背徳 逆行未来編

◆第6話

学校からの帰り、ミクは安齋、佐々木、安藤の3人と共にゲームセンターに立ち寄った。
「ふ〜ん、3人もこんなとこ来るんだ〜」
「意外?」
安齋の問いに軽く首を振る。
「ううん、そう言う意味じゃないの・・ミクも前住んでたとこでは時々来ていたし、」
「結構こう言うのストレス解消に良いんだよな、」
「そうそう」
「うん、遊ぼう♪」
・・・・
・・・・
今、ミクはクレーンゲームと睨めっこしている。
「どうした?」
「ん〜、あのペンギンの縫いぐるみ欲しいんだけど、ちょっと難しいかなぁ〜」
「ん、どれどれ」
そのペンギンの縫いぐるみは、縫いぐるみの中に埋もれている
「そうだなぁ・・・」
佐々木はノートパソコンを取り出して、データを入力して行った。
「う〜む、何とかなるな」
佐々木は100円を2枚投入して、クレーンを動かして、正確に狙った場所で止めた。
「あっ、成るほど、そう言う手があったか」
ミクはその位置で佐々木の狙っている事に気付いた様だ。
クレーンは縫いぐるみの中におりていって、何とペンギンを含む3体纏めて吊り上げた。


ネルフ本部、碇特別研究室、
「う〜ん」
ユイはボールペンをおでこに当ててなにやら考えていた。
新型の兵器の製造過程で、材料の強度不足が問題になっているのがいくつかあった。
「材料工学の発展を待っているわけにも行かないし・・・困ったわね・・・」
・・・・・
・・・・・
結局答えは出なかった。
「あら、こんな時間、帰って夕食作らなくちゃ」
ユイは帰る用意をすることにした。


夜、ユイのマンション、ミクの部屋、
ミクは明日行われる試験に備えて準備をしていた。
「う〜ん・・ここはこうだけど・・・」
どうも良く分からない問題がある。
「・・・佐々木に聞くかな?」
ミクはメールを作って佐々木に送った。
そして、メールが帰ってくるまで別の問題をすることにした。


翌朝、東京、ユイのマンション、
ミクはユイの作った朝食を一緒に食べていた。
今日はトーストにベーコンエッグ、サラダ、コーンスープである。
『昨夜の教会襲撃事件での死亡者・行方不明者は167人で、内124名の死亡が確認されました。』
「何なのかな・・」
「カトリックに敵対する宗教の過激派の仕業かしら?」
ユイにも情報は伝わっていない。
『公安当局は・・』
(・・・ゼーレかしら?)
しかし、推測はついているようだ。


東京中学Aコース、選抜クラス
「佐々木君、昨日メール見た?」
「いや、すまん。見たのは朝だった。未だ解決してないなら教えるけど」
「お願い」
佐々木はノートを開いてミクにその問題の説明をはじめて暫くして安齋と安藤がそろって登校して来た。
「「おはよう」」
「お、おはよう」
「おはよう」
「ん?この問題?ああ、私も分からなかったんだ。」
「その問題は、確かにちょっと厄介だけど、気づけばそんなに難しくないわよ」
「その通り、で、それなんだが、」
佐々木は紙にシャーペンを走らせた。
「なるほど、そうすれば良かったのね」
「これは一本とられちゃったかな?」
「そうだな・・・で、安齋、ちょっとここの訳聞きたいんだけどいいか?」
「ええ、」


そして試験も最後の時限になった。
(これができたら終わりか、)
最後のテストの問題を次々に解いていく。
「ん?」
何か嫌な予感がする。
そして、その予感があたったのか携帯が鳴った。
皆がいっせいに表情を緊張させる。
ミクは教師に一言言って直ぐに屋上に向かった。
エレベーターで最上階まで上がり、そこから階段で屋上に出るとすでにネルフのヘリが待っていた。
「早く乗ってください!」
ミクはヘリに飛び乗りそれと同時にヘリは離陸した。


