく叩き、シンジの拳は血で滲んだ。
「・・・・・さよなら・・・・・・・」
レイは12枚の翼を広げた。
「綾波ぃ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!」
翼から無数の小さな羽が放たれた。
レイの姿が薄れ、ATフィールドが消え、レイの姿が完全に消え去った。
そして、世界が光に包まれた。


ネルフ中央病院303病室、
アスカはベッドの上で、目を覚ました。
アスカの手には、一枚の蒼白く輝く羽が握られていた。
「・・・・・・ファースト・・・・」

ネルフ本部、通路、
シンジは蹲っていた。
手には、真紅に輝く小さな珠が握られていた。
「・・・・綾波・・・・・」

ネルフ本部、第2発令所、
オペレーター達は目を覚ました。
「・・・いったいどうなったんだ?」
マヤは素早くマギに現状を報告させた。
冬月が司令塔で起きあがった。
「事態の把握を急げ」
「「「はい!!」」」
(サードインパクト・・・・・起こらなかったのか?いや・・・・キャンセルされたのか・・・)


ターミナルドグマ、
碇は、起き上がった。
「・・・・・・何故、生きている?」
LCLには、リツコの射殺体が浮かんでいる。
「補完計画はどうなったのだ?」
足音が近付いてきた。
「誰だ?」
シンジがヘブンズドアを越えて最深層に入ってきた。
「・・・・シンジか・・・」
シンジの碇を睨む視線には凄まじい殺気が篭もっている。
「ぐ」
碇は脂汗を滝のように流し後ずさりした。
「・・・・・死ね・・・・」
シンジはATフィールドで槍を作り出した。
ロンギヌスの槍を真似ている。
碇はあまりの恐怖にがたがた震えている。
シンジは碇の胸に槍を突き刺した。
「ぐああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
碇の断末魔がターミナルドグマに響きわたった。
シンジは碇が絶命した後、リツコの死体を見た。


発令所、
「マギは、レイがサードインパクトをキャンセルした可能性を68.5%としています」
「そうか・・・・」
「伊吹君、」
「はい」
「これを」
冬月は自分のバッヂとIDカードをマヤに投げ渡した。
「伊吹1尉、副司令代行を命ずる」
「は?」
マヤは、バッヂとIDカードを手に持ったまま硬直している。
冬月は発令所を出ていった。


総司令執務室、
冬月は椅子に座って待っていた。
扉が開きシンジが現れた。
「やはり来たか」
「副司令、貴方にも死んでもらいます」
「まあ、まちたまえ、私まで殺しては、ゼーレを倒す手がかりが無くなる。」
「では、今、全てを言ってもらいましょうか」
シンジは槍を冬月に向けた。
「そのつもりだ」
「東京帝国グループ総会長、皇耕一、彼を味方に付ければ良い。私が言いたいのはそれだけだ・・・それで良い筈だ」
「さよなら」
冬月の胸は槍に貫かれた。