立場の違い

最終話

◆終末

発令所に突然警報が鳴り響いた。
「何事!!??」
「リッちゃん、これを!」
ナオコの目の前のモニターは、世界中のマギからオリジナルのマギシステムがハッキングを受けていることを示していた。
「だめです!持ちません」
「こら!ここに入いっちゃいかん!」
飛龍3姉妹が警備員を無視して発令所に入って来た。
「私が許可する。3人とも頼むぞ」
「「「はい」」」
3人は微笑みそれぞれマギの傍に寄った。
3人は目を閉じた。
《MAGI−0》
「「「「え!!」」」」
「マギ完全にマギ0の制圧下におかれました」
「ぜ、全マギシステムに対して逆ハックを仕掛けています!」
「中国のマギ8制圧完了!」
「アメリカのマギ3制圧完了!」
「ロシアのマギ5制圧完了!」
次々に世界中のマギを制圧下に置いている。
「信じられない・・・」
「あの3人がマギ0?」
『マギシステム全て制圧下に置きました』
「特別非常事態宣言発令、住民を直ちに避難させろ」
『特別非常事態宣言を発令しました。住民の避難は21分で完了します』
「司令!何が起こっているんですか!?」
「委員会は、我々ネルフを直接占拠するつもりだ。」
「エヴァ、弐号機発進準備にかかれ」
「はい」
レイがシンジの横に来ていた。
「レイ、後は頼んだよ、それと、万が一の場合・・・」
レイはゆっくりと頷いた。


第3新東京市郊外の森の中を特殊部隊が行進していた。
『30分後に突撃だ』
「了解」


駿河湾に浮かぶ海上自衛隊の艦船が攻撃準備に入っていた。
「まさか、ネルフがサードインパクトを起こそうとしていたとは・・・やり切れんな」
「ええ」
「だが・・・・あの、ネルフに我々だけで勝てるのか?」
「第1段はマギのハッキングで支援兵器を全て封じ込める作戦です。」
「うむ」
「しかし、例え、それが失敗したとしても、我々は、世界の平和を守る為、正義の名の元にネルフと戦わねばなりません。」
「分かっている。もはや、後には引けぬ戦いだ」


ネルフ本部、発令所、
「現時刻を持って、私が司令代行を務めます」
「「「「「「「「ええ!!!」」」」」」」
レイの言葉に発令所中が慌てた。
「敵戦力は?」
「説明したまえ」
冬月が言葉を添える事で、レイが司令代行として認められたことを示した。
「あ、はい、3自衛隊のほぼ全勢力です・・」
「本部制圧も時間の問題ね」
「弐号機はどうだ?」
「既にパイロットは搭乗しています。初号機も出せますが?」
「必要ありません。渚カヲル、彼を零号機に乗せなさい、囮くらいにはなります」
「レ、レイ?」
「使徒と意思が通じる少年です。エヴァにも乗れるはずです。リツコ博士、彼に説明を」
「は、はい」
リツコは駆け出して行った。


そして、突然、攻撃が始まった。
「ミサイル群を確認!」
「レーダーサイト次々に破壊されています!!」
「光学サイトも次々に沈黙しています!!」
発令所内に悲鳴が木霊している。
「始まったわ」
「うむ・・・だが、早過ぎんか?」
「・・・大丈夫、この程度なら、」
「シンジ君は何をするつもりだ?・・・まさか!?」
「いえ、それは、封じ手。未だ早過ぎるわ」


第2新東京市、首相官邸の第1執務室に閣僚が集結していた。
「・・・のように、ネルフと国際連合、双方から全く異なった報告書が届いている。」
「現状では、自衛隊が圧倒的に押している。」
「しかし、優勢な方につけば良いと言う問題ではない」
「総理はどうお考えで?」
竹下は、席を立った。
「君達は、私について来てくれるか?」
勿論だと口々に答えた。半分は自分は責任を取りたくないと言う事もある。
「戦略自衛隊の全部隊に緊急通告、ネルフを攻撃している自衛隊及び、それを支援するものを徹底的に掃討せよ」


ネルフ本部、
「零号機、シンクロ率31.24%行けます」
「まだ待ちなさい」
「え?」
「戦略自衛隊に任せます」
「へ?」


90式戦車改と、12式高機動戦車が戦闘を始めた。
空では、F−15J戦闘機と、F−2013ステルス戦闘攻撃機が戦闘をしている。
圧倒的先端技術が積み込まれている戦略自衛隊に対し、総動員した自衛隊は数で遥かに凌駕していたため、若干自衛隊の方が有利だった。
その時、戦略自衛隊の秘密兵器の巨大ロボットが戦場に突撃してきた。
バルカン砲が火を吹き劣化ウラン弾の嵐を喰らい次々に戦車隊が破壊されていく。
同じロボットが、駿河湾でロケット弾の発射を続けている艦隊に攻撃をかけた。
そして、各地の航空基地を飛び立った航空機が時間差で次々に戦場に到達し攻撃に加わった。