ネルフ本部、発令所、
メインモニターには外面から大きな甲羅のようなものが出ているのが映し出されている。
その他のものから得られる情報も統合すると、巨大な亀のようである。
ただ、その大きさが体長200メートルを優に超えている。
「あの大きさで甲羅・・・梃子摺りそうね・・」
『衛島に誘導し、戦線を展開します。』
「ええ、」
各航空基地から航空機が次々に離陸し使徒に向かう。
ユイはモニターをじっと見詰めた。
・・・
・・・
・・・
『誘導開始』
航空機から次々に攻撃が仕掛けられる。
ミサイルや機銃はATフィールドによって遮断される。
更に可視レーザーを加える。
ATフィールドで弱められるものの通過し、表皮を焼く。
そこで初めて使徒は航空機を標的と認め、首を海面から出し口を開いて火の玉を撃ち出して来た。
避けきれなかった航空機が爆発する。
航空機は衛島に向かい、使徒はそれに続いて追いかけてくる。
『引き付けられました。衛島到着まで1800』
『各機付属空港を離陸、衛島到着まで600』
『部隊展開完了まで1500』
『衛島防衛施設展開完了まで1200』


ウィングキャリアー、
『基本的にはATフィールドを中和した上での波状攻撃だ。』
ミクは頷いた。
横には01と02をそれぞれ搭載したウィングキャリアーが飛んでいる。
モニターに目を戻し、現在わかっている敵の情報を見る。


やがて、衛島に到着し、防衛施設、各部隊も展開が完了した。
初号機は新型ソニックグレイブ、01はスナイパーライフル、02はエヴァ用のロケットランチャーを持って待ち構える。
『目標視界に入ります』
航空機の編隊とそれを追いかけてくる使徒が視界に入った。
『攻撃開始!』
部隊や防衛施設から次々に攻撃が仕掛けられ航空機が散る。
使徒はそのまま一直線に衛島、エヴァに向かってくる。
『目標到達まで60』
「よし・・」
訓練のパターンの一つと似たパターンである。
攻撃を受けながら一直線に向かってくる。
使徒は大きく水面から飛び出し、口を開いて炎の塊を吐き出してきた。
3機はその場を飛び離れて交わす01はスナイパーライフルから新型ソニックグレイブに、02はロケットランチャーからプログランス持ち変える。
ATフィールド中和距離に入り、攻撃が次々に突き刺さる。
しかしその巨体と固いであろう甲羅のせいなのか、たいしたダメージが見受けられないまま轟音を上げて衛島に着地した。
3機はほぼ同時に襲い掛かった。
「え〜〜い!!!」
全力で新型ソニックグレイブを振り下ろしたが、甲羅に弾かれた。
直ぐにその場を離れる。
「ものすごく固い・・」
『手や足を狙うんだ』
日向の支持に頷き、目標を手に変える。
そして手に向けて切りかかった瞬間、手が甲羅の中に引っ込んで、甲羅を強打しただけに終わった。
「くっ」
「え?」
そして引っ込んだその穴から眩いばかりの光が現れた。
「きゃああ!!!」
初号機は吹っ飛ばされた。
「つぅ・・」
直ぐに体勢を起こす。
『ダメージ自体はたいしたこと無いけれど、気をつけて』
マヤの声に頷く、
01と02の方も一旦距離を取ったようだ。
使徒は頭を初号機の方に向けてきた。
口を開き炎の塊を打ち出してくる。
初号機は横へ飛んで交わす。
無数の攻撃が仕掛けられるが、直ぐに首を引っ込める。
「くっ」
『ソニックグレイブを穴に直接ぶち込んでみてくれるかな』
再び頭を出してきて、炎の塊を吐き出してくる。
跳躍して炎を交わし一気に間合いを詰める。
「ええ〜い!!」
新型ソニックグレイブで攻撃を仕掛けると直ぐに頭を引っ込めた。
初号機はそのまま更に踏み込んで穴をつく、
肉に突き刺さった感触がある。
直ぐにその場を離れる。
瞬間先ほどと同じ光が放たれ、後方にいた支援兵器が吹っ飛び爆発を起こした。
再び頭が現れると目と目の間辺りに傷ができて青い血が流れていた。
「よし」
『危ない!』
「え?」
01が空中をこちらに向けて飛んでくる。
「とっ!」
初号機は、01を受け止め地面に下ろした。
「大丈夫?」
『あ、大丈夫よ、ありがとねん』
ミサは大丈夫のようだ。
『避けろ!』
『「え?」』
02が飛んでくる。
『『「きゃあ!!」』』
3機は折り重なるように倒れた。
『逃げろ!!!』
『『「え?」』』
使徒がその巨体で飛び掛ってきた。
『『「わああ!!」』』
3機は必死で這ってその場を逃げる。
轟音を上げて使徒が着地した。
それぞれ這って更に距離を取る。
「あ、危なかった・・・」
初号機は起き上がり近くから射出された新型ソニックグレイブを新たに取った。
「よし」
支援兵器が次々に攻撃をかけているが、大きく利くという事は無い。
『目標が口を開いときに、これを一気に突き刺せば』
01はプログランスを手にとっている。
『なるほど、』
ミサの案に日向は頷く。
『じゃあ、私がひきつけるわね』
『お願いするわね』
02が使徒に向かっていく、
「私も」
初号機は一気に間合いを縮めて手に斬りかかる。
直ぐに引っ込めるがそのままソニックグレイブで穴を突き、その場を飛び退く、
その直後に光がはなたれる。
首が初号機の方を向き、02が尻尾に吹っ飛ばされる。
そして、口を開いた瞬間、甲羅の上から01が飛び降りてきて直ぐにそのままプログランスを口の中へと突き立てた。
どんどん体の中へと入っていく、
そして、殆ど入った時、辺りが光に包まれ、使徒が大爆発を起こした。


