スキミング
「ガソリンスタンドなんかじゃ絶対にカードは使えない」
「インターネット通販でカードを使用するなんて論外」
等々、スキミング(様々な方法でもってカード番号を盗みだすこと。そのあとは当然番号を利用して所有者本人になりすまし買い物(換金性の高い金券・高級家電等が多い)されてしまう)を警戒している方の中には極度に警戒されている方がいらっしゃるようです。
もうすごいのになると
「この手の店でカードを使うなんてどうかしてる」
「そもそもカードを持つこと自体がど(略)」
ぐらいまでおっしゃる方も。
では本当にそこまで危険視しなければならない物なのでしょうか?
被害にあった場合
万一、運悪く身に覚えのない請求が来てしまった場合、最近少し話題になり始めた銀行のキャッシュカードの被害とは異なり、クレジットカードの場合暗証番号の漏洩による被害といった重大な過失がない限り全額保証されます。
この犯罪自体はずいぶんと昔からあったものでもありますから、火災保険で
「あ、ここにまだ(真っ黒にすすけた)柱が立っていますから全焼ではありませんね」
といった有名な都市伝説(と言いがたいぐらい払いしぶりがあったとかなかったとか)のような事態もなく、わりとすんなり(ありがちなパターンとしては国外に旅行していないのに東南アジアのショッピングモールで買い物したことになっていたとか会社で仕事している時間帯に店(それも他県の)で買い物したことになったとか。)と請求前ならキャンセル、引き落とし後なら翌月には返金となります。
とはいえ、やらなくてもよい手続き(被害届を出してくださいとなったりならなかったり。書類を書いてくださいとなったりならなかったり)をしなければならない可能性はあります。
ソレが面倒だからやっぱり
「あぁいう店で(略)」
となってしまうのでしょうか?
比較しましょ、そうしましょ
ではその面倒な事態が一体どれくらいの割合で発生してしまうのでしょうか?
「日本クレジット産業協会」の統計によりますと、クレジットカード発行枚数(実数)は平成15年の段階で2億6000万枚です。平成17年にはもっと増えていると見て良いでしょう。
同じく統計から平成16年の被害総額は190億円。(いっそ平成15年で統一したい気もするが、ここ数年各クレジットカード会社はスキミング対策に力を入れており一年で激減しているため少しでも実勢に近い統計を利用したかったためあえて16年のデータを使用する)
これだけ見るとすごい気がしますが、一回の被害額をとりあえず10万としましょう。キャッシュカードの被害額をみるにもっと大きい気もしますが平均すれば10万くらいはまず超えるだろう、ということで。
で被害総額を一回あたりの被害額(予想)でわれば被害件数(推定)がでるわけです。割ってみましょう。
190億÷10万=19万
なんと一年に19万件!? これは多い。びっくりだ。あぁびっくりだ。
……となるのではなく、これをさらに発行枚数で割ってみることによってだいたいどのくらいの確率で被害にあるのかが分かると言うもの。
さて実際に割ってみましょう。
19万÷2億6000万=0.000731
0.07% そんなに多くない?
「いやいや、1000人いればおよそ一人は被害に遭う」
とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
では分かりやすい比較として交通事故を例にあげましょう。
「警察庁統計ページ」によると平成16年の交通事故による全死傷者数は119万人。
「総務省統計局」による平成16年の人口推計が1億2700万人。
この二つから平成16年に一人あたりの事故の可能性(若者のの方が事故に遭いやすいとか同一人物の複数回の事故の可能性とかはとりあえずおいておきます。クレジットカードでも同じことが言えますし)
を割り出してみましょう。
119万÷1億2700万=0.00937
0.9% あらま、こっちの方が多い。
ということは、乱暴な計算というのは重々承知な上で一年間に交通事故で怪我を負う確率とクレジットカードでスキミングの被害に遭う確率は控えめに言っても大差ない(一人あたりのカード平均所持枚数は最低でも一枚を超えるし実際には2〜4枚になってしまうと思われる。5枚と見ても一人あたりの確率ではまだ低いですが一応大差ないということで)ということに。
まとめ
実際にカードを持つか持たないか、あるいは持った上でこの店で使うか使わないかとなったとき、負の検討材料として良く挙げられるであろうスキミング被害というものが実際の所どれだけ怖いものであるのかというのを数字に出せる形にしてみました。
この結果からいきなり
「交通事故に遭うのをおそれて家からでないなんてないだろ? カードだって同じ。持っちゃえ・使っちゃえ!」
と言うつもりはありません。
多くの方にとって家からでないで生活するのは困難でもカードを持たずに生活することは可能でしょうから。
ただ、失礼ながら異常なまでにスキミングというものを過大評価、巨大な化け物のように扱っている方をちょくちょくお見かけするので、敵(スキミング)の実態とはどの程度な物なのかを個人的にも興味があったこともありちょっと調べてみました。
もっと正確なデータをご存じな方がいらしたらぜひぜひお聞かせくださいませm(_ _)m