第2新東京市、防衛省、
戦略マップ上で次々に自衛隊の部隊が消えていく。
「勝ったな」
「ええ」
「総理、御安心下さい勝利は目前です。」


人類補完委員会、
「やはり、毒をもって征するしかないか」


高空、
11機のウィングキャリアーが飛行している。


本部、発令所、
「本部直上にウィングキャリアー11機確認!!」
「エヴァ両機を射出口へ、両機は射出口で待機」
「エヴァ初号機がエントリーを開始しています!!」
「初号機パイロットは?」
「パイロット控え室です!確認しました!」
「初号機のシンクロ率は・・・」
「どうし」
ナオコも言葉を失った。
《100.00%》
「エヴァ初号機発進準備」
レイが命令を下した。
「は、はい」
「まさか彼が乗っているのか?」
レイは冬月の問いに微妙な笑みを浮かべ頷いた。
「初号機との回線開けません!」
「エヴァ11機確認!」
メインモニターにエヴァが映った。
爬虫類と鳥類を混ぜたようなエヴァである。
「アンビリカルケーブルが無い・・・」
「初号機が大変です!!!」
「どうしたの!?」
「SS機関が」
「「「「なにぃ!!」」」」
冬月も驚いてレイを見たが、レイは悪戯っ子のように微笑んでいた。
『初号機射出口に移動しました。初号機のアンビリカルケーブルは外しておきました』
「エヴァ3機発進」
レイの命令と同時にマギ0が発進させた。


地上に射出された。


弐号機、
「エヴァ・・・と言うより、使徒にしか見えないわね」


零号機、
「何故僕はここにいるんだろうか・・・」


初号機、
シンジは回線を開いた。
「アスカ、量産機は、SS機関を搭載している。」
『シンジ!あんた乗れなかったんじゃないの!?』
「敵を欺くには先ず味方からってね」
「量産機は、コアを破壊しない限り止らない、気をつけて」
『分かったわ!』
最後の戦いが始まった。
量産機が舞い降りた。
「母さん行くよ」
初号機は、ATフィールドの槍を作り出した。
量産機が初号機に向かって来た。
「はあああ!!」
初号機は量産機のコアを正確に貫いた。
零号機は恐怖からか闇雲にライフルを撃っている。
勿論、当たらずに市街に被害を出している。
直ぐにレイが判断して外部操作でライフルのトリガーをロックして発射できなくした。
弐号機はプログソードで量産機と戦っている。
零号機が量産機に包まれた。
「とうっ」
初号機はATフィールドの槍を量産機に投げた。
槍は1体のコアと3体を串刺しにした。
「アスカ!」
『任せなさい!』
弐号機はプログソードで串刺しになっている量産機のコアを切り裂いた。
初号機は空に跳び上がり、それを追って量産機3機も羽を広げ飛び上がった。
初号機はATフィールドの剣で量産機を切り裂いた。
弐号機が量産機を一刀両断にした。
『万が一は無かったわね』
「うん」
発令所にレイに対してシンジは笑みを浮かべた。
『後、3体よ!』
着地と同時に初号機がATフィールドの槍を作り出して投げ3体を地面に固定した。
弐号機が連続してコアを切り裂いた。
僅か3分足らずの戦いであった。


数時間後、ネルフ本部副司令執務室、
「六分儀、全ては終わった」
「・・そうですか」
「これから行われる勝利祝賀会には出ないのか?」
「・・ええ、ああ言うのは苦手で」
「そうか、まあ、葛城3佐が中心になって騒ぐだけだ。私も挨拶だけしたら戻ってくるつもりだ。二人で飲むか?」
「ええ、そうしましょう」


総司令執務室、
シンジ、レイ、飛龍3姉妹が、今後の事に関して話をしていた。
日本政府が随分上手くやってくれたようで、かなり楽に進みそうだ。
内務省の力は凄いものがありそうだ。
「さて、もう良いよ、あれは明後日行うから・・皆パーティーに出て来たら?」
「ん〜、じゃあ、私、ケンスケ君のとこに行ってきます」
レミは駆け出して行った。
「レミに変装して、相田と大喧嘩してやろうか」
「何がケンスケ君よぉ!悪趣味ここに極まるよ!」
・・・・
・・・・
「レイは?」
レイはシンジの腕に体を預けた。
「私はシンジ君といっしょにいるの」
「そう・・そうだね」
シンジは優しくレイを抱き寄せた。


職員食堂、
ネルフの宴会部長、葛城ミサトが中心になって行われている勝利祝賀会、
大量のアルコールが投入され、既に泥沼化して来ていた。
「うら〜〜!タブリスどこやったのよ〜〜!」
完全に酔っ払っているアスカがカヲルを締め上げていた。
「ほえ〜〜、ぽくはどこ〜、ここはどれあ〜〜?」
こっちもかなり来ているようだ。
「この私がねぇ、汗水垂らして」
ナオコは一般職員を捕まえて説教をしている。
「せんぱ〜い、シンジ君可愛いんです〜」
マヤはなぜか置いてあった蛙のマスコット人形に抱き付きすりすりしている。
「ふっ、この私にかかれば・・・・マヤ研究よ」
リツコは完全に酔いつぶれて寝言を言っている。
「うう・・・」
加持はふらふらして今にも倒れそうである。
この皆が浮かれている隙にと狙ったのだが、ミサトに無理やり飲まされ不可能になった。
「葛城さ〜ん」
「マヤちゃ〜ん」
日向と青葉はお互いに抱き合っている。
「ふっ、この程度で酔っ払っちゃうなんて皆酒に弱いわね〜、おっ、酒樽発見」
現在平気なのは、只一人だけである。