ミクは、ベッドの上で目を覚ました。
「・・ここは?」
「気が付いたようだね」
傍にいた医師が口を開いた。
「あ、はい」
「痛むところや違和感があるところはあるかな?」
「ん?」
ミクは軽く体を動かしてみる。
特にそう言った場所は無い。
「特に、ありません。」
「そうか、それは良かった。特に異常は無いようだからいつでも退院できるよ。まあ、今日はこのまま泊まっていくことをすすめるけれどね」
「あ、はい、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げる。


衛島の上空を飛んでいる大型VTOL機の窓から日向が衛島を見下ろしていた。
破損したパーツが取り替えられている。
それと平行して、砕け散った使徒の甲羅の破片などを回収しているのが目に映る。
「メガフロートはパーツの組み合わせだからこう言ったところは楽だな」
「そうですね」
職員が返す。
VTOL機は高度を下げ衛島に着陸する。
日向たちはVTOL機を降りて衛島に降り立った。
碧南が近づいてくる。
「御苦労様です」
「分析はどうですか?」
「そうですね、甲羅はかなりの強度の物質でできていました。詳しくは未だですが、」
「そうですか」
「ええ、サンプルをご覧になりますか?」
「ええ」
二人はプレハブ小屋の中に入った。
小屋の中では3人ほどの職員がサンプルを調べていた。
「これです。」
碧南は甲羅の欠片を日向に渡した。
日向は手にとって色々と見てみる。
黒っぽい破片で断面は鋭い、かなり固そうである。
「ふむ・・・ずいぶん固そうですね。」
「本格的な分析調査は、東京帝国グループの中央技術研究所の方でして貰います。ここで行うのはまあ、簡易的なものでしかありませんが、」
日向はしげしげと破片を見つめた。


ネルフ本部、碇特別研究室、
ユイはサンプルを調べていた。
「・・この強度、使えるわね」
ユイは中央技術研究所に回線を繋いだ。
『はい、なんでしょうか?』
「今回の使徒の甲羅のサンプルなんですけど、これを加工、或いはこれと似たようなものを作ることは可能でしょうか?」
『詳しくは研究してみないとわかりませんが、おそらく単純な加工だけならそう難しいものではないと思います。』
「では、早速加工をお願いしたいんですが、」
『分かりました。サンプルは破片があれば問題ないですからね、で具体的にはどのような加工を?』
「設計図を送らせます」
『はい、お待ちしています。』
「では、また後ほど」
『はい、では又』
ユイは回線を切って、技術部につなぎ、設計図を中央技術研究所に送るように指示した。


マヤが本部のケージを歩いていた。
大破した01が修復を受けている。
「さて・・・03を使うか否か・・・」
マヤは顎に手をあてて少し考えた。
01の修復には時間が掛かる。
かと言って、03にコア移すにも時間は掛かるし、様々な調整をしなければならない。
「・・・どちらがいいかしら?」
「・・・このまま01を使った方が無難ね。」
マヤは呟いた後その場を離れた。

あとがき
さて、シンジの抜けた影響も収まってきて、本編に近付きつつあった訳ですが、
今後、明らかな差が現れてきそうですね。
それでは、又