あの時、シンジを抱きしめて、そして、すべてのNERV職員と一緒にジオフロントに一気に移動した。

いや、無理やり移した。

とりあえず全員己の職場辺りに

 

ワタシはいつまでもシンジの寝顔を見ていた。

そして、シンジと共に、ターミナルドグマにきていた。

 

 

ちなみに、セカンドチルドレンは、三十階層も上の医療ルームにある、ベットの上においてきた。

確か、戦う前にそこで寝ていたはずだから

 

と、いうわけでいるのはターミナルドグマ

もはや、ここだけにしか残っていないLCLの湖の底で、ワタシはいつまでもシンジを抱きしめていた。

 

また一緒にいられるという事実が嬉しかった。

 

でも、シンジはまた、LCLの中っていうのはイヤかしら?

 

LCLの湖の底で、ワタシはシンジに寄り添って眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新世紀
第七話
門出?


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたとき、ワタシは補完のときとは逆に、シンジに膝枕をされて、寝ていた。

 

シンジが、優しそうな笑顔を浮かべて、ワタシを覗き込んでいるの

気付いたとき、ワタシは顔から火が出そうなほど恥ずかしかった。

そして、こころがとても暖かく、心地良かった。

 

ともかく恥ずかしいことは確かなのですぐに起きようとしたのだが

手をついても力が入らず、体を起こすこともできなかった。

 

疲れていたのか、それとも別の理由からか、体に力が入らなかった。

 

そんな間も、シンジがいつまでもこっちを優しく見ている、覗きこんでいるの

恥ずかしくて、嬉しくて、体が熱かった。

 

 

 

なんとなく、補完のときの光景が、再現されたようだった。

 

世界には、ワタシとシンジしかいない、そんな錯覚にワタシはおぼれていた。

 

ワタシは、シンジによりかかった。

 

ほとんど引き倒すようにして、ワタシはシンジに寄りかかり、唇を重ねた。

 

無意識の動作だった。

 

唇を執拗に重ね、シンジの唇と、歯と、舌をむさぼった。

 

シンジは最初本当にびっくりしていたようだったが、やがて、おずおずと舌を絡めてきた。

 

ワタシは、シンジの服を、唇を重ねたまま脱がせていった。

 

大胆になったとか積極的になったという訳でもなかった。

 

ただただ、シンジと肌を、体を重ねあわせたかった。

 

シンジがワタシの中に入ってきたとき、とてもいたかった。

どうやら補完の時、あの世界でのことはあくまでイメージだったらしい

 

痛みはあったが、でもそれ以上に嬉しかった。

 

補完のときは、ほとんど無我夢中で抱かれ、突かれ続けたが、それでも痛みは感じなかった。

 

かわりにお互いの心を感じあい、快楽がその間を往復していたにもかかわらず、この時のような安らぎも喜びも無かった。

 

 

 

”補完のときより、もっとはっきりとシンジが感じられる!!”

 

 

 

ワタシは悦びと共にそれを悟った。

 

 

ワタシは本当に、人の形に戻れてよかったと思った。

 

あのとき、シンジがこの終結を望んで良かったと思った。

 

これからも共に生きていけて嬉しいと感じた。

 

ずっと一緒にいたいと感じた。

 

 

 

ワタシ達は、同じような思いを抱きながら、お互いの心と体をむさぼり合った。

 

 

 

いつのまにか、二人とも気を失い、そしてLCLの水面に浮かんでいた。

 

ワタシはシンジの胸の上で、幸せにまどろんでいた。

 

 

 

 

 

やがて、ワタシたちを見つけたNERVの職員が、ワタシ達を保護するためにやってきた。

 

回りの騒がしさにようやく起きてみると、いつのまにか、二十人近くの人が、ワタシ達の様子に様々な反応をしているのに気付いた。

 

シンジはまだ目覚めない

 

LCLに入ってくることはせず湖の対岸にいて、数人がボートを用意している。

 

しかも、幾人かは、ワタシ達が良く知る人物だった。

 

 

葛城三佐は、ワタシ達が無事なのを確認してひとまず安心したようだが

しかし、ワタシのほうをひどく睨んだ、一瞬のことだったが

それからもどこか複雑な表情でこちらを見ていた。

この人はワタシ達にとって敵なのかしら?