量産型エヴァの処理は、日本政府に任された。


国連総会で、国連軍である自衛隊を攻撃した日本を糾弾したかったが、世界にあるエヴァを全て保有する日本に何もいえなかった。
理由は、シンジが日本の内閣総理大臣の横の席に座っていたからだ。
「今、世界の脅威となるエヴァは国連の所有とすべきだ」
「その国連のエヴァが我々ネルフと日本国を襲撃したのですよ」
「ぐ」
「安全保障理事会、理事長である。わが日本国の許可無く自衛隊を動かし、あまつさえ、わが国の施設に攻撃を仕掛け、多くの命を奪うとは何事か」
「正当防衛というものですよ、戦略自衛隊は日本国に脅威を齎すものの掃討ですから」
「ネルフも同様ですよ」
総会はたった2人によって、操られていた。


翌日、ケージ、初号機の周りに様々機器が運ばれて来た。
エントリープラグのかわりにカプセルが入れられた。
『MAGI−0、全処理機能全開、』
『エントリー開始、パルス暴走開始』
『直結完了』
『成功です』
「やったぁ!」
シンジは無邪気に喜びの声を上げた。
「戻ってくるの・・・」
ナオコが初号機から運び出されたカプセルを見詰めながら言った。


昼過ぎ、ネルフ中央病院、特別室、
爽やかな風と光が入ってくる部屋でシンジとレイは母、ユイの目覚めを待っていた。
時が止まっているように見える。
そして、時が動き出した。
ユイが目を開けたのである。
「母さん!」
「お母さん!」
二人がユイに駆け寄った。
「・・・シンジにレイ・・・大きくなったのね」
ユイは二人を抱きしめた。
親子3人は遂に再会を果たした。


ネルフ本部ジオフロントゲート、
荷物を詰めたバッグを持って六分儀が歩いて来た。
「世話になった」
六分儀はリツコとミサトに頭を下げた。
そして、六分儀はゲートを出ようとした。
「どこへ行くつもりですか?」
綺麗な声が響いた。
聞き覚えのある声に六分儀は振り向いた。
白衣を着たユイの横に第3新東京市立第壱中学校の制服を着たレイとシンジが立っている。
「貴方は、この子達の父親なんですよ」
「・・ユイ・・・」
「僕は認めないけど、母さんの望みだ、仕方ない」
シンジは横を向いて顔を少し赤くしながら言った。
「お帰りなさい」
「・・・・ただいま」
ゲンドウは涙を零した。

あとがき
YUKI「さてさて、ここに立場の違いに登場しているキャラを持ってくると
     何言われるか分からないので、皇一家に登場して頂きましょう」
耕一 「うむ・・・最後が萎み過ぎだな」
ルシア「そんな事は、大した実力も無いYUKIさんに期待する方が間違っているんですよ」
YUKI「はう」
レイラ「お、お母さん・・・」
ルシア「?、どうかしたの?」
皇レイラ「気付いてない・・」(汗)
耕一 「しかし、謎が残り過ぎだ。全然分からなかったではないか」
YUKI「それに関しちゃ否定しません」
耕一 「封じ手ってなんだ?ゼーレと委員会の関係が良く分からんが、原作通りで良いのか?
    カヲルとアスカの行方は?ネルフに疑惑を抱いたミサトはどうなった?他にもあるぞ」
YUKI「ま、まあ」(汗)
レイラ「一応共通設定に準拠、封じ手などは推測に任せると言ったところですか?」
YUKI「はい」
皇レイラ「渚くんってナルシストなのかな?」
ルシア「多分そうね」
耕一 「で、今後の予定は?」
YUKI「逆行編を進めようかと、まあ、途中に女神の章を一つ」
耕一 「ギルド誤用はどうなった?」
YUKI「・・・、公開する前から恥を晒さなくても・・・修正するのが大変なので
     下手な言い訳だけで、放置しました」m(__)m
耕一 「怠慢だな」
皇レイラ「まあまあ、そんなに苛めちゃ可哀想だよ」
ルシア「私の少女時代の話、ちゃんと書いてくださいね」
レイラ「お祖母さんの話もあるんじゃなかったっけ?」
YUKI「まあ、この話は置いておいて」
耕一 「立場の違いの続編か修正版はあるのか?」
YUKI「未定です。連載数が多過ぎて見通しが立ちません」(汗)
ルシア「自業自得ですけど、頑張ってください」
YUKI「は、ははは・・・このメンバーも失敗だったかな?」