 

伊吹一尉は真っ赤になって顔を覆ってはいるがこちらを見ている。

 

 

伊吹一尉は、明らかに赤面していた。

顔の下を両手で覆う前に口がパクパク動いていたから、不潔よ、とか言っていたのかもしれない

 

こちらを見ないためか隣の葛城三佐が、そんな様子を面白がってからかうので一層赤くなり、むきになって言い合っていた。

ただ、泣きはらしたような目が気になったのだけど

 

日向一尉は、表面的には落ち着いているように見えた。

 

ただ、ワタシ達の様子を見て、想像力を掻き立てられたのか、しきりと葛城三佐の様子をうかがっていた。

 

 

 

”この人の想いが報われることはあるの?”

”あったとして、それがいいこと?”

 

 

 

なんとなくこの人には同情してしまった。

 

 

青葉一尉もいた。

この人は本当に落ち着いていた。

というより何の感慨も抱かなかったのだろう。

 

てきぱきと他の職員達に指示を出していた。

 

そういえば、補完のときに、この人のことだけは良く分からなかった。

 

 

冬月副司令まできていた。

 

副司令は、明らかに嬉しそうだった。

 

別にいやらしい意味でなく、とにかくワタシ達がいるのが

でも、そんな様子を見ていると、心の奥に暗く澱んだものが蠢くのを感じた。

けっして良い気分ではない、彼の様子を見ていると

 

自分達をここまで追い詰めた、その計画の責任者たる一人が、なに好々爺を気取っているのだろう?

 

憤りが心を満たし視線が鋭くなりそうになる

だが、下手に敵意を向ける必要は、今は無い

 

未だ眠っているシンジの胸に頬を寄せて、イヤなことを頭から追い出そうと摺り寄せる。

 

”この人にとって、ワタシとシンジは、孫のような存在なのね。迷惑だけど………”

“しかし、シンジはどう捉えるのだろう?彼らを”

 

少し落ち着いた頭で、こんなことを考えた。

 

 

こんな様子で、彼らはなんだか、救出に来たのか座談会でもしに来たのか良く分からない状況がいつまでも続いた。

殆どの面々が仕事もせずにこちらを見ているのだ。

 

なんとも暇な連中である。

 

ワタシも、自分達が裸であることに気付いたのは、そんな中でだった。

 

 

我にかえって、体を隠すものを探したが、何にも無かった。

 

どうにもできそうに無くて、シンジの顔を見ながら、どうしようかと思案して

結局思いつかず再びLCLの底に戻って行った。

 

“そういえば、何時の間にLCLを肺から吐き出したのだろう?”

 

再び気管と肺をLCLが満たすのを感じながら、少し疑問だった。

 

そんな中だった。

シンジが起きたのは

 

多少苦しげに、息を吐き出し、やはり肺がLCLで満たされていったのだろう

その不快感で目が覚めたみたい

びっくりしながらこちらをみるシンジに、額と額を重ねて近くで見つめあう。

 

“ここどこ?”

“ターミナルドグマ、外に職員が数名来てる”

“嘘!誰が来てるの?”

“副指令、葛城三佐、伊吹、日向、青葉一尉などのほか、二十名くらい”

“でも、どうしよう。ボク達裸だけど”

“だからもぐっているの”

“ふ〜ん、でも綾波も恥ずかしいとか感じるようになったんだね”

 

シンジの助けで、再び人の姿をとってから

御互いの考えを意識すればこうやって伝え合うことが出来るようになった。

 

“な、なにを言うのよ”

 

頬が熱い

恐らく顔が真っ赤になっているだろう

 

そういえば、裸でいることがどうして恥ずかしいなどと思うのだろう

 

“確かここって戦艦みたいなのが浮かんでなかった?”

“確か・・…浮かんでいたわ”

“まだある?”

“アレかしら?”

 

少し向こうに、大きな船の底らしいシルエットが見える

 

“あれに服があるかもしれない“

“そうね”

“岸の人達からは影になるほうから上がって、探してみよう”

“わかったわ”

“綾波の綺麗な肢体、そうそう他人に見せたくないからね”

“ば、バカ”

 

そんなことを言い合いながら、二人で船のほうに向かった。


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